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沖縄タイムスの禁煙特集記事

2006年03月04日 15時52分26秒 | 離煙ニュース: 科学編
毎日の日課です。Googleで「禁煙」と検索してみました。そしたら、一番新しいニュースとして、3年前に沖縄タイムスが掲載した記事が掲載されているのに気がつきました。

どういうことなのでしょう?

政治的立場だと毎日新聞に近いはずの沖縄タイムス。しかし、あの禁煙治療に反対する2日連続の社説にはさすがに呆れ果て、古い記事をウェブに挙げてきたのかもしれません。(当ブログの「毎日新聞に物申す」をご参照ください。)

そして、その特集に描かれている喫煙の害に苦しむ沖縄の人たちの姿は、実におぞましい限りです。3回分の記事を一挙に引用しますので、かなり長くなりますが、太字部分に留意していただき、じっくりお読みください。

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長寿の島の岐路(40)第2部・むしばまれる命

肺に巣くう病(上)

<2003年3月9日 朝刊 26面>

肺がん多発地域の沖縄 たばこが危険因子に

 冷え込みが一段と厳しさを増す一月末の国立療養所沖縄病院(宜野湾市)の肺がん病棟。深夜でも、重症患者の苦しげなせきやうめき声が絶えず、コールで呼ばれた医師や看護師が休む間もなく病棟を駆け巡る。人工呼吸器につながれた患者は詰まった痰(たん)を三十分ごとに吸引する。気管に挿入される機器の苦痛と不快感で患者はもがき、「ウー、ウー」とうなる。家族は寄り添い、「大丈夫だよ、頑張って」と声を掛けて見守る。

 肺がん症例数が九州でもトップ10に入る同病院の患者は県内一円に広がる。

 肺がん手術の第一人者、同病院外科、川畑勉医師(42)は「年々増えている。健診による早期発見と診療技術の向上で助かる患者も増えたが、手術ができないほどに悪化して入院するケースもある」と指摘する。

大半が喫煙者

 全国の死亡原因の一位に挙げられるがんのうち、最も多いのが肺がんだ。二〇〇一年のがんの死亡者数は二千二百七十五人に達し、そのうち、肺がんは五百三十二人(23・4%)。胃がんの二百二十九人(10・1%)を上回った。

 全国的にも、肺がん多発地域として知られる沖縄県。厚生労働省が発表した二〇〇〇年の人口十万人当たりの死亡率は五十五に達し、全国の四六・三を超え、県民の多くが肺がんにむしばまれる実態が浮かび上がる。

 肺がんの予防対策で大きくクローズアップされるのが喫煙の問題だ。

 同病院で一九九一年から二〇〇〇年の十年間に診察した患者千四百五十七人を調べたところ、男性の95%、女性の40・3%が喫煙者だった

 肺がんの種別では、気管の入り口の肺門付近で発生する「扁(へん)平上皮がん」が比較的多いのが県内の発生状況の特徴になっている。高タールを含む沖縄ブランドたばこの普及が影響したとみられている。

 さらに近年は肺の深部で発生する「腺がん」の増加が顕著だ。川畑医師は「フィルター付きや低タールのたばこが主流になり、肺の奥深くまで吸い込んだり、吸う回数が増えたことが原因になっているのではないか。いずれも、肺がんの発生と喫煙に深い関係があることを示している」と指摘する。

社会的損失350億円

 最も多い時期で一日四十本吸っていたという七十代の男性患者は「ほかに娯楽や慰めもなく、自然に手を出していた。何度も禁煙を試みたが駄目だった。幸い手術は成功して、命拾いしたが、吸わなければよかったよ」とため息交じりに長年の喫煙習慣を悔いた。

 たばこは肺がんだけではなく、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患など多くの病気の危険因子になっている。琉球大学医学部第三内科の伊佐勝憲医師(34)も「動脈硬化を進め、脳卒中などを引き起こす要因になる」と強調する。

 社会的損失は、医療費や病気による休業での所得損失、企業の経済負担などと大きい。北部福祉保健所の伊礼壬紀夫(みきお)副所長(48)の一九九二年の試算では社会的損失は県内で三百五十億円以上に上り、県や市町村のたばこ税収の六倍以上に達するとしている。

