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政治の世界も、英語の世界も、敵だらけ

2005年08月19日 17時33分24秒 | 気になる英語表現
『ザ・ホワイトハウス』第1シーズンの第8話は邦題を「四面楚歌」、原題で”Enemies”といいます。まさしく、ありとあらゆるところで、ジェド・バートレット大統領以下ホワイトハウスのスタッフたちが敵に囲まれ苦戦する話を描いているエピソードです。

そういう回ですから、登場人物の多くは、怒り・傷つき、自分の生の感情をあちこちで吐露しまくります。その結果、多くの口語・俗語表現が飛び出す結果となるわけです。やはりおすましした堅苦しい英語では心の隅々まで語りつくせないということでありましょう。

実際、口語・俗語表現の多さにおいて、『ザ・ホワイトハウス』は、たいていの映画を凌いでいる印象があります。政治エリートという題材を視聴者に身近なものに感じ取ってもらいたいというプロデューサー兼脚本家のAaron Sorkinの意向なのでしょう。ですから、このドラマの英語は、アメリカのインテリたちが使う生の英語を学べる最高の教材であり、それゆえ普通の日本人には非常に難解な「敵」レベルにあるわけです。

「そんな口語・俗語表現がTOEICやTOEFLのリスニング対策に直接なるのか?」と訝る方もいらっしゃるかもしれません。確かに、これから紹介する表現は、現行のTOEICの本番にはあまり出てこない可能性が高いのは事実です。(それがある意味お行儀がよすぎる現在のTOEICの限界だとも言えます。)

ところが、TOEFLにはしばしば口語・俗語表現が登場します。この試験は、ご存知の通り、北米の大学・大学院への留学志願者を対象にしたものですから、学生が使う口語・俗語表現が、明らかに卑猥で低俗なものでない限りは、出題されるのです。

ゆえに、TOEFLのリスニングで、そして実際にアメリカに渡って苦労しないためにも、以下に紹介するような『ザ・ホワイトハウス』英語を学ぶメリットは十分にあります。政治の世界も英語の世界も克服しなければならない敵だらけですから。

それでは、今日はまず、テスト形式で次の単語・フレーズの意味を考えてみてください。順番は第8話での登場順です。

(1) nerd
(2) buff
(3) in the bag
(4) juice up
(5) chicken out
(6) Suit yourself.
(7) minutes
(8) step out
(9) due respect
(10) sold
(11) nail it

どうでしょう。まあ平均的なTOEFL250点ホルダーだと3つ分かれば十分です。それくらい難しいフレーズ集です。すべて分かれば、完全なネイティブ・レベル。TOEFLの満点300点も夢ではないでしょう。

こんな最高の教材が『ザ・ホワイトハウス』。前回の記事にも書きましたが、ノートと辞書を手元に置いてドラマを楽しめば、どんどん英語の実力がつくこと請け合いです。

それでは、簡単な解説をつけて正解を示しましょう。

(1)nerdは「おたく」という訳語がピッタリです。ドラマではジョシュが大統領のことをこう呼んでからかいます。ノーベル経済学賞受賞の大統領です。アキバ系の部分があっても不思議ではありません(ジョン・ナッシュを思い出してください!)。関心を持った方はどうぞ本編をご覧あれ。ともあれ、「萌え」なnerdです(?)。

(2)のbuffはnerdの兄弟、つまり「マニア、愛好家」と言った意味です。合わせてどうぞ。

(3)in the bagはお洒落な表現。「勝ったも同然」だとか「成功間違いなし」といったイディオムです。日本語だと「手中に収める」と言うところを英語では「カバンに収める」と言うのだと思うと面白いですね。

(4)juice upは、熟語の王道組合せ「動詞+副詞」であります。これで他動詞用法として「活気づける」」というプラスの意味から、「(何かよからぬこと)を焚きつける」という意味までカバーします。『ザ・ホワイトハウス』では、後者のニュアンスで使われています。確認してみてください。

