映画ファンとして日々実感していることがまとめられています。記録しておきましょう。
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「映画の街」、新宿が台頭 ミニシアター苦戦で渋谷後退
朝日新聞 2015年11月25日16時13分
東京・渋谷のミニシアターブームを牽引(けんいん)した「シネマライズ」が来年1月、約30年の歴史に幕を下ろす。渋谷の映画文化が衰退する一方、映画熱が高まっているのが新宿だ。都心のシネコン(複合型映画館)ブームが、「映画の街」の交代を促した。
■渋谷のシネマライズ閉館へ
「アメリ」「トレインスポッティング」「ムトゥ 踊るマハラジャ」……。渋谷・スペイン坂のシネマライズは1986年に開業。とがった作品を多く世に出し、渋谷のミニシアター文化の中心的存在だった。
高校生千円をいち早く始める一方、性的マイノリティーに配慮してレディースデーや夫婦割引は導入しないなど、こだわりのある映画館としても知られた。だが近年は興行収入が苦戦。2007年の「善き人のためのソナタ」を最後に、興収5千万円を超える作品が出なくなった。
代表の頼(らい)光裕さん(63)は「90年代半ばから00年代半ばまで、渋谷は特殊な高揚感であふれ、背伸びをした若者たちが刺激的で新しい価値観を求めていた。だが、時代が変わり、役目を終えた」と話す。最後の上映作品「黄金のアデーレ 名画の帰還」は今月27日から公開される。
向かいのビルに入る「シネクイント」も岐路に立つ。99年の開業とともに「バッファロー’66」をヒットさせ、渋谷の映画文化を支えてきた。だが運営会社によると、ビルを建て替える計画があり、来春以降の上映や移転、新館への入店は未定という。
ミニシアター衰退の背景には、都心での開業が相次ぐシネコンの影響がある。日本映画製作者連盟によると、昨年末の時点で全国のスクリーン数は計3364。そのうちシネコンが2911(87%)を占め、00年の44%から激増した。
渋谷では03年、「パンテオン」など4館を擁していた駅前の東急文化会館が閉館。開業したての六本木のシネコンに映画ファンが流れ、新宿に二つのシネコンができた08年からは閉館の流れが加速した。渋谷区によると、区内の映画館は現在13館で計26スクリーン。05~07年の各年度末の約20館、39スクリーンから大きく減らした。
東急文化会館の跡地に立つ「渋谷ヒカリエ」には劇場が入る一方、映画館はない。東急電鉄の広報担当者は「構想段階で一つの案として出たが、新しい文化を創造するというコンセプトを重視した」と語る。
3スクリーンを持つ「ヒューマントラストシネマ渋谷」の支配人、岩崎申也さん(46)は言う。「ミニシアター時代は一つの区切りを迎えたのかもしれない」
同館では数年前から、大型作品とミニシアター系の作品を織り交ぜて上映。会員割引を導入したり、日本初公開の映画を日替わりで企画上映したりと、差別化に注力している。「映画館のファンを増やすことが、ますます大事になってきている」
■新宿はシネコン3館活況
新たな「映画の街」としてのイメージが定着しつつあるのが新宿だ。
渋谷がハロウィーンに熱狂した10月31日夜、2年前に開業した歌舞伎町の「BARキネマ倶楽部」は映画ファンでにぎわっていた。
邦画、洋画のポスターに囲まれる男女4人は、SNSでつながった愛好家の集まり。1週間に1本は見るという東京都小平市の会社員古畑智己さん(44)が言う。「配給会社やジャンルが違っても、どんな作品でも見られる。映画は新宿の時代ですよ」
活況を招いたのがシネコンの開業ラッシュだ。07年に「新宿バルト9」、08年に「新宿ピカデリー」、今年4月には「TOHOシネマズ新宿」が開館した。シネコン3館で計31スクリーン。新宿区によると区内のスクリーン数は47で、過去15年で最多という。
TOHOシネマズは渋谷にも6スクリーンを持つが、広報担当者は「新宿の集客力は魅力的。チケットが即完売になることもあり、想定以上。他のシネコンと競い合うことで相乗効果が生まれている」。
1985年から続く「東京国際映画祭」では、今年初めて新宿のシネコン3館が開催場所に選ばれた。2008年までは渋谷の映画館が使われていた。映画祭担当者は「新宿の街全体が映画祭に対して応援ムードだった」と理由を話す。
渋谷と同様、シネコンに押されて老舗の映画館は減ってきた。08~09年に「新宿オデヲン座」などが相次いで閉館し、昨年末にはミラノ座も58年の歴史を終えた。ただ現在は、街全体が盛り上がっているという。
1920年開業の「新宿武蔵野館」の支配人・一場英樹さん(46)は「映画の街というイメージが定着し、客の全体数が増えた。客の取り合いにはならず、小さい映画館にも人が流れている」と話す。作品によっては、ここ数年で学生など若い層が目立つようになり、20~30代と年配の固定客がほぼ同じ割合になっているという。(藤原学思、小川崇)
■「若者の映画離れ進行」
映画雑誌「キネマ旬報」元編集長で城西国際大教授の掛尾良夫さんの話
いまや映画の街は、渋谷から新宿に移ったと言える。渋谷のミニシアターは1980年代以降、主に若者向けにエッジの利いた洋画を上映してきた。だが、若者の映画館離れ・洋画離れが徐々に進み、年齢を重ねたミニシアターファンは有楽町方面に流れるようになった。新宿は、新宿ピカデリーの昨年の興行収入が日本一になるなど、非常に高いレベルで競争している。シネコンは柔軟な作品編成が可能で、経営者側にとっては効率が良い。都心の一等地にシネコンを立地させることが、客獲得の「勝利の条件」とも言える。渋谷は従来のような映画を上映しているだけでは復権の期待を持てない。若者向けの新しい仕掛けが必要だ。
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以前は渋谷の映画館に行くこともよくあったのですが、最近ではとんとご無沙汰です。魅力的な映画がそこでしか上映されていないと別ですが、他の劇場で観られると、足が遠のきます。
貧乏英語塾長の場合、観る映画は「作品の面白さ」はもちろんのこと、上映館の映像・音声のよさがカギになります。その点、渋谷のミニシアターには満足できないところが多いのです。この結果、4Kプロジェクターやドルビーアトモスなどの最新サウンドデバイスを多く導入しているTOHOシネマズの映画館をよく利用することになります。
実のところ、シネコンでも、どこでもよいわけではありません。新宿ピカデリーは松竹歌舞伎界会員なので1300円でいつでも映画を1本観られるのですが、映像に満足できないため、最近は敬遠しています。新宿バルト9も同じ理由で、ここ2年以上行っていません。
最近では、ロードショー公開の大予算映画を観に行くのは、TOHOシネマズ新宿ばかりとなっています。しかも、最新映画ばかりでなく、古い映画を上映してくれるのもうれしいんです。
昨日は、高倉健さん主演の『新幹線大爆破』(1975)を観てきました。最新デジタル技術で35㎜フィルム映像をリマスタリングし、それを4Kプロジェクターで投影してくれるのですが、その効果は絶大で、これほど美しい『新幹線大爆破』は初めてでした。東映と東宝は、健さんへのよい供養をしてくれたと、ファンとして深く感謝したほどです。
その意味で、資金力に乏しいミニシアターは厳しいかもしれませんが、2Kプロジェクターでも非常に美しい映像を見せてくれることも可能なわけで(新宿・池袋のミニシアターにはそういうところがいくつかあります)、作品の面白さとともに、美しい映像・音声にこだわる劇場が増えてくれたらと願う次第です。