 「肺がんの発生を抑え、予防に取り組むことが長寿県沖縄を再生させる鍵を握っている。その中でも、たばこをやめることで防げることは大きい。喫煙がもたらす害をもっと真剣に考えるべきだ」と川畑医師は訴える。(「長寿」取材班)

肺に巣くう病(中)

<2003年3月13日 朝刊 26面>

長年の悪習を後悔 禁煙対策の充実必要

 元数学教師の比嘉政徳さん(65)は、二〇〇二年八月ごろ、止まらないせきに体の異変を感じた。痰(たん)が切れずにむせたり、息苦しくなったり、体の調子が優れない状態が続いた。

 紹介された国立療養所沖縄病院(宜野湾市)で、肺に腫瘍(しゅよう)が見つかった。「死を覚悟した」。夫に突然宣告された大病。妻は悲嘆に暮れ、涙ながらに語った。「もう、どうしたらいいのか。何度も『たばこをやめて』とお願いしても分からないからよ。自業自得ですよ」

 比嘉さんがたばこを吸い始めたのは、北部の小中学校に赴任した二十代後半。娯楽も何もない時代。時間を持て余す中、遊び半分で吸い始めた。高タールの沖縄ブランドたばこをくゆらせ、病みつきになった。

 「禁煙は試みた。だが、どうしてもやめることができなかった。禁煙が三、四日目になるとイライラして計算間違いもでてきた。一度中毒になるとやめるのは大変困難。これがたばこの魔力だ

 がんの切除に成功、一命は取り留めた。「やっと不安から解放されたようだった。こんなに苦しい思いをするのなら、たばこなんて吸うんじゃなかった」。比嘉さんは顔をしかめ、「悔やんでも悔やみきれない」と繰り返した。

子どもの喫煙懸念

 退役米軍人のジョン・W・スロウソンさん(70)は四十年以上も一日に二箱を吸うヘビースモーカーだ。米軍の医療機関で「手の施しようがない。余命三カ月」といわれた三年前、同病院にいちるの望みを託した。主治医の川畑勉医師(45)は、腫瘍の栄養補給路になっている気管支動脈に抗がん剤を注入するBAI(気管支動脈内制がん剤注入)療法を実施。スロウソンさんは肺がんの治癒を遂げた。

 九死に一生を得たスロウソンさん。「死が目前に迫り、絶望していた。すがるような思いで治療を受けた」と振り返る。さらに「肺がんは長年のたばこの影響に間違いないだろう。多くの喫煙者に言いたい。今すぐ、たばこをやめるべきだ」。

 元教師の比嘉さんが強い危機感を抱くのが、子どもたちの喫煙だ。「中学生が人前でも平気で吸うようになった。小学校高学年から興味本位で手を出す子もいる。この子たちの将来を考えると怖い」と禁煙対策の充実を願う。

余命14歳短縮説も

 厚生労働省研究班(主任研究者、津金昌一郎国立がんセンター研究所部長)が、沖縄など全国四地域の四万人以上を十年間にわたって追跡した大規模研究で、喫煙する人の死亡率は吸わない人に比べ、男性で一・六倍、女性で一・九倍高かった。

 喫煙者が一人もいなかったと推定すると、男性死亡の五人に一人は、「死」を防げたという。病気別では、がんが男性一・六倍、女性一・八倍、心臓病や脳卒中などの循環器疾患が男性一・四倍、女性二・七倍になったという。

 北部福祉保健所の伊礼壬紀夫(みきお)副所長(48)によると、四十歳男性に肥満と喫煙の危険因子があると、余命が一三・八歳短縮するという米国の研究機関の研究がある。

 伊礼副所長の試算では、喫煙が原因で超過した医療費は一九九二年で二百二十四億円。伊礼副所長は「喫煙者は、『自分が吸って死ぬのはだれにも迷惑をかけない』というが、疾病では多大な医療費がかかり、財政を圧迫している。たばこを吸っていない人が喫煙者の病気の医療費を負担しているようなものだ」と指摘した。(「長寿」取材班)

肺に巣くう病(下)

