漫画の思い出
花輪和一(14)
『護法童子・巻之(一)』(双葉社)
「旅之壱 呪文月を巡るの巻」
ヒロインの唱える呪文が私には読めない。「南牟阿迦捨羯樂耶」と書いてあるらしい。
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もとはヒンドゥー教でa字を観ずることが行なわれていたが、密教がそれを取り入れた。密教では全宇宙が、〈阿〉の1字に集約されているとみる。サンスクリット語のa字は、すべての文字の最初に位置すること、サンスクリット文字にはすべてa音が含まれて、またa字はサンスクリット語のアウントパーダanutpādaの最初の文字にあたり、それは〈本不生(ほんぷしょう)〉つまり生も滅も超えた宇宙の本源を象徴すると考えられたため、阿字を絶対の真実、大日如来(だいにちにょらい)と同一視する〈阿字本不生〉、また一面、胎蔵(たいぞう)大日に限定する場合もある。
月輪(がちりん)の中、蓮華(れんげ)の上に、悉曇(しったん)文字でaを書いて眼前に掲げ、行者(ぎょうじゃ)が冥想(めいそう)して、阿字を通して大日如来と一体となる法を〈阿字観〉という。密教の修法(しゅうほう)は原則として特定の資格をもった者にしか許されないが、阿字観は在家(ざいけ)の者にも授けてよいとされる。
(『岩波仏教辞典』「阿字」)
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在家信者であるヒロインの唱える呪文のせいで、妹が苦しむことになる。生兵法は大怪我の基という説話らしい。
護法童子を、ヒロインは大日如来と取り違える。
(14終)