『山<モンテ>』(2016)@東京フィルメックス
【作品詳細】
イタリア、フランス、アメリカ / 2016 / 105分 / 監督:アミール・ナデリ (Amir NADERI)
前作『CUT』を日本で撮影したアミール・ナデリの最新作は、全編がイタリアで撮影された作品だ。時代設定は中世末期。主人公は山の麓の村で妻子と暮らすアゴスティーノ。巨大な山が壁のようにそびえているため、この村には太陽の光が十分に当たらず、作物も育たない。移住を勧める忠告に耳も貸さずアゴスティーノは村に住み続けるが、窮状は極まるばかりである。遂にアゴスティーノは、山そのものに挑戦するという驚くべき行動に出る……。何かに取り憑かれたかのように一つの行動を続けるというナデリ作品に共通する設定が、ある意味極限まで推し進められた異形の傑作。ヴェネチア映画祭での本作の上映に際し、ナデリに「監督・ばんざい!賞」が授与された。
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【感想レビュー】@東京フィルメックス
11/24(木)、この日の3本目。特別招待作品の1本です。
待ちに待ったナデリ監督の最新作
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前作の『CUT』は、三部作の構想と仰っていたので、これはその二作目に当たる作品です。
上映前にナデリ監督の舞台挨拶があり、この作品を西島秀俊さんに捧げます!!!…と壇上から熱い熱い熱いメッセージを客席の西島さんへ送る一コマがあり、会場は拍手に包まれました
私の席から振り返ると、西島さんは、キリっと立って(口は真一文字だったと思う…)お辞儀をされているのが見えました
『山〈モンテ〉』
もう、もう凄まじいエネルギーの放出でした!!
旧約聖書の申命記に出てきそう…!!と圧倒されっぱなしで観ました。
ロケ地はイタリアということですし、時代設定も中世末期とのことなのですが、申命記に出てくるシナイ半島の荒れ野やシナイ山頂から見る山々は、もしかしてこういう世界観なのかしら…、とイメージがどんどん膨らみながら…
山の音が不気味に轟き、太陽から見放されたような不毛な土地。ちっぽけな立場の人間に一体何ができるというのか、来る日も来る日も問い掛けられる。
その土地を見限った者も多いが、決して諦めないアゴスティーノ。
決して諦めない、という強靭な精神力が、凄まじいんです。
ナデリ監督はこれを、『不可能を可能にする』という言葉で表現されていましたが、まさにそういう映画でした。
受難に立ち向かっていくアゴスティーノ。
ラストの方で、父親と息子が山に立ち向かっている様のカットが交互に差し込まれて、テンポアップしていくところは、もう臨界点…!!
並べたら向き合うようになる構図が、あたかも二人が互いを痛めつけているようで、でもそれは違い、実際は各々が山に立ち向かっているわけで、これが、己との闘いであることを強烈に印象づけるシーンでした。
こういうシークエンスは、交響曲を聴いている感覚に似ていて、高揚してくるのですが、Q&Aで、ナデリ監督はワーグナーの楽劇をよく聴くと仰っていたので、クラシックのピアノ弾きとしては、ものすごーく嬉しくなって、もっとその部分を詳しくお聞きしたくなってしまいました
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また、まるで絵画のように美し過ぎるシーンもあって、妻の髪を優しく優しく梳かすシーンなんて、もう、もう…
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映画のどこを切り取っても画になるような、
どのシーンもなんだか聖書に出てきそうで、確かにこれは日本では撮れないのだろうな…
と思いました。
上映後のQ&Aも、会場は熱気で興奮冷めやらずといった具合。放心状態といった感じでした。
ナデリ監督から放出されるエネルギーの強さ…!!!!
作品とナデリ監督の一体感…!!!!
