『冬のソナタ』を読む
「別れの練習」(下p25~49)
4 指輪
ユジンはサンヒョクと別れたくなる。
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ユジンは指輪を外した。そして、それをケースにしまい引き出しの奥に入れた。絶対に許さない、と言うサンヒョクの顔を思い浮かべながら、悲しそうに呟いた。
「サンヒョク、絶対にわたしを許しちゃだめよ……」
(下p36)
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指輪は、捨てたのではない。隠しただけだ。
この後、ユジンはミニョンからネックレスを受け取る。
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ユジンは、ドアの隣にある鏡に自分の姿を映した。首には北極星(ポラリス)のネックレスが輝いていた。しばらくネックレスを見つめたユジンは、それを見えないように服の胸もとに入れて、荷造りを続けた。
(下p47)
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ネックレスは隠した。捨てたのではない。しかも、「ケース」に入れたのではない。
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ユジンはミニョンと、しばらく無言のまま雪の上を歩いた。ミニョンと何度か歩いた道でもあった。
「……わたし、ミニョンさんにごめんなさいって、言うのはやめます」
「……」
ミニョンは無表情のままユジンを見つめていた。
「ミニョンさんはわたしから一番大切なものを持って行ったから……わたしの心のすべてを持っていったから……わたし、謝ったりしません」
(下p48~49)
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ミニョンはユジンを抱く。
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サンヒョクとの婚約指輪がふたたびはめられたユジンの手が、ミニョンの背中に回される。震える手でミニョンを抱いていたユジン、振り切って駆け去っていく。
(『冬のソナタ 完全版』第10話)
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虚飾の指輪だ。
(終)