新国立劇場バレエ団の公演「ニューイヤー・バレエ」を観てきました。
今回はバレエ・リュスのトリプルビル。
「レ・シルフィード」:ミハイル・フォーキン振付。
オーケストレーションされたショパンのピアノ曲に合わせて、幻想的な森の風景の中でシルフィード(空気の精)たちが踊る。
深い森の空気感、青白い照明の中で静かに舞うコールドが最高。小野さん、井澤さんもその淡い光の中に溶け込んでいて、まさに夢の中のような世界。
「火の鳥」は中村恩恵さん振付の新制作。振付助手に首藤康之さん、照明は足立恒さん。モノトーンに赤が差し色の舞台。
何せ、火の鳥がめちゃ高いハイヒールを履いて黒子に支えられながら登場して飛ぶ(?)のにまず驚き。両性具有的な存在。男性たちによるミリタリー的舞踊の展開の中、唯一の女性、今日の「娘」キャスト(男装)の米沢唯さんの存在感はすごかった。劇中、この「娘」がレイプされる場面があると耳にしていたのでちょっとヒヤヒヤしていましたが、確かにそういうシーンがあったもののなるほどなという表現。そして最後の場面は、解説を読んでいなかったらわからなかったかも。
いろいろな解釈ができる作品だけれど、火の鳥の「生命」というテーマが全編から力強く伝わってくるように思いました。
「ペトルーシュカ」は再びフォーキン振付。華やかな、賑やかな舞台。
これはもう、街の人々が繰り広げる細かい技(?)も素晴らしい上、主役の3人(3体?)に至っては、ひょっとしてあなた方ほんとに人形が踊ってるの?と言いたくなる出来栄え。ペトルーシュカの奥村さんはカーテンコールに至っても力入ってない始末(=褒めてる)。池田さんは表情まで、もはや人形。唯一、人形なのに中家さんのムーア人だけちょっと人間っぽい味つけがあったような。
東フィルの演奏も良かったです。