忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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人形が演じる心の機微「コープスブライド」

2005年10月21日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


ワーナー・ホーム・ビデオ
ティム・バートンのコープスブライド 特別版

「チャーリーとチョコレート工場」の公開もそろそろ終了が近づいた。
街にハロウィングッズが出回り始める頃になると、
毎年棚から引っ張り出しては観てしまうのが
「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」である。
昨年公開されたリマスター版ももちろん観に行った。
公開から12年経った今も全く古びない、
観る度に新たな感動を与えてくれる
「ナイトメアー」の正統な後継者とも言えるのが
「ティム・バートンのコープス・ブライド」だ。

ストップモーションアニメとは、
人形をほんの少しずつずらしながら撮影していき、
連続再生することで動いているように見せる技術である。
壮大なパラパラマンガ、とでも言えばお分かりいただけるであろうか。
こう書くと実に単純だが、
登場する人形は1体や2体ではない上に、
人形の細かな表情の変化やちょっとした仕草まで完璧に演出するため、
実際には気の遠くなるような作業の繰り返しで制作される。
本作のあるシーンの撮影では、
たった1秒の映像を撮るのに12時間を費やしたという。
上映時間は77分、秒数にして4620秒。数字を見ただけで気絶しそうだ。

本作では、「ナイトメアー」に見られたような
「より精巧に、より滑らかに」という方面への意欲はさほど感じられず、
「人形に演技をさせる」ことに注力したように見える。
主題はあくまでも「演技」であり、「人形」であることについては
「ええ、人形ですよ」と居直っているように思える。
絵本のような楽しさとミュージカルが合体した「ナイトメアー」に対し、
本作では大人向けのストーリーに挑む人形達を
ジョニー・デップやヘレナ・ボナム=カーター、
エミリー・ワトソンなど、そうそうたるキャストがサポートしている。
おかげで、登場人物達の心の動きが手に取るように伝わってくるのだ。
湯水のような制作費をかけ、やれ肌の質感がリアルだの、やれ髪の毛がサラサラだのと、
表面的な部分ばかり人間に近づけたがり、肝心の中身はおざなりという
昨今のCGムービーの対極に位置する作品と言えよう。

個人的に残念なのは音楽。
この部分だけは「ナイトメアー」に完敗ではないか。
バートン作品には欠かせないダニー・エルフマンの音楽は
一定の水準を絶対に下回らないと思っていたのだが・・・
直近作の「チャーリーとチョコレート工場」でも
捨て曲なしの職人芸を見せてくれただけに、
本作の音楽面はかなり不満が残ってしまった。

とはいえ、「ナイトメアー」のファンから
「チャーリーとチョコレート工場」からバートン作品に入ったという
新規のファンまで、幅広く楽しめる作品に仕上がっているので
ハロウィン・シーズンに見る映画としてはお勧めだ。
子供連れで行くよりも、
カップルで観に行く方が向いているかも知れない。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:コープス・ブライド
    配給:ワーナーブラザーズ映画
   公開日:2005年10月22日
    監督:ティム・バートン
    出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、他
 公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/corpsebride/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント (11)
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