忍之閻魔帳

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【ウィキッド ふたりの魔女 公開記念】映画「ジュディ 虹の彼方に JUDY」ステージでしか生きられなかった大スター

2025年03月03日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


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▼【ウィキッド ふたりの魔女 公開記念】映画「ジュディ 虹の彼方に JUDY」ステージでしか生きられなかった大スター



全世界で愛され続けている名作小説「オズの魔法使い」に登場する
悪い魔女・エルファバと善い魔女・グリンダを主人公にしたミュージカルを
映画化した「ウィキッド ふたりの魔女」が2025年3月7日より劇場公開される。
梅田の四季劇場で劇団四季版の生の舞台を観て圧倒されてから早何年経っただろうか。

幾度かの実写映画化、アニメ化もされている「オズの魔法使い(オズの魔法使)」だが
1939年のミュージカル映画「オズの魔法使」で主役のドロシーに抜擢されてアカデミー子役賞を受賞し
一躍スターになった伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランドを題材にした伝記映画があるのをご存知だろうか。
今回は、【ウィキッド ふたりの魔女 公開記念】として
2020年に公開された映画「ジュディ 虹の彼方に JUDY」の紹介記事を元のアメブロ版に加筆・改稿して再掲する。



「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズで人気女優となり
「シカゴ」「コールドマウンテン」「ミス・ポター」など演技派としての魅力も開花させた
レネー・ゼルウィガーが伝説のミュージカル女優ジュディ・ガーランドの晩年を演じた伝記ドラマ。

「オズの魔法使」でハリウッド・スターの仲間入りを果たすも、金に取り憑かれた大人達の思惑によって
ショー・ビジネスの世界で肉体も精神もギリギリまで追い込まれ、
47歳の若さでこの世を去ってしまったジュディ・ガーランドの知られざる晩年を描く。
監督は舞台演出家であり、映画は本作が2作目の長編となるルパート・グールド。
レネーは本作でアカデミー賞の主演女優賞も獲得した。

1968年。
「オズの魔法使」で輝かしい成功を収め、大スターとなったジュディ・ガーランドも今では47歳。
若かりし頃より薬漬けの生活を送っていたジュディの体はもはやボロボロだった。
睡眠障害とアルコール依存により、約束事を守ることができなくなった彼女に
オファーが届くはずもなく、寂れた小屋を回っては日銭を稼ぐ生活を送っていた。
愛する二人の子供を連れての巡業暮らしも限界に達し、止むを得ず元夫に預けたことでいよいよ独りきりになってしまう。
そんな彼女の元に、起死回生のチャンスとなるオファーが舞い込んだ。
未だ人気の根強いロンドンで長期公演に出ないかと言うのだ。
子供と別れ、単身で渡英したジュディは再び輝きを取り戻すことができるのだろうか。




歴史に名を残す大スターは短命なことが多いが、
ジュディ・ガーランドの場合は破天荒な生き方故の早逝というより「ショービズが殺した」と言った方が近いのかもしれない。
17歳でドロシーを演じ世界のアイドルとなったジュディは丸一日の休みどころかゆっくりと眠る時間すら与えられず、
肥満防止のため当時ダイエット薬として使用されていた覚醒剤(アンフェタミン)を常用する生活を送っていた。

薬を飲んではステージに立ち、少しで良いから眠らせてくれという
ささやかな願いすら却下されながら疲弊していったジュディは幾度もの自殺未遂を繰り返し、
やがて大手スタジオは使い捨てのボロ雑巾のように彼女を突き放した。
ジュディが生涯で5回もの結婚と離婚を繰り返したのは、絶望から救い出してくれる強い光を求め続けた結果なのだろう。
重度の薬物依存だった彼女を丸ごと受け止める度量の男などそうそう見つかるはずがない。

本作では、国内で活躍の場を失ってしまっていたジュディが
単身で訪れたロンドンで、人生最期の輝きを取り戻した瞬間を映画化している。
千載一遇のチャンスですらフイにしてしまいそうな彼女を粘り強く支え続けるスタッフ達と、
ふとしたきっかけでジュディと親交を持つひと組のゲイカップル。
2019年末の紅白でMISIAのステージ上を飾ったレインボーフラッグは
「オズの魔法使い」でジュディが歌った「虹の彼方に」から着想を得たと言われているそうだが、
なるほど確かにこのカップルが物語に絶妙なアクセントを加えている。

ジュディはステージ上でファンと語らう時が一番楽しそうだった。
遊びたい盛りに仕事を覚え込まされ、最初はそれが強制であったはずなのに
いつしかそこ(ステージ)でしか生きられなくなっていたのだと思う。(それを象徴するような回想シーンもある)
ステージを降りたところで、手にするのは薬かアルコール。
信頼できるパートナーもなく、愛する我が子すら手から離れてしまった彼女は
ステージでファンと交流することでかろうじて生き長らえていたのかも知れない。

伝記ドラマとして見れば、至極まっとうな作りで特段の面白味はない。
気難しさで言えばマリア・カラスの方が厄介な人に思えるし、
命を削りながら歌う、鬼気迫る生き様はエディット・ピアフの方が上だ。
しかし、だからこそ私はジュディを愛さずにいられない。
最期までささやかな幸せを追い続けた、幼子のように笑うジュディを抱きしめたくなる良作。


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2025年03月07日公開■洋画:ウィキッド ふたりの魔女

全世界で愛され続けている名作小説「オズの魔法使い」に登場する
悪い魔女・エルファバと善い魔女・グリンダを主人公にしたミュージカル映画「ウィキッド ふたりの魔女」は3月7日公開。
善と悪、何もかもが対照的なエルファバとグリンダが友情を育み、袂を分かつまでを2部作で描く。
主演は「ハリエット」のシンシア・エリヴォと世界の歌姫アリアナ・グランデ。
共演にジョナサン・ベイリー、ミシェル・ヨー、ジェフ・ゴールドブラム。
監督は「クレイジー・リッチ!」「イン・ザ・ハイツ」のジョン・M・チュウ。


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