忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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愛がないなら原作物に手を出すな「デビルマン」

2004年10月01日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


▼愛がないなら原作物に手を出すな「デビルマン」


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「デビルマン」に魔の手が伸びた。

東映が手掛けることや、FLAMEの双子が明と了を演じること、
監督・脚本が「ビーバップ・ハイスクール」の那須博之・真知子夫妻であることなど、
地雷を予感させるには充分過ぎるほどの要素が揃ってはいたが、
それでも原作の持つ圧倒的なパワーで幾分かでも見られる物に仕上がっていれば良しとしようと、
そこまで譲歩して鑑賞したにも関わらず、そんなささやかな望みさえ完膚無きまでに叩き潰された。

原作は読んだが遙か昔で記憶は曖昧、テレビも見ていたがそれも遙か昔で同じく記憶曖昧。
マニアと呼ぶには程遠い私でさえこのショックだ、
「デビルマン」に心酔しているコアなファンは卒倒するのではないか。
FLAMEに剃刀を送る者、松明を持って東映を焼き討ちに行く者も出るかも知れない。
それほど酷い。酷すぎるにも程がある。
永井豪の代表作であり、日本のマンガ史に名を残す傑作をこんな形で映像化し、
公開に踏み切った東映の神経を疑う出来だ。

何はさておき主演のFLAMEの二人。
学芸会なら学校でやれ。
双子だけあり、ルックスばかりか演技力まで瓜二つで下手さも4倍増、
見ているこちら側の辛さは16倍増だ。
ちょうど最近レンタル開始になった「かまち」を見た人なら、
あれと同レベルだと思ってもらって間違いない。
「かまち」に出演していたLeadとは同じ事務所らしいが、この事務所は一体何をしたいのだ。
こんな下手でもウチなら主役に押し込めるんだと力を誇示したいのか。
それとも、いつまでもブレイクしないB級アイドルに自ら引導を渡すつもりなのか。
感情の抑揚を声の大小でしか演じ分け出来ないという
今どきの子役レベルにすら達していない演技にはひたすら呆然とした。

次は映画初出演となる冨永愛。
自分の引き受けた妖鳥シレーヌというキャラクターを分かっていたのか。
永井豪の作品をどれかひとつでもまともに見たことがあるのか。
「デビルマン」を始めとする永井豪作品には、「エロ」と「グロ」が共存している。
「エロ」なくして「グロ」は存在しない。逆もまた然りだ。
これを書くと変に勘違いされそうなのだが、決して下世話な期待からではなく、
乳を出さないシレーヌはシレーヌではない、と私は思う。
あんなスクール水着みたいなレオタードでびっちりガードしなければ
出られないというなら、いっそオファーを断れ馬鹿者。
戦闘シーンでは首から下を(おそらく)CGで加工して若干露出度は上がるが、
それでも乳は出さなかった。
演技は素人(棒読み)、乳も出さない、お前の存在意義は何だ。
そもそも、シレーヌにモデル並のスタイルは必要ない。必要なのは淫靡な肉感だ。
若い必要もない。いっそのこと杉本彩あたりなら最高のシレーヌになったと思うがどうか。

この作品で最も腹が立つのは、随所に「お遊び」の要素を入れたことだ。
何故ボブ・サップが日本のテレビで英語でニュースを読むのだ。
何故KONISHIKIに「デーモン、バンザイ」と言わせるのだ。
何故小林幸子がいるのだ。
カメオ出演と言えば聞こえはいいが、重いストーリーを進行していて
いきなり小林幸子に出て来て観客を椅子から転がり落とした後、
また元の重いストーリーにすんなり戻っていけると思うか?

