(書評)
『艶色お江戸謎づくし』(河出文庫)
著者 林美一
喜怒哀楽。
近頃、喜ぶことがない。一怒一老だから、怒るのは避けたい。別に哀しみたくはない。楽しみたい。無理してでも笑うしかない。
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性の悪い女とかけて 病犬ととく 心は、誰にでもくいつく
十六七の娘とかけて 大店のあきなひととく 心は、もうけがあろう
あいぼれとかけて くそつぼととく 心は、こいなかだ
桜餅とかけて 馬屋がからだととく 心は、うまいね
惚れた女の文とかけて 足のあかぎれととく 心は、ふみ見るたびにあいたい
豆腐屋の物惜しみとかけて もみじ川ととく 心は、からくれない
好きよふた仲とかけて 上町の井戸ととく こころは、ほれてふかうなる
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注釈は省略とかけて 未来の連れ合いととく 心は、後でよめ。
(終)