知人から仕事のアドバイスをお願いしたいとの連絡があり、久しぶりにメールなどのやりとりをした。懐かしい反面、仕事を離れ忘れてしまった事も多いと感じた昨日。頭の中は野菜作りや果物作り、そして男料理と、少し楽器の練習だけで毎日を過ごしているから、当然といえば当然。
今日も暑くなりそうだ。昨日は涼しいうちにちょっと草取りをしただけで汗びっしょり、シャワーを浴びてもなかなか汗がひかない。運動をしないから、ちょうどいい健康管理かもしれないが、草の成長に勝てない。
男料理といえば、昨日は今年最後の杏ジャム(正味1kg))を作った。我が家の杏ジャムは酸味をなるべく残したもので、プラムとはちょっと違った味わいになる。このジャムはとにかくケーキ作りなどに大活躍する。杏の収穫時期や産地は限られているので、この時期に一年使う量をストックする。
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煮沸消毒した瓶に、高圧鍋から下ろした後、付きっきりでかき回して煮詰めたジャムを注ぎ、抜気してやっと冷却。これで一年美味しく、安心なジャムを楽しむことが出来る。続いて、煮豚作り、ロース肉にネットを被し、塩胡椒を満遍なく塗し、サラダ油を引いたフライパンでコンガリと表面を焼き、十分焼き色がついたら、ずっと変わらないレシピのタレの中に浸して、高圧鍋で一気に炊き上げる。部屋中にいい香りが湧き上がる。
圧力が下がったら、タレに入れたいくつかの香辛料やハーブを濾し除いて、肉を取り出して、タレを冷やすと見る見るうちに表面は脂の層が固まる。これを取り去って、タレと肉を保存容器入れて冷蔵庫に。チャーハンやラーメン、そのまま酒の肴。タレはさらに煮詰めれば、自家栽培の獅子唐のタレ焼きも絶品。手間暇かかるが、美味しいお酒のためだから努力を惜しまない。
話は変わって、小学生の頃だったがニクロム線に電気を流すと、発熱する実験があった。今ではこの単純な構造で発泡スチロールの切断もやることがある。この実験の最中に源太郎は先生に質問し、怒られて立たされたことがあったことを、今でも鮮明に覚えている。玉ねぎの顕微鏡観察とはまた違った怒られエピソードだ。
「今からニクロム線に電気を流すとどうなるか実験してみてください」(偉そうに先生が発言)
「先生、電気が流れません」(女の子の発言)
「ニクロム線の両端を紙やすりで擦ると銅色になるから流れます」(優しく先生は説明する)
「暖かくなります。熱くなってきました」(優等生の発言)
「そうですね、ニクロム線に電流を流すと発熱します。解りましたか」(シナリオ通りの先生)
「先生、じゃニクロム線を温めると電気が流れるんですか」(源太郎)
「今の実験には関係ないだろ、どうしてそんな質問をするのか」(シナリオにない質問を受けた先生は怒る)
「君は、後ろに立っていなさい」(続いて先生は、源太郎を後の黒板に立たせた)
今思うと、こんな先生に教わったから、こうなってしまった。
どの家庭にも、冷蔵庫やエアコンで冷房したり暖房したりとコンプレッサーが活躍している。しかし小さなカメラなどの除湿格納庫やワインセラー、車の小型冷蔵庫はモーターの音もなく、どうして冷えたり除湿できるのか不思議になることがある。
先生も学んできたのだから、この時ゼーベック効果の話を子供にもわかるように話してくれたら、もっと勉強する人生だったかもしれない。
「ニクロム線だけでは無理ですが、物に温度差が生じると電圧に直接変換されるゼーベック効果という現象を1821年に発見した人がヨーロッパにいました。今の質問は大変いい質問ですね。この実験ではその現象を確認できませんが、今後皆さん勉強してみてください」
なぜこんな風に、未来を明るくしてくれないのだろう。きっと先生はこの講義の時寝ていたのだろう。
まぁ、そんなことを思い出しながら、簡易な冷却装置を組み立ててみた。この工作の要は「ペルチェ素子」という半導体だ。この素子は、供給される電力によって熱を移動させる性質を持っている。四角い板に挟まれた半導体素子が、供給された電力によって、表面から熱を奪い(冷却)、裏面から熱を放出する。そんな素子。
熱効率は低いけれど、ちゃんと冷却してくれる。ただし放熱をしっかりやらないと素子が壊れるので、放熱側のヒートシンクとファンは大きく、冷却側はさほど大きくなくてもいい。
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今回の工作は12Vの定電圧供給電源を使って、素子に流れる電流を4A、ファンには大きい方に0.4A、小型の方に0.1Aの約50Wの冷却器とした。そして、冷却されている状態で、電源を切ると、温度差発電のゼーベック効果を確認できる。当時こんな実験ができたら、立たされなくて済んだのに・・・・
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