前原誠司民主党代表が正論を述べたら、自党内の左派から相当な突き上げを食らっているようです。
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産経新聞:中国脅威論・憲法改正 「前原発言」に波紋
「中国脅威論」や集団的自衛権の行使容認を含む憲法改正に言及した民主党の前原誠司代表の米国での発言が、党内外に波紋を呼んでいる。党内からは「党の方針に反する」と反発の声が上がる一方、自民党は「大連立」へ秋波を送る。ニューヨークでの九日(日本時間十日)の記者会見などで、「外交・安全保障の分野に与党も野党もない」と、持論を展開する前原代表の“内患外憂”の日々が続きそうだ。
前原代表の米国での発言にかみついたのが、民主党副代表も務めた横路孝弘衆院副議長(現在無所属)だ。十日の講演で、前原発言を「非常に問題が多い」と強く非難。とくに中国の「軍拡路線」を「現実的脅威」と位置づけた点を、「アジアの中の日本が(周辺国との)友好を考えないでどうするのか」と苦言を呈した。
鳩山由紀夫幹事長も九日、「日米同盟強化の方向だけが党の政策に見えるのはいかがか」と懸念を表明している。
こうした非難が相次ぐ背景には、前原代表が米国で打ち出した「民主党の目指す国家像と外交ビジョン」が、数名の側近議員だけで作成されたことへの反発がある。
民主党の「混乱」を尻目に、小泉純一郎首相は「小泉内閣が進めている改革に賛成してくれる人なら(民主党議員でも)歓迎だ」とし、自民党の武部勤幹事長も「部分的な大連立があってもいい」と誘い水を向ける。
【2005/12/11 東京朝刊から】(12/11 09:13)
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制定以来60年近くも「放置」されていた憲法を改正するのは、真っ当な国ならフツーのことであります。いまの中国の軍事力が極東の安全保障を脅かしているのも、疑いない事実であります。
それが横路氏以下の反発を招くのは、上の記事の太字箇所「数名の側近議員だけで作成されたことへの反発」だとしか思えません。
要は、民主党の重鎮の方々が、「棚ボタで代表になったくせに、偉そうにするな!」と前原氏に申されておられるわけでしょう。ショボすぎる権力闘争の姿です。
前原代表には、代表である以上しっかりとしたリーダーシップをふるって、ぜひともこの正論を貫いてほしいと思わずにはいられません。
しかし、その前には、党内左派の機関紙(?)朝日新聞との戦いも待っております。本日の社説を当方のコメントつきでご覧ください。
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前原発言 外交センスを疑う
前原代表は、民主党をどこへ導こうとしているのか。耳を疑う発言が米国発で届いた。
いわく、原油や物資を運ぶシーレーン(海上交通路)防衛のうち日本から千カイリ以遠については「米国に頼っているが、日本も責任を負うべきだ」。このため「憲法改正と自衛隊の活動・能力の拡大が必要になるかもしれない」。
さらにミサイル防衛や、周辺事態になるような状況で「集団的自衛権を行使できるよう憲法改正を認める方向で検討すべきだ」と踏み込んだ。
これまでの自民党政権も踏み出さなかった、米軍などとの共同軍事行動の拡大論である。「対米一辺倒」と批判する小泉政権をも飛び越えて、いっそう米国に寄り添う政策を示したことになる。
代表になって初の訪米で、ワシントンのシンクタンクで講演した際の発言だ。前原氏は、自民党の国防族議員から「われわれよりタカ派」と言われることもある。日米同盟を重視する姿勢をアピールしたいと勇み立ったのかもしれない。
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極東地域の現状を見るに当たり、アメリカとの同盟関係を強めることが日本にとって得策であると判断しての代表発言でありましょう。民主党が、ただ与党に反対するだけの無責任野党の立場を脱却して責任与党になるためには、当然のステップだと思います。
「外交センスを疑う」のは、前原代表に対してと言うよりも、朝日自身に対してだと考えるのは、ゴウ先生だけでしょうか。
ともあれ、朝日は、どのような国防をあるべき姿だと考えているのか、尋ねたいものです。よもや、まったく国防が必要ないとはおっしゃらないとは思いますが・・・。
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「民主党の目指す国家像と外交ビジョン」と題した講演である。聴衆はこれが民主党の路線と受け止めたに違いない。
だが実際には、前原氏の発言は党内の議論をなんら経ていない。あまりに唐突で突出した内容に、党内には戸惑いや反発が広がっている。ほくそ笑んでいるのは、憲法改正をにらんで「大連立」をもくろむ小泉政権の側だろう。
前原氏は最近、「代表でいることが目的ではない。安保・憲法の議論はあとさき考えずにやる」と語ったことがある。党内の亀裂を恐れず、明快な主張でリードしていくという決意のように見える。
それにしても、まずは党内で説明し、論議する努力は必要だ。代表になって間もなく3カ月がたつのに、前原氏が党内論議を試みた形跡はない。これでは独断専行と言われても仕方ない。
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かつて、朝日は、自民党内部の派閥主導の談合的政治手法を批判してきたのではなかったのでしょうか。内部で話し合わず、国民の意見を聴け、と。
なのに、今回は手のひらを返すのですか?