<2003年3月14日 朝刊 30面>

子どもに無煙環境を
深刻な喫煙の低年齢化

 那覇市内の中学を卒業したばかりの男子(15)は、毎日たばこを吸う喫煙派だ。

 小学校六年のころ、「先輩や友達のまねで、面白半分に手を出した」のがきっかけだった。喫煙で何度か生徒指導を受けたというが、「大人も吸っているんだから、別にいいじゃない」と悪びれた様子はない。父親も愛煙家だ

 禁煙や分煙を求める社会の風潮で成人の喫煙率が徐々に低下する一方、子どもたちの喫煙は増加する傾向にある。

 北部保健所の伊礼壬紀夫副所長(48)は「喫煙するだけでなく、他人が排出したたばこの煙を吸う受動喫煙が健康に与える被害は大きい。乳幼児突然死症候群の危険因子にも挙げられる。子どもをたばこの害から守る無煙環境をつくり出すべきだ」と強調する。

4人に1人喫煙者

 県中央保健所(比嘉政昭所長)が、那覇市と浦添市の小学五年から中学三年生の二万四百十三人に行ったアンケートによると、小学五年の十人に一人、中学三年の四人に一人が「たばこを吸ったことがある」と答えている。

 北部保健所や石川保健所が実施した同様の調査では、高校一年生の25―30%が「毎日吸う」と回答。「時々吸う」も23―30%いた。

 初めて喫煙した年齢は、いずれの調査も十歳から急増している。

 中央保健所健康推進課の上原真理子課長(49)は「喫煙者の低年齢化は深刻な社会問題。吸い始める年齢が低くなればなるほど、健康に与える影響は大きくなる。周囲の大人の責任は重い」と訴える。

 禁煙教育に取り組む関係者の多くは「家庭や近所などでたばこを吸う大人の姿を見かけることが、たばこに対する抵抗感を薄れさせ、喫煙の増加に拍車をかけている」と指摘する。北部保健所の調査では、保護者や先生ら身近にたばこを吸う人がいる高校生の喫煙率は四割近くに達し、いない場合の約二倍に上った。

 親に頼まれてたばこを買った経験がある子どもも多い。伊礼副所長は「せめて子どもの前では吸わない心掛けと、絶対に触れさせない配慮が求められる」と話す。

自販機数が全国一

 生徒指導担当の経験がある男性教師は「どこにでも自販機があって、簡単にたばこを手に入れることができる。指導の徹底は大変難しい。大人でさえもやめられない人が多いんだから…」と漏らす。

 沖縄総合事務局財務部は昨年六月までに、購入者が確認できない場所への設置などの理由で、四十四件のたばこ自販機設置許可を取り消し、撤去させた。県内の許可件数は約一万七千六百件で四国四県の総数に匹敵する。人口当たりでは全国一だ。

 店頭では年齢確認によって未成年者への販売を防げるが、自販機では打つ手がない。中央保健所などの調査でも、自販機からの購入が圧倒的だった。

 浦添市の神森中で一月末に開かれた県中央保健所主催の「たばこ対策シンポジウム」。生徒代表の男子生徒は「自販機が多く、気軽に買えることがよくない」と主張した。

 指導する立場にある教師の禁煙対策も進んでいない

 学校は、二〇〇二年度から禁煙か分煙のいずれかの喫煙対策を指示された。が、全面禁煙はわずか6%。45%の学校には喫煙室もない。対策の遅れが浮き彫りになっている。

 上原課長は「公共的な施設は全面禁煙にすべきだ。たばこの害を訴えるとともに、大人が模範にならなければいけない。子どもに示しがつかない」と訴える。(「長寿」取材班)

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このように、タバコのせいで様々な苦しみを抱えている人がいるわけです。そのような人たちがタバコを止めたいと思ったときに止めやすい環境を作っておくのは、行政の務めであるはずです。

ゴウ先生、禁煙治療を応援させてもらいます!

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1 コメント

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残念です (MM)
2006-03-05 02:12:38
タバコの恐ろしさが身にしみてわかる記事です。一気に読みすすめると恐怖が湧いてきます。



また、長寿の県で、健康な暮らしをしているのだろうと思っていた沖縄が、タバコの害に蝕まれているのが残念です。
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