そのメッセージが届いたのは4年前の夏の夜でした。
届け主は14歳。中学2年生です。
インスタグラムメッセージ上での長いチャットをかいつまみ、最重要事項だけピックアップすると、「高校を卒業したら礒部組に入りたい」と、そういう内容です。
「待ってます」
と返したぼくも、さすがにそのことをずっと覚えておけるはずはなく、いつしか忘却の彼方へと消え去っていました。
突然思い出したのは数日前です。
あの子は今、何年生だ?
足し算をすればすぐにわかることですが、念のため指を折って数えてみると、ちょうど高校3年生です。
さっそく連絡をとってみました。
「進路は決めましたか?」
しごくあっさりと、県外の建設会社に就職する旨の返事がありました。
「がんばりや」
と返したぼくはもちろん、彼の心変わりを責める気はありません。
なんとなれば、「歳歳年年人同じからず」なのですし、まして、4年という絶対値は同じでも、ぼくの4年が67分の4なのに対し、彼のそれは18分の4。その比は4倍近くにもなるのですから、実感としての年月は、ぼくの想像がおよばないほど長いでしょう。そう考えれば、「変わった」としてもなんら不思議はありません。
と、そうやって自分で自分をなぐさめながらも、本音の部分では、けっこう悲しかったりするぼくなのですけれど。