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乗馬の技術について思う事7-駆歩と半減脚

2021年01月24日 | ハミなし頭絡

 駆歩の練習が始まる頃から、訳の分からん馬術用語を言われるようになりますよね。「内方姿勢」だの「半減脚」だの。特に、駆歩発進ができないのは、馬に内方姿勢を取らせてないからだ、半減脚を使わなくちゃ、とかなんとか。

 この辺で煙に巻かれて「あー自分が下手だから」が始まっちゃうんですよね。

 そう、「半減脚」 長らく謎用語で講習会とかでも必ず質問する言葉になってましたけど、誰も明快な答を言わない。本に書いてあることも理解不能。意味が明確に分かったのは、実は最近です。分かると、アホらしくて。

 しかし、半減脚が示すこと自体は極めて重要で、これはそもそも乗馬で絶対に必要な技術(?)ではある。馬術用の技術ではない。というかまず馬に乗る時、最初に教えてもらうべきことなんですよ。問題は「半減脚」とされている技術内容を馬術(ということになってる)の範疇内だけで説明している点。だから大混乱になってる。ますますアホらしい。

例えば、このV。宮田さんが解説してる駆歩発進扶助の解説ですが。

この場合、馬に駆歩するよう「指示」し理解させてるのは、結局宮田さんの「駆歩」という言葉なんです。色々解説されてますが、結局馬が駆歩したのは「駆歩」という「言葉」がきっかけ。この場合、解説されてる扶助動作ではなく「駆歩」という言葉が「半減脚」なわけ。どういう意味か?

 半減脚の正体とは:乗ってるお馬さんに「次は、こうしたいんです」という乗り手の考えを事前にお伝えすること。

だから、馬に乗ったら、もう全て半減脚と言っていい。乗りました。常歩をお願いします。方向はあっちね、この角を曲がって、次にこっちをまっすぐ、ぐるっと一周しました、速歩をお願いします、速度はこの位、方向はあっちね、少し速度を縮めてくださ~~い、今度は速くできますか、次は駆歩をこっち方向へ、この直径で輪乗りでお願いします、速歩に戻して、常歩に戻して、じゃあ停止で。この指示ぜーんぶについて、事前に馬にお知らせするのが「半減脚」。止まったまんまでいてください、という指示も、半減脚。

 車でもバイクでも、「急停止だの急発進だのはやめてください」と教習所で言われる。機械相手でこうなんだから。馬は生き物、やってほしい事一つ一つ馬が「分かるように」事前にお知らせして、その指示が明確に伝わり、更に馬にその気になってもらう、のが半減脚。で、そのお知らせの方法は、はっきり言って、分かりやすい合図ならなんだっていい。簡単に思うのは、歩様については「駆歩~~~」って言えばいいじゃないか。普通、動物に対するこの手のしつけは、音声+コマンドで、とにかく理解しやすくするのが筋です。めんどくさいので、自馬にはこの掛け声&脚のちょこっと扶助で発進してもらっています。お互いもうわかってるから簡単。「詰めて~~」と言って詰める、「伸ばして~~」と言って伸ばす。奴は「詰める」=こういうのかなあ、と連結して理解しています。その通りの行動をしたらクリッカーを鳴らしてOKサインを出します。クリッカーはOKを伝える一番ナイスなアイテムですね。

 ところが、馬術では、音声を使うな、となってる。その理由はおそらく、西洋馬術が「軍事教練」だからでしょう。一々「駆歩~~」なんて戦場でわめいてたら、敵に丸聞こえ、あるいはドカンドカン爆発なんか起きてたら聴こえない(いや、馬の聴力は相当なので、聞き取れると思いますけどね)可能性もある、ってことか。

 しかーし、馬術一般で言われている「動作扶助」なるもので馬に伝えるというの、性別・身長等々てんでバラバラ(つまり、動作扶助の内容がまちまちという事になる、統一感がない)な客が、更にいい加減な扶助でもって、クラブホースさんに伝えるって、基本無理筋です。駆歩がうまく行かない最初の理由は、実際はこういう事。

  1. そもそも、馬にやる気がない、やりたくない。その理由は、馬が駆歩という歩様で嫌な思いばかりさせられているから。
  2. 乗り手の駆歩したいんです、という意図&指示を馬に伝える方法に、わざわざ「伝わらない方法」を採用して、それに固執している乗馬指導の問題。

 思うに、馬術なんてのをクラブホースの皆さんにやらせるのは無茶ってもん。そんな事をさせられてる馬が可哀そうだ。

 あと、「半減脚」というバカな訳語。誰がつくったんでしょう?確かに「half halt」だけど、直訳って、アホか。「事前指示」とか、それこそ「コマンド」とか、分かりやすい言葉に変えるべきです。



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