(5)chicken outも(4)と同じ熟語の王道組合せです。chickenにも動詞の意味があったのが面白いですね。(「中学で習った名詞の90%以上に動詞の意味がある」という事実を思い出してください!)ただし、chickenを動詞で使うのはこの熟語の形でしか使いません。そのまま丸覚えしてください。そして、chickenが「臆病者」という名詞の意味があることを知っていれば、この熟語が「怖気づく」「びびる」という自動詞の意味であることもスルっと頭に入るでしょう。皆さん、”Don’t chicken out of English!”ですからね!

(6)Suit yourself.はもうこの文で覚えるしかありません。基本的にはこの命令文でしか使わないからです。「好きにしろ」という捨て台詞です。あまり行儀はよくありませんが、吐き捨てるように使ってください。どうかケンカになりませんように。くわばら、くわばら。

(7)minutesは、俗語でも口語でもありません。しかし『ザ・ホワイトハウス』らしい単語なので紹介しました。しかもこの単語は重要な意味をたくさん持っていますから、簡単だと侮れません。中学1年で「分」と覚えたら、高校1年で発音も品詞も変わった形容詞の「ごく小さい」という意味を習い、そして高校3年で「議事録」と教わったはずです。しかしまず最後の意味を知らない大学生が圧倒的です。なげかわしや。ともあれ、動詞にtake minutesで「議事録を取る」と使います。即、暗記ですぞ。

(8)step outも王道熟語です。しかも自動詞的に「席をはずす」という意味以外ではほとんど使いませんから、”May I step out?”(席をはずしましょうか)と覚えてください。ただし、「席をはずしてください」と相手に頼む時には、この熟語で直接的に要求するよりも、”Would you excuse us?”と言えば、相手は察してくれます。これが大人の態度というものです。

(9)due respectは通常with due respectという形で使うのですが、ドラマでは前者の形で出てきます。これは首席補佐官の娘が大統領に向かって発言する時に使う表現ですから、口語でも俗語でもありません。かなりかしこまった表現で、「おそれながら」とか「敬意を表して申し上げると」という意味です。将来、アメリカ大統領と謁見した時のために、皆さん、覚えておきましょうね。

(10)soldは、”Sold!”という形で覚えた方がいいでしょう。相手が何か提案してきた時に、「御意」、「了解」の意味で使う表現です。もともとは、商談に乗って「売った」という表現ですから、交渉の際に使ってもらえるとよいでしょう。少し英語ができる方ならば、”Done!”と一緒だと言えば、分かりが早いはずです。第8話では、2度ほど出てきます。探してみてください。

(11)最後にnail itという表現を使ってきたのは、脚本家の憎い配慮です。何せ「決めてやる」という意味ですから。「動詞+it」というのは、よくある熟語です。この場合も「及第する」といったような意味が辞書には載っているはずです。しかし、このドラマではitの代わりにthisを使ったりして自由に使っています。つまりはnailが「釘を打つ」という意味ですから、「(釘を打ち込んで)バシっと決めてやる」という意味になるわけです。”I would like to nail it.”の心意気で英語をバシッと決めてくださいね。

そして、第8話は、ジョシュが執務室を出て公邸に帰ろうとする大統領に話しかけるセリフで終わります。

We have talked about more enemies than we used to.
「昔より敵の話をすることが多くなりましたね」

英語を勉強すると、こなさなければならないものが多くなります。でもそれを「敵」だとは思わないで、自分を磨いてくれるありがたい課題だと思ってください。敵だとしても、英語学習なんて楽しい敵ばかりであることは間違いないのですから。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しんで見てます (M)
2005-09-12 02:42:50
話されている単語は知らない言葉ばかりですが、敵だと思わずに辞書を引きます。英語のまま理解できれば、もっと深く楽しめると思って取り組んでみます。
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