☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『ピクニック』(2013)@東京フィルメックス

2013年12月02日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ピクニック』 Stray Dogs / 郊遊
台湾 / 2013 / 138分
監督:ツァイ・ミンリャン (TSAI Ming Liang)

【作品解説】
台北の郊外に暮らす父親と二人の子供たち。父親は新興住宅地をPRする看板を掲げて街頭に立つ仕事でわずかな金を稼ぎ、子供たちは試食品を目当てにスーパーマーケットの食品売り場をうろつく。夜になると彼らは廃墟になった建物の中にある住みかに帰ってゆく。ある日、一人の謎めいた女性が家族の前に現れる。その日は父親の誕生日だった......。『ヴィザージュ』以来4年ぶりとなるツァイ・ミンリャンの長編作品は、その特異なスタイルが極限にまで推し進められた傑作だ。極端な長回しにも耐えるリー・カンションの演技も素晴らしい。ツァイ作品を支えてきた3人の女優が次々と登場するのも見どころだ。ヴェネチア映画祭で絶賛を受け、審査員大賞を受賞した。
(フィルメックス公式サイトより)




【感想レビュー】@theater
噂に聞いていた通りの!
裏切らない長回しの連続…!!

ラストの長回しは、耐久レース…?、と思いきや、不思議な感覚を味わいました

上映前に、急きょ決まった監督の舞台挨拶を拝見する事ができました。
饒舌にお話しされる監督は、作品のヒントやキーワードを幾つか仰ってくれました。

“時間”、“皺”。。

映画の中には、色んな“時間”がありました。

忍耐の時間。
怒りの時間。
寝る時間。
食事の時間。
哀しみの時間。
笑える時間。
途方に暮れる時間。
また寝る時間…等々…エンドレス。

そしてキャベツを貪り食う父親‼
“時間”をかけて育ったキャベツを貪り食らう…
キャベツ=“時間”⁇
キャベツの芯=“時間”の核??
嗚咽しながらのシーンは、圧巻でした!!


壁の皺も、愛おしい年輪のよう。
芸術的なデザインにさえ思えるその壁の凹凸は、私たち一人一人は、時間をかけて作られる一つの芸術なんだと訴えかけてくるようです。

老いる事は怖い事ではない、悲しい事ではない。
監督のお話しが思い出されます。


そして、ラストの長回しは、劇中の時間と映画を観ている私たちの時間が、一体化する妙な感覚に‼

劇中の中でも時が止まっているようで、交通は相変わらずあり、喧騒も遠くに聞こえるし、父親の呼吸音が“生”を感じさせます。

それが、だんだんと劇場内のシチュエーションと重なってくるのです。

こ、怖い!!
ゾクゾクしました

否応無しに“時間”を感じさせられます。
どんな時も、等しく刻まれている“時間”。
それだけは、決して裏切らない私たちの身近な存在なのです。


凄い映画を観ましたっ

映画を観ていて、感情をコントロールさせられるというのは、沢山ありますが、『閉ざされたカーテン』にしろ『ピクニック』にしろ、感覚をここまでコントロールされるというのは、なかなか出来ない映画体験です

そういう新しい感覚が病みつきになりそうです

2本とも、とっても幸せな映画体験でした











『閉ざされたカーテン』(2013)@東京フィルメックス

2013年12月02日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『閉ざされたカーテン』 Closed Curtain / Pardé
イラン / 2013 / 106分
監督:ジャファル・パナヒ&カンボジヤ・パルトヴィ(Jafar PANAHI & Kamboziya PARTOVI)

【作品解説】
カスピ海沿岸の別荘で一人の作家が執筆活動を行っている。別荘には愛犬がいるだけだ。そこに一組の男女が訪ねてくる。兄妹であるというその二人は、政府当局に追われ、逃げ場を探しているという。やがて、兄は車を探しに出てゆき、作家は妹をかくまう羽目になる......。政府によって映画製作を禁止されているはずのジャファル・パナヒが『これは映画ではない』に続いて発表した新作『閉ざされたカーテン』は、見る者に様々な問いを投げかける作品だ。共同監督も務めた盟友カンボジア・パルトヴィ演じる作家をめぐる物語は、パナヒその人がおもむろに画面に登場した瞬間から大きく揺れ動き、観客に刺激的な映画体験を与えてくれる。ベルリン映画祭脚本賞受賞。 (フィルメックス公式サイトより)




【感想レビュー】@theater
最後、心拍数が上がり過ぎて、立った時に目眩がする程でした
今年観た映画の中でも、忘れられない1本となりました‼

冒頭のシーンとラストのシーンは、同じアングルの長回しです。

柵を境に、海へとつながる外側の世界と、家の中という内側の世界が強く印象づけられます。

冒頭のシーンでは、外側から内側に帰って来て、彼は怯えた様子で、カーテンを閉ざし、光すら入らないように暗幕で目張りをします。

内側の世界こそが、唯一の自由なのです。

それが、ラストは全く同じアングルにも関わらず、感じる事がまるで反対でした!!
このシーンを観た時に、もう心拍数が上がって、大変でした

それはきっと観念的な自由で、パナヒ監督自身を描いたこの作品が、外側の世界へと旅立つ様子に思えました。


私は、パナヒ監督のこれまでの作品は観ていません。
けれども、この映画を観れば、イランで映画を創り続ける不自由さが、痛いほど伝わってきます。
深い絶望、逡巡、葛藤…、決意。
パナヒ監督の苦悩を垣間見ます。

絶え間無いプレッシャーを感じさせられる映画でした。
四隅にどんどん追いやられていくような、ジリジリとした錯覚を覚えました。

印象的なシーンは沢山ありますが、やはり冒頭とラストの、全く同じアングルなのにも関わらず、全く反対の事を感じさせられた時間です。






『不思議なヴィクトル氏』(1938)@東京フィルメックス

2013年12月02日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『不思議なヴィクトル氏』 The Strange Monsieur Victor / L'étrange Monsieur Victor
フランス / 1938 / 100分

【作品解説】
南仏のツーロン。雑貨屋の主人として街の人々から尊敬されているヴィクトル氏に待望の子供が生まれる。だが、彼には表には見せていないもう一つの顔があった......。『舞踏会の手帳』で知られる名優レイミュが複雑な性格の主人公を見事に演じた異色の犯罪劇。 (フィルメックス公式サイトより)




【感想レビュー】@theater
映画が始まる時の、ちょっと古めかしい音の入り方が、ワクワクする瞬間です
大好きです

出て来たのは、何とも偏屈な主人公ヴィクトル氏

偏屈…。
そういえば、『野いちご』の主人公も偏屈なおじいちゃん…あれは、おじいちゃんだった!違う違う

などと思いつつ観始める。

そして前日のお酒がまだ残っていて、時折眠気に引っ張られそうになりながら、手の平のツボをグリグリして、観る

ところどころ、面白いんです

でもヴィクトル氏の妻が綺麗過ぎて、ちょっと納得が行かなかったのですが、前振り?でした


モノクロですが、お洒落な室内やファッションは生き生きと伝わってきます

上の画像にもあるような、石畳みや石の壁

外灯に照らされて伸びる影

それらにワクワクしてあっという間にラスト、えっ⁈な展開に!!

そしてそして、ヴィクトル氏の悪い顔…

急転直下の展開に、狐につままれたままホールの廊下に出ました
面白かったです