ゴウ先生、砲丸投げが大好きです。中学・高校と実際にその競技に取り組んでいたせいもありますが、それ以上に、シンプルな動きの中に複雑なスキルとパワーを両立しないと記録が出ないという競技そのものの醍醐味があるからです。
日本人の砲丸投げのレベルは、室伏広治がいるハンマー投げと違って、正直、世界に通用するものではありません。それでも全日本レベルの砲丸投げの試合を実際に見てもらうと、この競技の凄さをご理解いただけると思います。直径2m13cmの狭いサークルを最大限に活用して大男、大女たちが力の限界に挑戦するのは、間近で見るとすごい迫力と感動を与えてくれるのです。
そんな砲丸投げの世界でゴウ先生がずっと注目していたのが、アメリカのアダム・ネルソンという選手でした。
1975年7月生まれの30歳。アイビー・リーグの名門ダートマス大学在学時代から数々の戦歴を挙げてきました。全米チャンピオンにも何回もなっています。
そんな彼がなれなかったのが、世界チャンピオンとオリンピック金メダリストであります。過去の3回の世界選手権で、シドニー、アテネの両方で、銀メダリストに終わってしまいました。その結果、「シルバー・コレクター」というありがたくない渾名を頂戴する羽目になったのです。
そのネルソンが今回やっと世界一になれました。(それなのに、現時点でアメリカでも、日本でも、ネットで読めるまともな新聞記事は以下のこれしかないというのは、寂しい限りです。)
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<陸上世界選手権>◇初日◇6日◇ヘルシンキ
五輪と世界選手権の銀メダルが各2個と、男子砲丸投げのシルバーコレクターだったアダム・ネルソン(30=米国)が念願の金メダルを獲得した。「扉をノックしながら、いつもあと1歩で逃してきた。でも毎回それを翌年の糧にしてやってきた」と感慨に浸った。
今季前半は資金不足を補うため、インターネット・オークションでスポンサーを募って練習費用を捻出(ねんしゅつ)した。投てき種目の人気が高いフィンランドの観客から大きな声援を受け、「たくさんのエネルギーをもらった」と感謝した。
[2005/8/7/15:55]
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砲丸投げは、体が大きければ大きいほど有利な種目です。(これが、日本人選手が世界で通用しない原因の一つです。)現在の世界記録を持っているアトランタ五輪金メダリストのアメリカのランディ・バーンズは、現役時代身長195㎝、130㎏の体で闘いましたし、現役のジョン・ゴディナ(2回世界選手権で勝っています)も身長が193cmあります。
それなのに、日本人と変わらない182cmの身長でネルソンは世界の檜舞台で戦ってきたのです。敬服するしかありません。
ネルソンの凄さは、彼のパワーとファイティング・スピリットにあります。身長が低くても、世界で争える所以です。
ネルソンの技術は、何種類もの連続写真やビデオで見る限り、バーンズやゴディナと比べても、決して理に適ったものだとは思えません。ゴウ先生の解釈では、アテネ・オリンピックの時の6投目に距離的には逆転できていたのに、ファールをして金メダルを逃してしまったのも、彼の下手くそなスキルが原因です。
にもかかわらず、世界で戦えるのは、彼が類希なるパワー(筋力×スピード)でフォームのひどさを補っているからです。
100mをどれくらいで走れるか知りませんが、彼の投擲スピードを見る限り、10秒台で走ると言われても頷けます。体重が120㎏弱でそのスピードです。おそらくベンチプレスなども250㎏以上は挙げることができるでしょう。そのパワーは驚き以外の何ものでもありません。
それに闘志あふれる彼の競技態度。試技に入る前には顔を真っ赤にさせて何か叫びながらサークルに入ります。とても名門ダートマス大学を卒業したエリートだとは思えないワイルドさです。
しかし、その強いハートがあったからこそ、これまで何度も世界一を目前で逃しても、経済的に恵まれなくても、世界一に挑戦し続けてこれたのでしょう。
あきらめるのはいつでもできます。しかしあきらめれば、永遠に「シルバー・コレクター」という汚名がネルソンにつきまとうのです。それは失敗の確定を意味します。彼にはそれが受け入れられなかったのです。
成功とは、続けきること。
