☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『冬の光』(1962)

2016年12月23日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『冬の光』(1962)

監督/脚本:イングマール・ベルイマン
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
出演:グンナール・ビョルンストランド、マックス・フォン・シドー、イングリッド・チューリン

【作品概要】
スウェーデンの漁村で牧師をしているトマスは、自分の信仰に自信が持てなくなっていた。そんなある日、彼のもとに神経衰弱の夫を持つ婦人が現われる。彼女は夫の悩みを取り去ってくれと訴える。だが、己の愛人との関係に疲れたトマスは、ありきたりの言葉でしか答えられない。やがて、その夫が自殺したという知らせが届く……。“神の存在”をテーマに描いた「神の沈黙」3部作の第2弾。

【感想レビュー】@theater
記事をアップするのがずいぶん遅くなってしまいましたが…。

楽しみにしていた『信じる人をみる宗教映画祭』、一日しか行けなかったのは残念ですが、見逃していたベルイマンの『冬の光』、ようやく観ることができました

また、今回は『カナリア』も初スクリーンで観ることができましたし、大満足でした
『カナリア』は、DVD を持っていますが、スクリーンで観た時のスケールの違いに圧倒されました!その記事はおいおいに…。

この特集は、日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年映画ビジネスゼミの学生達によるもので、今年で6回目だそう。

『信じる人“を”みる宗教映画祭』

この、“を”が、あぁそうなんだよなぁ…!と腑に落ちます。しっくりきます。的を射ていて素晴らしいネーミング

企画立案者の学生の方々、ありがとうございまました!!


『冬の光』
まずは、まずは…、瑞々しいモノクロの映像美が胸に沁み入りました。

プロテスタントの神父の信仰の葛藤が描かれているわけですが、その人間的な心模様にとっても親近感です。

一見、神と真摯に向き合っているはずの神父が、神の存在に葛藤しているのに対し、漠然と信じている者の方が、神の存在を広い意味で信じている様は、なんというか、とてもリアルに感じる描写でした。

教会の礼拝では、パイプオルガンの生演奏があるわけですが、バッハを勉強する私にとっては、ちょっと不真面目な演奏者の彼にシンパシーでした

あくびをしながら出番を待ち、演奏する時は、演奏そのものに集中する感じ


また、愛人の女性教師とのシーンでは、二人の関係の終焉が醜い言葉のやり取りで交わされ…、そのドツボにハマってどうしよもうない雰囲気が、ドアを出る直前に発した言葉で一変し持ち直す…そんな男女の描写も、非常にリアルに感じました。
神父といえど、一人の人間であり、一人の男性なのですね。

人生って、日々の生活の積み重ねなのだなぁ…と改めてしみじみするというか…。

思わず我が身を振り返ってしまいます

10代、20代が過ぎ、30代の始めに若い頃の悩み、課題、葛藤が一つの形を結び、解決したものもあれば、自然受け入れることができるようになったものもある。さぁ、心が軽くなったー!!…と思っていたのも束の間、…今はまた、これまでに感じたことのない漠然とした不安を感じたりして…。

…な、タイミングだったので、ズシン!ときました


それにしても。

ここ数年、本業の為もあり、歴史や宗教の文献にあたっていることが、浅はかな知識といえども映画を観る時にも役に立って嬉しいです


来年も是非行きたい特集です♪