さらに、そうして国民の意見を聴いたらば、自民党が勝って、民主党が負けてしまいました。ゆえに、抜本的な改革を必要だと考え、若きリーダーを民主党は担いだのであります。管直人元代表では、いまの危機的状況を救えないと考えた結果です。
ならば、前原代表に思う存分仕事をさせてみようとは思わないのでしょうか。そうでないとすれば、民主党も朝日も何を彼に期待しているのか分からなくなります。
第一、前原誠司という政治家がこのようなタカ派思想を持っていることも、みんな知っていたわけです。信念を貫いた発言をして偉いと思うことこそあれ、それを否定するのでは、民主党議員と朝日の不明を嘆くしかありません。
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もうひとつ、気になる発言が講演にあった。中国の軍事力は「現実的脅威」であり、「毅然(きぜん)とした対応で中国の膨張を抑止する」などと語ったことだ。
小泉政権でさえ、無用の摩擦を避けようと、首相が「中国脅威論はとらない」と言い、麻生外相が「中国の台頭を歓迎したい」と語るのとは大違いだ。
中国に対して弱腰と取られたくないのだろう。だが、肝心なのは威勢の良さではない。首相の靖国神社参拝でずたずたになってしまったアジア外交を、民主党ならこうしてみせるという、外交政策の対立軸を示すことである。
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「外交政策の対立軸を示す」ために、中国の軍備拡張を指を咥えて見ていろと朝日は言うのでしょうか。それでは、単なる無責任野党の姿であり、国民からさらにそっぽを向かれてしまい、第二の社民党になってしまいます。
前原代表は、それを避けようとしているのでありましょう。理解できる発言です。日本国民は、日本政府の毅然とした対応を求めているのです。自民党よりもしっかりとやってくれれば、方向性は同じでも、さすが民主党であるとうなづく用意をしているのです。
ずれているのは、朝日と民主党左派の議員たちなのです。
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韓国に関しても、竹島や教科書問題についての盧武鉉大統領の態度を手厳しく批判したこともある。その結果、希望した訪韓さえできない始末だ。
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正しいことを言えば、こういうこともあるでしょう。いまの韓国政府、あまりに異常ですから。
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日米同盟は何より大事。中国には毅然と対する。だから民主党が政権をとっても自民党と変わりませんよ、心配はいりません。そう米国に言いたかったのだろうか。ならば、自民党政権のままでいいではないか。
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メチャクチャな論証です。
日米同盟を大切にするにしても、中国に毅然と対するにしても、その手法が違えば、立派な対立軸が生まれます。その微妙な差が分からないほど、日本国民はバカではありません。きちんと民主党と自民党の違いを見て取れます。ゆえに、今回の選挙でも、自民党を勝たせたのです。
したがって、自民党が、選挙を勝ったことをよいことに、国民に背を向けた政治を行えば、必ずしっぺ返しを演出します。国民が自民党のままでいいと判断し続けるかどうかは、まったく分からないのです。朝日の論調がむちゃくちゃすぎる所以です。
とにかく、正論を暴論だと言いくるめようとするマスコミや同僚議員に惑わされず、前原代表には思い切った手腕を期待したいものです。
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産経新聞:中国脅威論・憲法改正 「前原発言」に波紋
「中国脅威論」や集団的自衛権の行使容認を含む憲法改正に言及した民主党の前原誠司代表の米国での発言が、党内外に波紋を呼んでいる。党内からは「党の方針に反する」と反発の声が上がる一方、自民党は「大連立」へ秋波を送る。ニューヨークでの九日(日本時間十日)の記者会見などで、「外交・安全保障の分野に与党も野党もない」と、持論を展開する前原代表の“内患外憂”の日々が続きそうだ。
前原代表の米国での発言にかみついたのが、民主党副代表も務めた横路孝弘衆院副議長(現在無所属)だ。十日の講演で、前原発言を「非常に問題が多い」と強く非難。とくに中国の「軍拡路線」を「現実的脅威」と位置づけた点を、「アジアの中の日本が(周辺国との)友好を考えないでどうするのか」と苦言を呈した。
