ある本を読んでいてふと思い出す。
新聞に連載されていて感銘を受けた思いがよみがえる。
作家もタイトルも忘れていた。
ネットで探すがなかなか見つからない。
編集部に問い合わすも無しの飛礫。
諦めかけていたが小説の舞台は忘れていない。
作家がその土地の出だということも覚えていた。
もう一度ネットで検索。
やっと探し当てた。
それが、早坂暁の「花へんろ」だった。
図書館で検索し予約し、
今読んでいる所。
『昭和とはどんな眺めぞ花へんろ』
作家のことば。
63年。
大正がおわり昭和と改元される。
同時に、
戦争の足音がヒタヒタと・・・
芥川龍之介が「唯ぼんやりした不安である」と遺書を認め自殺。
「治安維持法」が作られ政府批判に対する弾圧が始まる。
その前に関東大震災時に国の転覆を謀るとして殺害される動きもあった。
昭和になってキナ臭い方向に突き進んでいく。
アメリカとは絶対戦争をしてはいかん。
そういった元海軍大佐水野広徳。
硫黄島でアメリカ軍を大いに悩ませた陸軍中将栗林忠道。
彼とダブる。
結局、かの島で戦死するのだが。
彼もまた、アメリカ・カナダなどを己が眼でしかと見た上で、
決してアメリカと戦争してはいけない。
そう公言した。
それがために軍上層に睨まれ
硫黄島行きを余儀なくされた。
こうして、1945年8月15日をむかえる。
『昭和とはどんな眺めぞ花へんろ』
かみ締めたい言葉ではある。
全三巻。
手応えはある。