今回のネルソンの快挙がそのことを改めて教えてくれました。夢に向かって、続けきること。それを達成できたネルソンに拍手です。
日本人の砲丸投げのレベルは、室伏広治がいるハンマー投げと違って、正直、世界に通用するものではありません。それでも全日本レベルの砲丸投げの試合を実際に見てもらうと、この競技の凄さをご理解いただけると思います。直径2m13cmの狭いサークルを最大限に活用して大男、大女たちが力の限界に挑戦するのは、間近で見るとすごい迫力と感動を与えてくれるのです。
そんな砲丸投げの世界でゴウ先生がずっと注目していたのが、アメリカのアダム・ネルソンという選手でした。
1975年7月生まれの30歳。アイビー・リーグの名門ダートマス大学在学時代から数々の戦歴を挙げてきました。全米チャンピオンにも何回もなっています。
そんな彼がなれなかったのが、世界チャンピオンとオリンピック金メダリストであります。過去の3回の世界選手権で、シドニー、アテネの両方で、銀メダリストに終わってしまいました。その結果、「シルバー・コレクター」というありがたくない渾名を頂戴する羽目になったのです。
そのネルソンが今回やっと世界一になれました。(それなのに、現時点でアメリカでも、日本でも、ネットで読めるまともな新聞記事は以下のこれしかないというのは、寂しい限りです。)
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<陸上世界選手権>◇初日◇6日◇ヘルシンキ
五輪と世界選手権の銀メダルが各2個と、男子砲丸投げのシルバーコレクターだったアダム・ネルソン(30=米国)が念願の金メダルを獲得した。「扉をノックしながら、いつもあと1歩で逃してきた。でも毎回それを翌年の糧にしてやってきた」と感慨に浸った。
今季前半は資金不足を補うため、インターネット・オークションでスポンサーを募って練習費用を捻出(ねんしゅつ)した。投てき種目の人気が高いフィンランドの観客から大きな声援を受け、「たくさんのエネルギーをもらった」と感謝した。
[2005/8/7/15:55]
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砲丸投げは、体が大きければ大きいほど有利な種目です。(これが、日本人選手が世界で通用しない原因の一つです。)現在の世界記録を持っているアトランタ五輪金メダリストのアメリカのランディ・バーンズは、現役時代身長195㎝、130㎏の体で闘いましたし、現役のジョン・ゴディナ(2回世界選手権で勝っています)も身長が193cmあります。
それなのに、日本人と変わらない182cmの身長でネルソンは世界の檜舞台で戦ってきたのです。敬服するしかありません。
ネルソンの凄さは、彼のパワーとファイティング・スピリットにあります。身長が低くても、世界で争える所以です。
ネルソンの技術は、何種類もの連続写真やビデオで見る限り、バーンズやゴディナと比べても、決して理に適ったものだとは思えません。ゴウ先生の解釈では、アテネ・オリンピックの時の6投目に距離的には逆転できていたのに、ファールをして金メダルを逃してしまったのも、彼の下手くそなスキルが原因です。
にもかかわらず、世界で戦えるのは、彼が類希なるパワー(筋力×スピード)でフォームのひどさを補っているからです。
100mをどれくらいで走れるか知りませんが、彼の投擲スピードを見る限り、10秒台で走ると言われても頷けます。体重が120㎏弱でそのスピードです。おそらくベンチプレスなども250㎏以上は挙げることができるでしょう。そのパワーは驚き以外の何ものでもありません。
それに闘志あふれる彼の競技態度。試技に入る前には顔を真っ赤にさせて何か叫びながらサークルに入ります。とても名門ダートマス大学を卒業したエリートだとは思えないワイルドさです。
しかし、その強いハートがあったからこそ、これまで何度も世界一を目前で逃しても、経済的に恵まれなくても、世界一に挑戦し続けてこれたのでしょう。
あきらめるのはいつでもできます。しかしあきらめれば、永遠に「シルバー・コレクター」という汚名がネルソンにつきまとうのです。それは失敗の確定を意味します。彼にはそれが受け入れられなかったのです。
成功とは、続けきること。
今回のネルソンの快挙がそのことを改めて教えてくれました。夢に向かって、続けきること。それを達成できたネルソンに拍手です。