鳩山由紀夫幹事長も九日、「日米同盟強化の方向だけが党の政策に見えるのはいかがか」と懸念を表明している。
こうした非難が相次ぐ背景には、前原代表が米国で打ち出した「民主党の目指す国家像と外交ビジョン」が、数名の側近議員だけで作成されたことへの反発がある。
民主党の「混乱」を尻目に、小泉純一郎首相は「小泉内閣が進めている改革に賛成してくれる人なら(民主党議員でも)歓迎だ」とし、自民党の武部勤幹事長も「部分的な大連立があってもいい」と誘い水を向ける。
【2005/12/11 東京朝刊から】(12/11 09:13)
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制定以来60年近くも「放置」されていた憲法を改正するのは、真っ当な国ならフツーのことであります。いまの中国の軍事力が極東の安全保障を脅かしているのも、疑いない事実であります。
それが横路氏以下の反発を招くのは、上の記事の太字箇所「数名の側近議員だけで作成されたことへの反発」だとしか思えません。
要は、民主党の重鎮の方々が、「棚ボタで代表になったくせに、偉そうにするな!」と前原氏に申されておられるわけでしょう。ショボすぎる権力闘争の姿です。
前原代表には、代表である以上しっかりとしたリーダーシップをふるって、ぜひともこの正論を貫いてほしいと思わずにはいられません。
しかし、その前には、党内左派の機関紙(?)朝日新聞との戦いも待っております。本日の社説を当方のコメントつきでご覧ください。
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前原発言 外交センスを疑う
前原代表は、民主党をどこへ導こうとしているのか。耳を疑う発言が米国発で届いた。
いわく、原油や物資を運ぶシーレーン(海上交通路)防衛のうち日本から千カイリ以遠については「米国に頼っているが、日本も責任を負うべきだ」。このため「憲法改正と自衛隊の活動・能力の拡大が必要になるかもしれない」。
さらにミサイル防衛や、周辺事態になるような状況で「集団的自衛権を行使できるよう憲法改正を認める方向で検討すべきだ」と踏み込んだ。
これまでの自民党政権も踏み出さなかった、米軍などとの共同軍事行動の拡大論である。「対米一辺倒」と批判する小泉政権をも飛び越えて、いっそう米国に寄り添う政策を示したことになる。
代表になって初の訪米で、ワシントンのシンクタンクで講演した際の発言だ。前原氏は、自民党の国防族議員から「われわれよりタカ派」と言われることもある。日米同盟を重視する姿勢をアピールしたいと勇み立ったのかもしれない。
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極東地域の現状を見るに当たり、アメリカとの同盟関係を強めることが日本にとって得策であると判断しての代表発言でありましょう。民主党が、ただ与党に反対するだけの無責任野党の立場を脱却して責任与党になるためには、当然のステップだと思います。
「外交センスを疑う」のは、前原代表に対してと言うよりも、朝日自身に対してだと考えるのは、ゴウ先生だけでしょうか。
ともあれ、朝日は、どのような国防をあるべき姿だと考えているのか、尋ねたいものです。よもや、まったく国防が必要ないとはおっしゃらないとは思いますが・・・。
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「民主党の目指す国家像と外交ビジョン」と題した講演である。聴衆はこれが民主党の路線と受け止めたに違いない。
だが実際には、前原氏の発言は党内の議論をなんら経ていない。あまりに唐突で突出した内容に、党内には戸惑いや反発が広がっている。ほくそ笑んでいるのは、憲法改正をにらんで「大連立」をもくろむ小泉政権の側だろう。
前原氏は最近、「代表でいることが目的ではない。安保・憲法の議論はあとさき考えずにやる」と語ったことがある。党内の亀裂を恐れず、明快な主張でリードしていくという決意のように見える。
それにしても、まずは党内で説明し、論議する努力は必要だ。代表になって間もなく3カ月がたつのに、前原氏が党内論議を試みた形跡はない。これでは独断専行と言われても仕方ない。
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かつて、朝日は、自民党内部の派閥主導の談合的政治手法を批判してきたのではなかったのでしょうか。内部で話し合わず、国民の意見を聴け、と。
なのに、今回は手のひらを返すのですか?
