世界中で健康効果の高さから注目されているのがアーモンド。水を加えて攪拌しミルクのようにしたアーモンドミルクも、牛乳、豆乳に続く“第3のミルク”として話題だ。10年前からアーモンドの研究を行う慶応義塾大学医学部・井上浩義教授に話を聞いた。

 井上教授がアーモンドに関心を持ったきっかけは、糖化の研究。

 糖化とは、血中で過剰になった糖と、身体の細胞や組織をつくるタンパク質が結び付き体温で熱せられ、強い毒性を持つ物質ができること。老化を進め、脳卒中や心筋梗塞、骨粗しょう症などさまざまな病気を引き起こす。

 早い段階で対策を講じれば、それらを回避できる。

「6000ほどの食品サンプルを集めて抗糖化作用が高いものを調べたところ、アーモンドは上位100位。この中から日常的に食べやすく、調理せずに済む(=継続率が高くなる)ものを選ぶと、該当したのがアーモンドでした。それ以来、研究の傍ら、毎日摂取しています」

■自然にダイエット

 アーモンドの健康ポイントは、大きく4つ。

 1つ目は、前述の抗糖化作用だ。井上教授は人間の組織に近い鶏皮を用いて実験。糖溶液とタンパク質溶液を入れた試験管に、片方はアーモンドミルク抽出液、もう片方は標準溶液を加え、各試験管に鶏皮を漬け、80度で15分加熱。すると、標準溶液では鶏皮の水分が抜けて硬く褐色になったが、アーモンドミルクの方は水分、弾力が保持され、色の変化が少なかった。つまり、アーモンドミルクの抗糖化作用が明らかに確認できた。

 2つ目はLDL(悪玉)コレステロールの低下だ。

「アーモンドの34%がオレイン酸という一価不飽和脂肪酸で、LDLコレステロールを下げ、HDL(善玉)コレステロールを下げない。冠動脈疾患予防効果が期待できます」

 3つ目は抗酸化作用ゴマの300倍も含むビタミンEが、体の老化を防ぎ、抗糖化作用と同様、さまざまな病気を防ぐ。

 4つ目は体重減少

「豊富な食物繊維が便通を改善し、脂肪分などの排出を促す。男女平均26歳の19人に毎日25粒アーモンドを食べてもらったところ、3カ月目くらいから効果が出始め、6カ月で平均2.9キロ減少しました」

 本当にアーモンドによるものなのかが気になるが――。

「有効成分が本当に吸収されているのかについて、証明されています。たとえばアーモンドを食べれば、オレイン酸やビタミンEの血中濃度が比例して上昇します」

■1日に食べる目安は25粒

 1日の目安はアーモンド25グラム。1粒1グラムなので25粒だ。

 1日の中で午前中が最も酸化しやすいといわれており、食べるタイミングでベストなのは朝。アーモンドをそのまま食べるのでもいいが、井上教授自身が日常的に取っているのはアーモンドミルクだ。

「アーモンドは細胞壁が硬く、よく咀嚼しないと有効成分を体に取り込めない。アーモンドミルクは最初から細胞壁が粉砕されているので、効率よく吸収できます。特に、咀嚼力が弱い小児や高齢者にはアーモンドミルクの方が適しています」

 アーモンドミルクは複数のメーカーから販売されているし、自宅でも簡単に作れる。一晩から二晩水に漬けて軟らかくしたアーモンドを用意。水や野菜ジュースと一緒に、ミキサーで攪拌。ガーゼや茶こしでこして飲む。アーモンド1カップ、水2カップ(浸しておく水以外)が目安。こしてよけた繊維(食物繊維)は、味噌、みりん、水を加えて鍋で炒め煮にすると最高のご飯の供になる。

 なお、体に良いからといって取り過ぎは禁物。カロリー過多になる。

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毎朝、25粒。これがアーモンドを活かす方法だったんですね。間違えていました。

アーモンドの袋を買うと、いつも一気に食べ、またしばらく(下手すると、何か月も)食べないのが貧乏英語塾長でした。これでは、アーモンドのよさを活かしたとはいえません。これからは、「毎日25粒」といい聞かせてつきあいます。

それにしても、アーモンドミルクはアーモンド1カップも使うというと、毎日の摂取量を超えてしまいそうです。だれかとシェアするのか、翌日用に残しておくのか、混乱します。記事はもう少し丁寧な記述をお願いしたいところでした。