「どら平太」「かあちゃん」「突入せよ!あさま山荘事件」など、
ここ数年は役者としてもいぶし銀の魅力を放っていた宇崎竜童も、
今回は細君と揃っての出演のせいか、それとも途中でサジを投げたのか、
やる気の無さが手に取るように分かる手抜き演技だった。
「ゴジラ」に出ていた時でさえ、今回よりは格段に力が入っていたように思う。

実写のシーンとCGのシーンが別の映画かと思うほど噛み合ってない上に、
肝心のCGもどこかのコンピューター学院の卒業製作かというレベル。
この安いCGにFLAMEの声をかぶせるためさらにキツい。
変身した後ぐらい、素直にプロの声優を使った方が良かったのではないか。

長大な原作から拾い集めたブツ切れの名場面を、
ヘナヘナの演技力の人間とヘナヘナのCGで再現し、
見るも無惨な120分の粗大ゴミにしてしまった東映の罪は重い。
これぐらいなら、公開2週間で打ち切りの憂き目に遭った
「キューティーハニー」の方がよっぽどマシだった。

最後に、この作品最大の謎を残しておこう。
宇崎竜童とFLAMEの片割れが二人で稲刈りをするシーンがある。
ここで宇崎が、FLAMEの右腕にデーモンの証であるアザをみつけるのだが、
みつけられたFLAMEがなぜか空に向かって

「ほわーーーん」

と言うのだ。
授業中に居眠りしていた生徒が注意された後のようなリアクションで。
驚いたとかではない。悲しみでもなかろう。
何だあの表現は。
新しい表現方法なのか。
だとしたら、それはどんな感情を表すための表現法なのか誰か教えてくれ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:デビルマン
    配給:東映
   公開日:2004年10月9日
    監督:那須博之
   出演者:FLAME(伊崎央登・伊崎右典)
       冨永愛、宇崎竜童、酒井彩名
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

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76 コメント

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はじめまして ()
2004-10-01 12:37:17
あの原作を120分で、というのは無理を感じてたんですが・・・やっぱり。富永愛もイメージ的には悪くはないかなと思ってましたが。見るか悩み中です。
返信する
Unknown (Unknown)
2004-10-01 18:32:34
原作者の永井豪さんの記者会見コメント

「僕の伝えたかったテーマを鮮明に描いてもらった。

完成品を見て大満足。

僕のお墨付きです」



だそうですよ。
返信する
む、 ()
2004-10-01 20:31:39
映画に限らず「面白いかどうか」の判断は

見る人の数だけあるので

100人中100人がつまらないとは思わない。

が、それでも今作は100人中90人ぐらいは

受けつけないと思うが。



ちなみに、記者会見場で

「こんなの原作と全然違う」と言う原作者はいないと思う。
返信する
Unknown (Unknown)
2004-10-01 21:12:05
残るは鉄人28号。アニメの出来が良かったので期待せずに入られないのですが・・・
返信する
む、 ()
2004-10-01 23:11:33
「鉄人」のアニメ版は確かに上手いリメークだったと思う。

劇場版を手掛ける富樫監督は「ごめん」は傑作、

「星に願いを」は駄作とバランスが悪いのが難点。

「鉄人」が良い方に転ぶことを祈ろう。
返信する
やはり、そうですかぁ! (green)
2004-10-03 11:10:26
良くない噂を聞いていたのですが、やはり、がっかりモードなのですね。気合いが入っているという話もあったのですが、どの方向に気合いが入っていたのでしょうね。

東映さんは、ちょっと問題児になりつつあるようです。
返信する
む、 ()
2004-10-04 00:25:54
「魔界転生」や「RED SHADOW」の方が

笑えた分まだマシだった。

東映はどこへ行こうとしているのか・・・
返信する
試写会で見てガッカリ (通りすがり)
2004-10-04 20:23:12
この映画かなり真面目に作ってますよね

あっ、でも擁護意見じゃないですよ

てか、シーンやカットの一つ一つにセンスの無さ

光まくってますね

もさーっとしたスタント、歯切れの悪い台詞

原作からの引用が妙に浮いてる

う~ん 真面目に作ってこれでは・・・トホホ
返信する
む、 ()
2004-10-04 22:36:05
見てしまったか。。。御愁傷様としか言いようがない。

返信する
こんにちは (ningyo)
2004-10-05 09:20:49
はじめまして。いつも日記才人のほうから読ませていただいております。

「デビルマン」は事前の不安が当ったみたいというか、とても参考になりましたので、ここにリンクさせていただきました。事後連絡ですが、お願いします。
返信する

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