さらに、そうして国民の意見を聴いたらば、自民党が勝って、民主党が負けてしまいました。ゆえに、抜本的な改革を必要だと考え、若きリーダーを民主党は担いだのであります。管直人元代表では、いまの危機的状況を救えないと考えた結果です。
ならば、前原代表に思う存分仕事をさせてみようとは思わないのでしょうか。そうでないとすれば、民主党も朝日も何を彼に期待しているのか分からなくなります。
第一、前原誠司という政治家がこのようなタカ派思想を持っていることも、みんな知っていたわけです。信念を貫いた発言をして偉いと思うことこそあれ、それを否定するのでは、民主党議員と朝日の不明を嘆くしかありません。
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もうひとつ、気になる発言が講演にあった。中国の軍事力は「現実的脅威」であり、「毅然(きぜん)とした対応で中国の膨張を抑止する」などと語ったことだ。
小泉政権でさえ、無用の摩擦を避けようと、首相が「中国脅威論はとらない」と言い、麻生外相が「中国の台頭を歓迎したい」と語るのとは大違いだ。
中国に対して弱腰と取られたくないのだろう。だが、肝心なのは威勢の良さではない。首相の靖国神社参拝でずたずたになってしまったアジア外交を、民主党ならこうしてみせるという、外交政策の対立軸を示すことである。
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「外交政策の対立軸を示す」ために、中国の軍備拡張を指を咥えて見ていろと朝日は言うのでしょうか。それでは、単なる無責任野党の姿であり、国民からさらにそっぽを向かれてしまい、第二の社民党になってしまいます。
前原代表は、それを避けようとしているのでありましょう。理解できる発言です。日本国民は、日本政府の毅然とした対応を求めているのです。自民党よりもしっかりとやってくれれば、方向性は同じでも、さすが民主党であるとうなづく用意をしているのです。
ずれているのは、朝日と民主党左派の議員たちなのです。
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韓国に関しても、竹島や教科書問題についての盧武鉉大統領の態度を手厳しく批判したこともある。その結果、希望した訪韓さえできない始末だ。
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正しいことを言えば、こういうこともあるでしょう。いまの韓国政府、あまりに異常ですから。
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日米同盟は何より大事。中国には毅然と対する。だから民主党が政権をとっても自民党と変わりませんよ、心配はいりません。そう米国に言いたかったのだろうか。ならば、自民党政権のままでいいではないか。
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メチャクチャな論証です。
日米同盟を大切にするにしても、中国に毅然と対するにしても、その手法が違えば、立派な対立軸が生まれます。その微妙な差が分からないほど、日本国民はバカではありません。きちんと民主党と自民党の違いを見て取れます。ゆえに、今回の選挙でも、自民党を勝たせたのです。
したがって、自民党が、選挙を勝ったことをよいことに、国民に背を向けた政治を行えば、必ずしっぺ返しを演出します。国民が自民党のままでいいと判断し続けるかどうかは、まったく分からないのです。朝日の論調がむちゃくちゃすぎる所以です。
とにかく、正論を暴論だと言いくるめようとするマスコミや同僚議員に惑わされず、前原代表には思い切った手腕を期待したいものです。