ラグビーのトップリーグの試合に、思ったほど観客が集まらないとか。選手もラグビー協会も頑張っているようですが、実は本当の意味でラグビー・ブームが起きていないということではないでしょうか。
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トップリーグ第2節第1日(21日、パナソニック47−27近鉄、西京極)凱旋&祝福ムードを完全に吹き飛ばす衝撃のマイクパフォーマンスだった。生まれ育った京都のファンにパナソニックSH田中史朗(30)が心の叫びをぶつけた。
「協会に頼っていても普及しないので、僕たちと皆さんで歴史をつくっていきましょう」
W杯日本代表5人を擁し、近鉄を逆転、開幕連勝を決めた直後だった。W杯の活躍をたたえる「京都市スポーツ特別賞」の表彰式で“事件”は起きた。
痛烈な皮肉…いや、本音だ。1週間前。W杯効果で超満員を信じた開幕戦で1万席の空席が発生。そして、この日も約2万人収容の西京極陸上競技場で入場者は7278人。同会場のトップリーグでは過去最多だったが、田中には寂しい光景に映った。
「僕はこの4年間、家族を犠牲にしてラグビーに打ち込み、人生をかけてきた。だから協会も必死になってもらいたい。(2011年W杯優勝で)あれだけ盛り上がった女子サッカーだって少しずつ人気が下がっている」
開幕戦翌日には日本ラグビー協会・小西宏事務局長に電話を入れた。「申し訳ない」と謝罪の言葉があったが、この日のスタンドには失望せざるを得なかった。「変わってないですよね。できないから言っている」と怒りのトーンが上がる。
スーパーラグビー(SR)やW杯。世界最高峰の舞台で戦ってきた。それだけに歯がゆさがある。「選手と協会が話し合う必要がありますね。そこにメディアの方が入ってもらったほうが、いい意見が出るかも。選手会をつくってアプローチしてもいいと思ってます」と選手会創設の私案も明かした。試合後、暗くなるまでファンにサインし続けた田中。ラグビーを愛するがゆえの提言だ。 (上田雅昭)
★開幕戦で協会が失態
東京・秩父宮ラグビー場でのTL開幕戦パナソニック−サントリー(13日)で、予定販売枚数のチケットが完売したにもかかわらず、観客数が満員の半数程度の1万792人にとどまった。無料招待券での入場を希望した観客を断るなど協会の失態と見通しの悪さも明らかに。田中は「満員と聞いていたが、正直寂しかった。協会にはいらっと来ましたね」と不満を口にした。
トップリーグ(TL)ヤマハ発動機の本拠地開幕戦(21日、ヤマハスタジアム、対豊田自動織機)でヤマハ側が同スタジアム近くにモニターを設置、PV(パブリックビューイング)を計画していることが18日、分かった。日本代表FB五郎丸歩(29)人気に対応するためで、TLでのPV実施は異例。日本ラグビー協会は同日、当日券を発売する方針を打ち出したが、入場できないファンでも生の迫力を感じられるチャンスだ。
五郎丸人気にヤマハが動いた。本拠地開幕戦が行われるヤマハスタジアムのメーンゲート付近にテレビモニターを設置。パブリックビューイング(PV)を実施する。
PVは入場券なしでもOK。数百人以上の観衆でも対応できるスペースを確保した。ヤマハによると、過去、TLの試合でPVを実施するのは極めて異例。「チケットが入手できなかった人のために、近くで見てもらいたい」とクラブ関係者が明かした。
準備は着々だ。車での来場者に対応すべく、会場周辺にあるヤマハ発動機の社員用駐車場が無料開放される。会社が休日のために約1000台の利用が可能。ただ、周辺では渋滞も予想されるため、クラブは公共交通機関の利用を呼びかけており、JR磐田駅からは無料のシャトルバスを15分間隔で運行させる。
W杯3勝を挙げた日本代表の“追い風”に乗って、ラグビー人気が急上昇。しかし、前週のTL開幕戦パナソニック−サントリー(13日、秩父宮)は前売りが完売したにもかかわらず、約1万人分もの空席が出た。ヤマハの今季初戦(14日、名古屋・瑞穂、対トヨタ自動車)でも空席が目立った。
21日のヤマハの本拠地開幕戦の入場券は前売りの段階で完売(追加販売分を除く)。しかし、日本ラグビー協会では“空席問題”に対応するため、当日券を発売する方針を打ち出した。それでも、入場できなかったファンにとってPVは“生の迫力”を身近で感じられるチャンス。観客数も満員の1万5000人近くになることが予想されるだけに、警備の大幅増員を検討中だ。
空前の盛り上がりの中で迎える本拠地開幕戦を五郎丸も心待ちにしている。「スタンドが(ヤマハカラーの)青一色になることを期待している」と、ヤマハファンで埋まったスタンドを思い描いた。 (望月文夫)
★予報は好天 集客後押し
ヤマハ発動機のTL本拠地開幕戦が開催される21日の静岡県西部の天気予報は「曇り、時々、晴れ」で降水確率は30%。最高気温は20度まで上がる見通しで、快適な気候で観戦できそうだ。
ラグビーTLまたも空席…五郎丸は満足も関係者は「努力不足もある」
ヤマハ発動機がホーム初戦で大勝した。日本代表FB五郎丸歩(29)は、7本のうち6本のプレースキックを決め、勝利に貢献した。マン・オブ・ザ・マッチは、ヤマハ発動機のCTB宮沢正利(27)が選ばれた。
昨年、トップリーグでは準優勝し、日本選手権を制したヤマハ発動機。日本代表で活躍し有名になった五郎丸の人気と重なって、ホーム開幕戦は満員になるではとのうわさも広がっていた。
しかし、ふたを開けてみれば1万5000人が収容可能なスタジアムに集まった観客は9051人。五郎丸は「雰囲気はいい。非常に満足」と話したが、清宮監督は「チケットの流出量が少なすぎるのでは」と苦言を呈した。
これについて協会は「最大(1万5000人)まで用意していた。(仮にあと6000人来場しても)入れるように対応していた」と説明した。
第1節で多くの空席が出た反省をふまえ、前回は使用できなかった招待券や回数券も使用可能にし、さらに当日券約100枚も販売された。コンビニ等では24時間チケットの購入が可能であることの説明もしてきた。
ただし、もともと協会が出した入場者数の概算は、約1万人。協会担当者は「チケット販売に対する努力不足もある」とした上で「きょうもお客さんから『あ、まだあるんだ』という声があった。チケットが買えないものという印象を与えてしまっているのかもしれない」と頭を抱えた。
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