漫画の思い出
花輪和一(32)
『赤ヒ夜』(青林堂)
『つぼあかご…かかと』
「―つぼあかご―第壱話」
赤子が壺に入って流れてくる。桃太郎を思わせるが、彼?が何か偉いことをしでかすわけではない。子供のいない老夫婦を喜ばせるだけだ。そのことだけでも偉いと言えなくはないが、そんなおめでたい展開にはならない。物語は、突然終わってしまう。
この乳児は幸せ者だろう。善人の夫婦に拾われたからではない。実の親から捨てられて、しかも、生きていけそうだからだ。勿論、そんな解釈は文芸的ではない。しかし、作者の本音はそんなところだろう。
『「因業地獄女「倉」」と通底しているようだ。
(32終)