まさに『不可能を可能にする』映画でした
フィルメックスHPより
Q&A
http://filmex.net/2016/news/monte_qa
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主演のアンドレア・サルトレッティさんの話
前日(11/23)、ナデリ監督に恐れ多くも、友人達とわらわら話しかけた時にそばにいらして、監督が、彼はモンテの主役俳優さんだよ、とご紹介してくれたんですね、すると彼は、明日みんな来てくれるよね?と気さくに英語で話しかけてくれました
イケメンさんのお顔が超至近距離に…
そらもう、震えました
その印象があったのですが、翌日は上映前に、ロビーで一人ポツンと俯き気味にいらして、シャイな雰囲気で、凄い俳優さんだろうに、なんか完全にアウェイに居る感にまたくすぐられてしまいました…
前日も思ったのですが、映画の中でも、主演のアンドレア・サルトレッティさんは、ちょっと西島さんに似てらっしゃいました
ナデリ監督の好みなのかしらん。
なんか外見だけでなく内面から醸し出す雰囲気とか…。
観てちょうど1週間。『山〈モンテ〉』の魂に胸が熱い状態が続いております。
【作品詳細】
イタリア、フランス、アメリカ / 2016 / 105分 / 監督:アミール・ナデリ (Amir NADERI)
前作『CUT』を日本で撮影したアミール・ナデリの最新作は、全編がイタリアで撮影された作品だ。時代設定は中世末期。主人公は山の麓の村で妻子と暮らすアゴスティーノ。巨大な山が壁のようにそびえているため、この村には太陽の光が十分に当たらず、作物も育たない。移住を勧める忠告に耳も貸さずアゴスティーノは村に住み続けるが、窮状は極まるばかりである。遂にアゴスティーノは、山そのものに挑戦するという驚くべき行動に出る……。何かに取り憑かれたかのように一つの行動を続けるというナデリ作品に共通する設定が、ある意味極限まで推し進められた異形の傑作。ヴェネチア映画祭での本作の上映に際し、ナデリに「監督・ばんざい!賞」が授与された。
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【感想レビュー】@東京フィルメックス
11/24(木)、この日の3本目。特別招待作品の1本です。
待ちに待ったナデリ監督の最新作
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前作の『CUT』は、三部作の構想と仰っていたので、これはその二作目に当たる作品です。
上映前にナデリ監督の舞台挨拶があり、この作品を西島秀俊さんに捧げます!!!…と壇上から熱い熱い熱いメッセージを客席の西島さんへ送る一コマがあり、会場は拍手に包まれました
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私の席から振り返ると、西島さんは、キリっと立って(口は真一文字だったと思う…)お辞儀をされているのが見えました
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『山〈モンテ〉』
もう、もう凄まじいエネルギーの放出でした!!
旧約聖書の申命記に出てきそう…!!と圧倒されっぱなしで観ました。
ロケ地はイタリアということですし、時代設定も中世末期とのことなのですが、申命記に出てくるシナイ半島の荒れ野やシナイ山頂から見る山々は、もしかしてこういう世界観なのかしら…、とイメージがどんどん膨らみながら…
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山の音が不気味に轟き、太陽から見放されたような不毛な土地。ちっぽけな立場の人間に一体何ができるというのか、来る日も来る日も問い掛けられる。
その土地を見限った者も多いが、決して諦めないアゴスティーノ。
決して諦めない、という強靭な精神力が、凄まじいんです。
ナデリ監督はこれを、『不可能を可能にする』という言葉で表現されていましたが、まさにそういう映画でした。
受難に立ち向かっていくアゴスティーノ。
ラストの方で、父親と息子が山に立ち向かっている様のカットが交互に差し込まれて、テンポアップしていくところは、もう臨界点…!!
並べたら向き合うようになる構図が、あたかも二人が互いを痛めつけているようで、でもそれは違い、実際は各々が山に立ち向かっているわけで、これが、己との闘いであることを強烈に印象づけるシーンでした。
こういうシークエンスは、交響曲を聴いている感覚に似ていて、高揚してくるのですが、Q&Aで、ナデリ監督はワーグナーの楽劇をよく聴くと仰っていたので、クラシックのピアノ弾きとしては、ものすごーく嬉しくなって、もっとその部分を詳しくお聞きしたくなってしまいました
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また、まるで絵画のように美し過ぎるシーンもあって、妻の髪を優しく優しく梳かすシーンなんて、もう、もう…
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どのシーンもなんだか聖書に出てきそうで、確かにこれは日本では撮れないのだろうな…
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上映後のQ&Aも、会場は熱気で興奮冷めやらずといった具合。放心状態といった感じでした。
ナデリ監督から放出されるエネルギーの強さ…!!!!
作品とナデリ監督の一体感…!!!!
まさに『不可能を可能にする』映画でした
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フィルメックスHPより
Q&A
http://filmex.net/2016/news/monte_qa
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前日(11/23)、ナデリ監督に恐れ多くも、友人達とわらわら話しかけた時にそばにいらして、監督が、彼はモンテの主役俳優さんだよ、とご紹介してくれたんですね、すると彼は、明日みんな来てくれるよね?と気さくに英語で話しかけてくれました
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イケメンさんのお顔が超至近距離に…
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そらもう、震えました
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その印象があったのですが、翌日は上映前に、ロビーで一人ポツンと俯き気味にいらして、シャイな雰囲気で、凄い俳優さんだろうに、なんか完全にアウェイに居る感にまたくすぐられてしまいました…
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前日も思ったのですが、映画の中でも、主演のアンドレア・サルトレッティさんは、ちょっと西島さんに似てらっしゃいました
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ナデリ監督の好みなのかしらん。
なんか外見だけでなく内面から醸し出す雰囲気とか…。
観てちょうど1週間。『山〈モンテ〉』の魂に胸が熱い状態が続いております。