昨今、必要としない救急車の出動が増えていると聞いた。
そのため救急を必要とするところに手が回らないとも。
先ほど本を読んでいた。
切りのいいところに来たのでしおりを挟んで椅子から立ち上がり何気なく窓から外を見た。
幹線道路のすぐ近くに救急車が止まっている。
その前に黒のワンボックスが止まっている。
救急隊員が玄関前で立っている。
そのうち家の中に入っていった。
搬送する誰かを急いでストレッチャーで運ぶ気配も見られない。
そのうち救急車の後ろ扉が開けられ女性が一人乗り込んだ。
まだ動く気配がない。
前の車に違う女性が運転席に乗り込んだり助手席側から一人下りたりと。
救急隊員の動きに慌ただしさは感じられない。
関係者と思しき人にも切羽詰まった様子は見られない。
いたって緩慢だ。
逐一見続けるこちらも相当暇だが。
救急車といえば到着するや否やストレッチャーを用意したり小走りに慌ただしさを感じさせるものだが。
あれやこれやで30分ほどしてようやくサイレンを鳴らして発車した。
それの後を追うように黒のワンボックスが発車の合図もなしに道路中央へ出て救急車の後に続いたようだ。
多分、救急車を呼ぶほどのことではなかったのだろう。
呼ばれたほうも来たからには断るわけにもいかないだろうから。
職務上、搬送するしかない。
この30分ほどの間に救急を必要とする人が今や遅しと待っているかもしれない。
ひょっとしたら・・・。