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ウォール・ストリート・ジャーナルの中国批判社説は、ありがたい

2013年11月29日 06時56分32秒 | 時事放談: マスコミ編

アメリカを代表する経済紙The Wall Street Journalが、連日にわたり社説で中国の勝手な防空識別圏設定を批判しています。記録しておきましょう。

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【社説】中国の防空識別圏設定は無謀な瀬戸際政策
WSJ 2013年 11月 26日 13:45 JST

 中国国防省は22日、日本の尖閣諸島を含む東シナ海の上空に防空識別圏を設定すると発表した。中国のこの瀬戸際政策は武力衝突や、2001年に発生した中国の戦闘機と米国の偵察機EP-3の接触事故に似た事態が発生するリスクを高めるものだ。そうした事態が起これば、米国の関与が強まるのを避けることは難しくなろう。米国は日本を防衛面で支援するという条約に縛られているためだ。

 米国のケリー国務長官とヘーゲル国防長官は直ちに、中国の動きは尖閣諸島をめぐる状況を力で変えようとするものだと非難した。ケリー長官はまた、上空飛行の自由を脅かすものだとの見解も示した。

 防空識別圏は米国や日本のほか諸外国も設定しており、圏内に進入する航空機は正体を明らかにしなければならない。だが、今回の中国の措置には重大な違いがある。中国は防空識別圏を飛行する航空機に対し、領空に侵入する意図があるのか、もしくは防空識別圏をただ通り抜けるだけなのかに関わらず、中国側の指示に従うよう要求し、従わない場合は武力による緊急措置を取ると宣言した。

 これは2001年のEP-3の衝突事故と国際水域での米海軍艦艇に対する中国の嫌がらせを思い起こさせるものだ。中国は排他的経済水域に諸外国の軍用船や軍用機が進入するのを阻止しようとしている。これは重大な国際法違反で、許されるものではない。オバマ大統領によるアジア重視の姿勢が確かなものであり続けるのならなおさらだ。

 中国の発表は尖閣諸島の領有権問題で日本を交渉の席につかせるよう圧力をかける意図があったのかもしれない。中国の王毅外相は9月、領土問題が存在することを日本が認めるならば、中国は話し合いを始める意思があり、おそらく緊張に歯止めがかかるだろうと述べた。一方、日本は尖閣諸島の領有権には議論の余地がなく、話し合う必要があるのは中国の挑発的な行動だけだとの立場をとっている。

 中国は精神医学でいう「受動攻撃性行動」や、少しずつ目的を遂行する「サラミ法」戦術に長けており、降伏か衝突かの二者択一を余儀なくさせる立場に相手を徐々に追い込んでいく。だが、今回は行き過ぎかもしれない。中国が宣言した防空識別圏は米国と日本に拒否を強いただけだからだ。

 日本が中国の防空識別圏は「全く受け入れられない」と宣言した際、中国国営の英字紙グローバル・タイムズは、日本の防空識別圏を考えればこの反応は「偽善的で厚かましい」と非難した。中国は、尖閣諸島周辺への中国軍による数多くの侵入に対する批判に傷ついているのかもしれない。しかし、防空識別圏を創設したからといって、精神的なバランスがとれるわけではない。

 尖閣諸島周辺への支配力掌握のために武力の使用を試みようとしていることによって、中国は露骨な侵略行為に徐々に近づいている。仮に中国の目的が尖閣諸島の現状について日本を話し合いの席につかせ、平和的な解決にこぎつけることだとすれば、中国の瀬戸際政策はその可能性を一層遠ざけてしまった


 【社説】米国が中国に示したB52爆撃機という返答
WSJ   2013年 11月 27日 15:51 JST

 オバマ政権は、米国の決意をはっきり示すことで知られてはいないが、米国は26日に中国が設けた東シナ海上空の防空識別圏(ADIZ)にB52爆撃機2機を送り込むことで、アジアの同盟国と国際安全保障という大義のために貢献した

 グアムの米軍基地を離陸した2機は中国政府に事前通告せずに、意図的に防空識別圏に進入した。中国は23日、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定したと発表した。この発表は世界にメッセージを送る一方で日本を威嚇する目的だったことは明白だ。軍事衝突の危険をはらみつつ、中国が東シナ海や南シナ海で繰り広げている、ますます挑発的な軍事行動のパターンと一致している。

 日米をはじめとする他の諸国も、航空機がそれぞれの領空に進入する際に自らを明らかにすることを義務付ける防空識別圏を設けているが、これとは重要な違いがある。航空機が中国の防空識別圏に意図的に侵入するのか、あるいは単に通過しているのかにかかわらず、中国はこうした航空機に武力で対応する意図を示し、防空識別圏内では中国側の指示に従うことを要求している。

 これは世界的航法の通常のルールに干渉するとともに、西太平洋の広大な地域に対する中国の事実上の支配を主張する試みだ。ジョン・ケリー米国務長官とチャック・ヘーゲル米国防長官は中国のこの動きについて、直ちに尖閣諸島をめぐる現状を力ずくで変えようとするものだとして非難した。ケリー長官はさらに、航法の自由を脅かすものだとの見方を示した。これに対し、中国は米国に口出しをしないよう伝えたことから、米国は中国の宣言を容認しないことを明確に示すために、B52を防空識別圏に飛ばすことが必要だった。

