『私が結婚した男 The Man I Married(デジタル)』(1940)
監督:アーヴィング・ピシェル
主演:ジョーン・ベネット、フランシス・レデラー、ロイド・ノーラン、オットー・クルーガー、フランク・ライヘル、アンナ・ステン
【作品概要】
ドイツ出身の夫・エリックとニューヨークで暮らす美術批評家のキャロルは、幼い息子を連れ大戦前夜のドイツを訪ねる。それをきっかけに、エリックが徐々にナチズムに傾倒していき…。当時のナチスのニュースリールを挿入する手法を駆使し、全体主義が国のみならず家庭や愛情を破壊する恐ろしさを描いた、知られざる傑作。
【感想レビュー】@theater
先日の『ナチスと映画Ⅱ』特集の2本目で観ました。
本当に怖い‼…
これは、1940年の作品なのですが、当時、ナチズムがどのようにして世間に浸透していったのかが描かれています。
演説に熱狂する群衆を映したプロパガンダのフィルムは、以前何かで観た事があるのですが、その時の率直な感想は、気持ち悪い‼…と同時に底冷えするような恐怖感でした。
今回も、華やかなニューヨークから来た夫婦がその群衆の中に居る画が印象的でした。
温かくユーモアのあったドイツ人の夫が、ナチズムにどんどん傾倒していく様子はどんなサスペンスよりも怖く、それでも流されずに思った事を言うアメリカ人妻にハラハラします。
間違っている事は分かっていても、もう誰も戦争突入を止められないだろう、行き着く所まで行かなければ…と言う夫の父の言葉が、時の空気を反映していました。
77分と短い作品ながら、これが当時作られて公開された事が凄いなぁと思いますし、今の日本や世界の空気
と比較してどうなのだろう、と身につまされる思いで観ました。