誰にでも
思春期という時代があります。
そんなものは、歌の台詞だと思っていたのですが、
残念ながら、私にもそういう時代があり、
まさにその時に自覚をしてしまいました。
どうして自覚したなどと言えるのか?
答えることはできません。
むしろ、
ここに書き綴っている時代が
私にとっての思春期の時で
心に深く刻まれているのです。
そして、
その思春期の真っ直中に
心を揺さぶられたのが
このマンガです。
例によって
誰も記憶にないかもしれないマンガです。
小学館の新人漫画賞の入選作でした。
このときの特選作が
岡崎つぐおの「2年A組星子先生」でした。
しかたないよね、この作品なら負けても。
とはいえ、
私にとっては、
この「幸福の都市」こそが人生のバイブルと言えるのです。
近未来の都市に原因不明の病気が流行していました。
その病気は子供に発症します。
・・・生きることを拒否するかのような病気
両親は子供のために
子供の気分が変わるように
アンドロイドをリースしました
小型の 子供と同じ目線を持った人型アンドロイド
わがままな子供は
アンドロイドを困らせます
それはわがままを言うだけではなく
大人の「常識」をプログラムされた
アンドロイドでは対応できないような
子供の疑問
常識への疑念
社会に対する避難
やがて
アンドロイドは自分の感情が
-感情というものがあるならば、ですが-
わからなくなってきて
子供の言うことが正しく思えてきます。
心を持ったアンドロイド・・・
やがて、病状が悪化した子供は・・・
そして、アンドロイドは・・・
なぜ
わたしはこのマンガを読んだとき
あんなにも泣いたのでしょう
それが
思春期だと、自覚して納得しました。
でも
それだけではなかったと
今 思えばわかります。
今でも
このマンガを読めば涙が出てきます。
わたしたち 人間が心を失っていって
アンドロイドがロボットが心を持っているからです。
人間が
エゴや欲に浸ってしまって
殺人や事件を起こすという
単純なことを言いたいのではありません。
このマンガも語ってますが
人間の都合のいいように自然を変えてしまうだけで
そこにいたはずの動物や植物や 生き物は消えてしまうのです。
そうして
人間は知らず知らずのうちに
エゴの中に包まれて
安穏と暮らしているのです。
そして
子供が 無垢な子供の心が
それを見抜いて 暴いてしまうのです。
わたしたちは
わたしたちの心は
汚れているのかもしれません
曇っているのかもしれません。
残念ながら、かづさひろしは
メジャーではそれほど売れずじまいでした。
時代はこういうマンガを受け入れられなかったのでしょう。
少々説教くさいところもあります。
それが思春期のわたしには
ちょうど心に響き渡った
それだけのことです たぶん。
追記
東京三世社刊「シティモニカ」でも
同じような主題の作品が収録されています。
ご興味があれば ご一読下さい。
こちらのほうがマンガとしての完成度は高いのですが
その分 予定調和的な印象があり
ストーリーの先が読めるところがありますね。
○幸福の都市/かづさひろし/少年サンデー,S55, 28号(たぶん)
○シティモニカ/かづさひろし/東京三世社
☆お勧め年代:ん~難しい・・・