「ブルックリンの少女」 ギヨーム・ミュッソ著 集英社文庫
なんとなく眺めていた書店で、オビに「フランスで50万部超の衝撃作!!」
とあったのを見て、なんとなく読んでみようと思ったのである。
最初、
なんだかなあ・・なんか日本語訳がちょっとなあ・・・
と思わないでもなかったけれど、少し読み進めると予想のつかないスピーディーな展開に、わりと一気読みすることになった。
主人公は小説家で、バツイチ子持ち。シングルで、アパルトマンの隣人にサポートされながら息子を育てているが、優秀で美しい小児科研修医と恋に落ちる。もうすぐ結婚、というところで、恋人である研修医の「過去」を知っておきたいと思ったことから口論となり、そこで彼女は予想もしないものを小説家に見せたのち失踪する・・・
という話である。
その後、小説家はアパルトマンの隣人であり友人でもある元警部とともに、この「事件」を追っていくことになる。このバディ感もなかなか良い。
これは一体どこまで広がるのか?・・と思わせる展開だが、急速に展開していきながら最後にはさまざまな糸が回収されて収束していくところが、さすがでありなるほどと思わせる(最後の方に出てくるエピソードは切なくもあったが)。個人的には、パリの地名や通りの名前に、あああのあたりかと思い当たる部分もあって、そういう意味でも楽しめた。
ただ、登場人物が多くて、ちょっと登場しただけの人物の名前が後でまた出てきて「あれ、これは誰だったっけ?」となるところもあり、やはり「日本語訳がちょっとなあ」感はどうしても否めなかったが。
許しがたい犯罪や社会的な階層の問題など、さまざまな問題も盛り込まれている。どんでん返しが好きな向きには、なかなかオススメである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます