☆映画の旅の途中☆

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『海と毒薬』(1986)

2014年04月27日 | 邦画(クラシック)
『海と毒薬』(1986)

監督:熊井啓
勝呂:奥田瑛二
戸田:渡辺謙
柴田:成田三樹夫
浅井:西田健
権藤:神山繁
大場:岸田今日子


【作品概要】
映画監督の熊井啓によって1969年に脚本化されていたが、その内容のためスポンサー探しに苦戦し、実際に映画化されたのは17年後の1986年のことであった。前評判を覆し、ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した。
太平洋戦争末期に実際に起こった米軍捕虜に対する生体解剖事件を描いた遠藤周作の同名小説を、社会派・熊井啓監督が映画化した問題作。敗色も濃厚となった昭和20年5月。九州のF市にも毎晩のように米軍機による空襲が繰り返されていた。医学部の研究生、勝呂と戸田の二人は物資も薬品も揃わぬ状況下でなかば投げやりな毎日を送っていた。そんなある日、二人は教授たちの許に呼び出された。それは、B29の捕虜8名を使った生体解剖実験を手伝えというものだった……。(Yahoo!映画より)
【感想レビュー】
あぁ、もう固唾を呑み、最後まで観ました。真に怖いとは、こういう事を言うのだな、と。
モノクロの映像ですが、1986年の作品です。奥田瑛二さんと渡辺謙さんの演技の対比。存在感の対比。人物描写の対比。

初めは、もしそういう状況下に置かれたとしても、もちろん生体解剖実験など、自分も出来ないっ、という奥田瑛二さん演じる勝呂の立場で観るわけですが…。
そのうち、いつの間にか渡辺謙さん演じる戸田の立ち位置になって観ている瞬間があったりして、自分にギョッとしました…。

勝呂が戸田に、お前は強いな、と言うシーンがあるのですが…。本当に強いのは果たしてどちらだろう。
観終わって、色々思い出しては考えさせられます。

手術部屋シーンの、床の水の質感。
サラサラと流れる血。
光の陰影。
それらの画のゾッとするほどの美しさ。
そして作品を彩るピアノは、野島稔さんの演奏でした。透明感の漂う音色に、かえって心を抉られました。