仕事で六本木に行く機会があったので、塩田千春展をようやく観てきた。
六本木ヒルズはいつも混んでいそうで(というか実際混んでいるので)なかなか足が向かなかったのだが、連休とは言え、土曜日の夜はさすがに人が少なくて、ゆっくりと観ることができた。
美術館の夜間開館はありがたい。
”「不在のなかの存在」を一貫して追究してきた塩田の集大成となる本展を通して、生きることの意味や人生の旅路、魂の機微を実感していただけることでしょう。”(本展HPより)
「不在のなかの存在」。
張り巡らさせた赤い糸、「外在化された血管」。
弾くものも聴くものもないまま、黒い糸の中に存在する、焼けたピアノとたくさんの椅子。
吊り下げられ、並び、ときに振動するスーツケースの群れは、次第に上空に上がっていく。
ドローイングやインスタレーションを観るうちに、「不在」を実体化したような作品群の中に、何かが「存在」していること、またそれを通して自分の「存在」を問われているような、そんなことを感じられる作品展である。
ベルリンを拠点として広い分野で活躍し、自らの身体を用いたインスタレーションなども展開しながら、流産や癌を経験してきた彼女の、25年間の集大成となる個展。
演出したオペラの舞台装置の映像や模型も展示され、圧巻だ。
「人間の命は寿命を終えたら、この宇宙に溶け込んでいくのかもしれない」。
ちなみに、森美術館では「MAMコレクション」として会田 誠、ユェン・グァンミン(袁廣鳴)、ジョウ・ティエハイ(周鉄海)の作品も展示されている。会田誠が総理大臣に扮しているのであるが、なかなか似ている!
それから森アーツセンターギャラリーでは、バスキア展も始まっている。こちらは森美術館より早く閉館してしまうので、両方見るならバスキアを先にした方がいいかもしれない。