☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『ザーヤンデルードの夜』 (2016)@東京フィルメックス

2016年11月29日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ザーヤンデルードの夜』 (2016)

【作品詳細】
イラン / 2016 / 63分 / 監督:モフセン・マフマルバフ(Mohsen MAKHMALBAF)

人類学者の父親と救急病棟で働くその娘のたどる運命をイスラム革命前、イスラム革命中、そしてイスラム革命後の3つの時代にわたって描き、マフマルバフ本人もその一端を担った1978年のイスラム革命の意味を鋭く問う作品。検閲によって25分間カットされた後、1990年のテヘラン・ファジル映画祭で上映されたものの、再度の検閲で上映自体が禁止となってネガが当局に没収されたため、それ以降イラン国内外を問わず全く見ることのできなかった幻の映画。近年、何らかの形でネガがイラン国外に持ち出されてロンドンで復元作業が行われ、本年のヴェネチア映画祭クラシック部門のオープニングを飾った。検閲前のオリジナル版は100分であったと言われる。

【感想レビュー】@東京フィルメックス
11/23(水・祝)の4本目。
特別招待作品フィルメックス・クラシックの1本です。

オリジナル版の100分から37分も検閲によりカットされているとのことで、さらに上映されている部分でも、音声が無音にされている箇所が幾つもありました。

逆に、このシーンはなぜ検閲に引っ掛からなかったのだろう…⁈⁈と思う部分も…。

でも、カットされている部分は反体制の言動をしているわけで、無声であるということ、それこそが、まさに体制からすると皮肉ながら監督のメッセージになってしまっているのですが。

革命前、革命中、革命後の3つの時代を経て、人々の考えが変化していきます。
もっと自らの頭で考えなければならないのではないか。映画はそんなメッセージを投げかけてきます。

とりわけ、夜のシーンが美しかったです。白々しい昼間と打って変わり、闇に紛れて真実が垣間見えるようでした。


【Q&A フィルメックス公式HPより抜粋】
17才の時、体制への反対運動で逮捕された監督は、その5年後に人々の考えが変化し、同じ広場で革命の暴動が起きたことに驚く。さらに10年後、同じ場所で交通事故に遭った人を皆が素通りする光景を目にした。「なぜ革命では助け合ったイラン人が、事故では助け合わないのか。その心の変化はどこにあるのか。それがこの映画の問いです」。作中では、革命前と革命後のイランの体制の変化も説明されている。「もし政治に1つの問題があれば、その背景にある文化には10の問題があると思った方が良い」とマフマルバフ監督は警告する。「私はこの映画をイラン人の姿を映す〝鏡〟として作りました。彼らに〝自分たちの姿を見てみろ〟と言いたかったのです」と作品の狙いを語った。


映画が人々の考えを変え、社会に変化作用をもたらすことについても言及されました。

それにしても検閲とは…恐ろしい。

そして、それでも諦めずに立ち向かって行くマフマルバフ監督の情熱に畏怖の念をおぼえます。
上映後のQ&Aでは、優しいお声のトーンで比較的ゆっくりな英語でお話しになられていました。

ゆったりとした雰囲気ながらも、力強くて熱くて、大きな大きなお人柄を感じました。
会場に居た人達を包み込むような温かさが印象的でした。

映画から感じたことを、監督ご自身からも感じました。不屈の精神。信念の人。
アミール・ナデリ監督にも感じることだけれど

壇上から、客席にいたアミール・ナデリ監督を『イラン映画の父』と紹介し、会場からまた温かな拍手が起きました

上映後は、とても清々しい気持ちになりました

手元にあるマフマルバフ監督の本、読まねばー!!
ぬおぉぉぉ

『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』という書籍です。



この日は、4本を観賞したところで会場を後にしました。


同日に、こんなに豊かな映画体験ができるとは…。
恐るべしフィルメックス…!!








『よみがえりの樹』(2016)@東京フィルメックス

2016年11月29日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『よみがえりの樹』(2016)

【作品詳細】
中国 / 2016 / 85分 / 監督:チャン・ハンイ(ZHANG Hanyi)

舞台は中国陜西省の山間の村。映画は、数年前に亡くなった女性シュウインの魂がその息子レイレイに憑依した、という設定から始まる。レイレイの姿を借りたシュウインは、レイレイの父、つまり自分の夫に対し、自分の願いを伝える。それは、結婚当時に植えた木を別の場所に移植してほしい、というものだった……。チャン・ハンイの監督デビュー作である本作は、一種の幽霊譚とも言うべき作品だ。映画の中では幾つかの不可思議な出来事が起こるが、そういった出来事が奇異なものではなく、ごく当たり前のように描かれている点が興味深い。ジャ・ジャンクーが若手監督作品をプロデュースする「添翼計画」の最新作。ベルリン映画祭フォーラム部門で上映。

【感想レビュー】@東京フィルメックス
11/23(水・祝)、この日に観たコンペティション部門の3本目。

最優秀作品賞に輝いた作品です。

亡くなった妻の魂が、息子の体を借りて、夫の前に現れる。思春期を迎え父親に反抗的な息子が、とたんに声は高くなり落ち着いた物腰の妻になる…!
息子役の男の子が、可愛らしい顔立ちなので、なんかものっすごく馴染んでました
それでまたその状況をナチュラルに受け入れる夫や両親達。

葉の落ちた木々が、枯れた山間の村の実情を無言のうちに語る。限界集落だ。ほとんどなす術もなく、ただただ村の運命を受け入れている。

家の前の木を別の場所に移したい、という願いを叶えるため、息子の体に降りてきた妻をトラックの荷台に乗せ、あっちへこっちへと夫が走らせる。
輪廻転生をシュールに描いた寓話であると同時に、夫婦の静かなロードムービーでもありました

所々、緩慢に感じる時間帯はあったけど、これまた所々、吹き出しそうになる所もありました。

高い木の上に登った山羊達の抵抗とか


Q&Aで、本作の舞台、黄土高原地帯は監督が子ども時代に過ごしていた故郷なのだと仰っていました。監督曰く、冬は娯楽もなく、何もすることがない土地、だそうで。

Q&Aを聞きながら、監督は、そのような土地で過ごしながら、いつ、どのようなタイミングで映画の勉強をしようと思ったのかしら、とふと思いました。