 中国政府の瀬戸際政策は、国際水域での米海軍艦艇への頻繁な嫌がらせや、2001年に衝突事故を起こした米海軍のEP3偵察機に対する中国の戦闘機による妨害などを思い起こさせるものだ。中国政府は排他的経済水域を外国の軍艦や軍用機が侵入できない領域にしようと試みている。これは国際法に対する深刻な違反で、米国の安全保障やオバマ大統領のアジアへの「軸足」が信ぴょう性を持つためには、抵抗する必要がある。

 中国は現在、こうした状況をエスカレートさせる可能性もあるが、米国が同盟国や世界の規範を守る意志を示す場合には、中国がそうする公算は低い。中国政府は1996年にミサイル演習を実施して台湾に対して同じような威嚇を行った。当時のクリントン政権が当初気をもんでいた。しかし、クリントン元大統領が同地域に空母戦闘群を派遣した後、危機的状況が緩和した。

 中国政府は、敵に投降か衝突かのいずれかの選択を迫る立場に追い込むような、脅しと虚勢戦略の達人だ。しかし、今回、中国は行き過ぎた感もある。今回の防空識別圏設定は、米国と日本が反応せざるを得なかったためだ。米国は条約で、日本が攻撃される場合には防衛の義務があり、その必要性を回避する最善の方法は中国政府に対し、米国がこの条約を真剣に受け止めていることを明確に示すことだ。

 尖閣諸島の支配権を力ずくで獲得しようとすることによって、中国政府は露骨な侵略行為に近づいている。そのような脅しは成功しないことを示す必要がある。

【社説】日本との連帯感示した米政権―日米合同の監視体制構築すべき
WSJ    2013年 11月 28日 14:20 JST

 オバマ政権が日本との連帯感を示してみせたことを高く評価する。日本は沖縄・尖閣諸島の領有権問題をめぐり攻撃的な姿勢を見せる中国に対する防衛策を模索中だ。米軍のB52爆撃機2機は26日、中国が先週一方的に設定した尖閣諸島上空を含む防空識別圏(ADIZ)を、中国への事前通告なしに飛行した。この飛行に対する中国からの挑戦はなかった。おそらく、オバマ大統領のアジアを重視した姿勢が、結局のところ何らかの意味をもっているということだ。

 今回、爆撃機が飛行するまで、尖閣諸島の領有権を巡る中国の瀬戸際政策は1年以上続いていた。この中国の瀬戸際政策は尖閣諸島周辺の海域と上空域の現状を変えることが目的だ。中国外務省は米爆撃機の飛行に対し、いくらか態度を後退させ、「状況の変化に従い、同様の措置をとる」と述べた。だが、本当に防空識別圏が試されるのはこれからだ。数日後か数週間後に、中国軍が尖閣諸島周辺の監視目的で防空識別圏をたてに、日本の防衛力に挑戦してきたときだ。

 米国は尖閣諸島の防衛で日本を支援するという条約上の義務をさらに強固にすることで、武力衝突を防ぐ手助けができるだろう。それを行う最良の方法は日本側と合同で海空域の監視行動をとることだ。仮に中国がこういった監視に挑戦するなら、日米両国を同時に相手にすることになる。朝鮮半島に駐留する米軍のトリップワイヤ(陽動部隊)と同様のものだ。

 これは中国の怒りを買い、米国にとっても短期的には中国との経済・外交関係で犠牲を強いられる可能性はある。米政府は来週に予定されているバイデン副大統領の訪中を中止することで、いくらか早めにその犠牲を払うことになるかもしれない。しかし、中国の挑発的な姿勢を許すことは、偶発的であれ意図的であれ、将来の衝突のリスクが高まることを意味する

 中国の指導部がなぜ好戦的な態度をとっているのかは不明だ。1つ考えられることは、中国の経済力と軍事力の台頭が自分たちに、ある資格を与えていると感じているということだ。その資格とは、かつて東アジアを牛耳っていた先人たちが使った、相手を属国として支配するシステムを再び構築する資格だ。また、国内では政治的な権威が不足しているため、ナショナリスト的な世論を扇動したいのだと指摘する人もいる。おそらく、これら2つがいくらか組み合わさっているのだろう。

 いずれにしても、中国は今週、自分たちの脅しが成功するとの見通しを読み誤った米国が政策目標として据えるべきは、中国が弱い者いじめを続ける限り、中国の挑発は一層の(日米の)団結と決意に直面することを確実に示すことだ

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いいですねえ。

The New York Timesがうじうじと安倍政権を「過激国家主義政府」と呼んで、対中批判なのか対日批判なのかわからない社説を書いたのとは雲泥の差です(社説“China’s Coercive Play”については、裏ブログ「映画と本と音楽にあふれた英語塾」の11月27日の記事「防空識別圏、中国を批判しつつも…」を参照)。

異常なのは、中国なのです。そのことを3本の社説で指摘してくれたWSJは、ありがたい限りです。

ともあれ、北朝鮮のやり方とよく似た中国の瀬戸際外交はこれからも続くはず。日本政府は、米国と協力して、絶対に妥協しないようにしていかないと、中国の侵略政策を許したことになってしまいます。安倍政権には、断固たる態度で臨んでもらいましょう。


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