「ねぇ、パパさん。この古いカセットテープに録音されている友人の演奏している部分をCDに焼いてくれない」
見ると1974年と記されたカセットテープ。
Mihoちゃんと友人がそれぞれの演奏が録音されている代物。
「めんどくせえなぁ。まぁ聞いてみてやってみるよ」
「じゃ、お願いね。二枚作ってよ」
「はい、はい」
と言っても、段取りがめんどくさい。カセットデッキをセットアップ、そしてヘッドを清掃して古いTDKのテープを装填して、ヘッドホンで音源を聴く。テープは保管状態が良いのと、メタルテープではないので劣化も無くスムーズに回る。しかし、左右の録音バランスが悪い。
「おい、これはミキサーからのLINE入力で録音したの、それともマイク?」
「あら、どうだっかしら。ラジカセで録音したんじゃないかなぁ。覚えているわけないでしょ」
確かに、昨日のことも忘れるMihoちゃんだから、42年前のことなど覚えているわけないよなと思いつつ「右チャンネルは良いが左チャンネルがゲインしているなぁ。これはラジカセ録音だな」というと、「いいから、綺麗にお願いね」と言い、本人はMacの大型ディスプレイの前に陣取り、ポテチを食べながら韓流ドラマを見始めた。
じゃ、仕方ない。まずはCDレコーダーでダイレクトサンプリングの準備をして、Maxellの音楽用CD-RW-Audioの新品を使うことにした。もうこの音楽用のRW(繰り返し録音できるタイプ)はなかなか手にはいらないので通常は繰り返して使用しているが、そこはMihoちゃんの為、清水の舞台から落っこちた思いで段取りを開始。
さて、オンタイムでサンプリングが終わったが、このままではCDの再生にはバランスが悪い。そこで、サンプリングソフトを立ち上げ、コンピューターの力を借りで、音圧を揃え、無駄なノイズを除去して、やっとマスターCDを作り上げた。そしてやっとMusic用CDに焼き付けた。
我ながら42年前の素人録音、それもラジカセの音源を蘇らせたことに満足して、「はい、出来たよ」完成したCDを持っていくと「ありがと。そこに置いといて」と韓流ドラマに見入っている。
話は変わって
「侵入者、なんでこんなものがアタシの昼寝の場所にあるの。どかして」臭いを嗅いで警戒しているラウラがいた。
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「自分で落せよ。いつも棚の上のものを落としているじゃないか」
「早きどけてよ。朝食も食べたし(花かつおをトッピングした我が家の最上級食事)、アタシは寝るんだから」相変わらず態度のでかいラウラ。
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「さぁ、寝るわよ」「寝るなぁ」「眠たいの」
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ジェリーはゴミ捨てに連れて行ってもらえるものとお座りして待っていたが、雨なのでMihoちゃんに置いていかれ、「エェ」と拗ねている。
台風の影響はあまり出ていない。もちろん雨は降っているが、風はほとんどない。