■ウクライナの挑発で全面戦争に誘導されるロシア。背後で笑う米国の思惑とは
MONEY VOICE 2018年12月2日 高島康司
https://www.mag2.com/p/money/592378
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・アゾフ海におけるウクライナ海軍艦艇の拿捕
11月25日に発生した黒海近郊のアゾフ海におけるロシアとウクライナの衝突について解説したい。
これは下手をすると、両国の全面戦争にまで発展する危険性を内包した事件だ。
日本でも報道はされているものの、さほど大きな扱いにはなっていないので、まずは事実から確認したい。
25日朝、ウクライナ海軍の小型砲艦「ベルジャンスク」と「ニコポル」、曳航艇「ヤナ・カパ」は、黒海のオデッサ港からアゾフ海のマリウポリに向かっており、アゾフ海の入り口にあるケルチ海峡を航行するところだった。
アゾフ海はロシアが2014年3月に併合したクリミア、ロシアと敵対関係のウクライナ、そして東部ウクライナの独立派を支援しているロシアの3つの地域に挟まれた海域である。
ロシアはアゾフ海が自国の排他的な海域であることを強く主張し、ロシアによるクリミア併合を認めないウクライナも同様の主張を行っている。
ケルチ海峡には、ロシアとクリミアを陸路でつなぐためにロシアが建設した大橋がある。
アゾフ海が自国の領海であることを主張するロシアは、この大橋にタンカーを停留させ、ケルチ海峡を封鎖していた。
ウクライナ海軍の艦艇はこの封鎖を突破しようとして、ロシア連邦保安局(FSB)の監視船に体当たりしたが、逆に監視船から発砲され、3隻が拿捕された。
ウクライナ海軍は、ロシア側が曳航艇に体当たりし、艦艇の進行を阻止しようとしたと説明している。
このとき、ウクライナの発表では6名の乗組員が負傷したとされている。
ロシアの発表では、負傷者は3名だったという。
・ロシア批判の大合唱と紛争のエスカレート
一見するとこれは、比較的に些細な事件で、ロシアとウクライナの交渉で早期に解決するように見えるが、事態は深刻である。
アメリカを中心とした欧米諸国による御定まりの激しいロシア非難の大合唱になっている。
3隻のウクライナ艦艇への攻撃と拿捕は、海軍艦艇であっても領有権が主張されている海域の自由な航行権を認めている国際法にロシアは違反したとして、ロシアを厳しく非難した。
EUの主要メディアも同じ論調の報道である。
そうしたなか、アメリカの要請で国連安全保障理事会が開催されたが、ロシアとウクライナの相互の批判で終わった。
その席上、アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使は演説し、ロシアとの関係改善は不可能であるとした。これはホワイトハウスの見解を反映しているという。
・ウクライナの戒厳令発令と全面戦争の可能性
そうしたなか、ウクライナのポロシェンコ大統領は軍と情報機関の権限を最大限強化することを内容とした戒厳令を発令した。
有効期間は30日だ。
ポロシェンコ大統領によると、ロシア軍が地上戦を準備しているための対応だとしている。
さらにポロシェンコ大統領は、ウクライナのテレビとのインタビューで、ウクライナ国境に接するロシア軍の基地では戦車部隊などの大規模な増強が見られるので、ロシアとの全面戦争が迫っているとの見方を明らかにした。
今回のケルチ海峡の衝突が、規模の大きい戦争の引き金になるということだ。
・アメリカとウクライナによる誘導
これが、日本を含めた欧米の主要メディアの報道だ。
国際法を無視してウクライナを攻撃し、全面戦争さえしかねない国としてロシアを強く非難する論調だ。
トランプ大統領も強い不快感を表し、11月30日にアルゼンチンのブエノスアイレスで行われるG20のサミットでは、予定されていた米ロ首脳会談の中止を示唆している。
しかし、このケルチ海峡における今回の衝突を詳しく見て見ると、これはアメリカとウクライナによって計画的に誘導されて引き起こされた事件である可能性が極めて高いことに気づく。
これは、ロシアを挑発し、より規模の大きな戦争を引き起こして、ある特定の目的を実現するために画策された事件であると見ることができる。
当メルマガでは、2010年12月に北アフリカのチュニジアから始まり、中東全域に拡大した「アラブの春」や、2004年から2007年ころにかけて中央アジアの旧ソビエトの共和国で広まった「カラー革命」のような民主化要求運動が、米国務省によって準備され、仕掛けられた事件である事実を詳しく紹介してきた。
アゾフ海のケルチ海峡における今回の衝突も、同じように仕掛けられたものである可能性は大きい。
・2003年の取り決めと、9月の航行
このように言うと、なんの根拠もない陰謀論ではないかとの印象を持つかもしれない。
しかし、ロシアやウクライナの英語メディアなどから情報を集めると、やはりこの事件の背後には、ロシアとの戦争を画策するアメリカやウクライナの計画があると言わざるを得ないのだ。
確かに国際法からすると、海軍の艦艇であっても海峡通過などの平和的な目的であれば、どの国の排他的な海域であっても、事前通告なしに通過できることになっている。
1989年、当時のソ連とアメリカはこの取り決めを明確化し、それが現在の国際法になっている。
その意味では、ウクライナ海軍の艦艇はケルチ海峡を自由に通過する権利があるので、それを攻撃し拿捕したロシアは非難されてしかるべきだと見える。
しかし、旧ソビエトが解体し、ウクライナが独立してからは、アゾフ海の領有権が問題となった。
そして2003年の両国の取り決めでは、アゾフ海はロシアとウクライナ両方に帰属する海域となった。
この取り決めで重要なことは、両国の船舶がケルチ海峡を通過するときの規則が定められたことである。
ロシアもウクライナも、自国の船舶が通過するとき、クリミア、ケルチ港の当局に事前に連絡し、通過する旨を伝えることになっているのだ。
この2003年の取り決めはクリミアがロシアに併合された現在も生きており、両国はこの規定にしたがって海軍艦艇を含む船舶の海峡通過を処理してきた。
事実、今年の9月にはウクライナ海軍の艦艇がこの規定に従い、問題なく安全に通過している。
海峡を通過するとき、ロシア安全保障省の係官がウクライナの艦艇に乗り込み、水先案内をしている。
ロシアは今回の攻撃の発端となった海峡通過が、ウクライナ海軍による事前通告なしに強行され、それはロシアを挑発する意図のもとになされたとウクライナを非難している。
もし2003年の取り決めがいまも生きているとすれば、今回はウクライナがこれをあえて無視したということになる。
・アメリカとウクライナの共同声明
このように見ると、今回の事件は偶発的なものではなく、ウクライナがロシアとの緊張を高めるために意図的に引き起こした事件である可能性が高い。
だとしたら、その目的はなんだろうか?
実はこの目的を明確に示す文書が米国務省から公開になっている。
それは、11月16日のマイク・ポンペオ米国務長官とウクライナのパヴロ・クリムキン外務大臣との間で合意された「アメリカーウクライナ戦略的パートナーシップ」の共同声明であった。
そこには、「安全保障とロシアの攻撃に対抗する」という項目があり、そこには次のように書かれている。
「アメリカは、黒海、アゾフ海、そしてケルチ海峡における国際的な船舶の、ウクライナの港に向けての航行に対するロシアの攻撃的な行動を非難する。アメリカとウクライナ両国は、ロシアのアゾフ海における攻撃的な行動が、アゾフ海と黒海地域において、安全保障、経済、社会、そして環境に対する新たな脅威となっていることを強調する」
このように、黒海とアゾフ海におけるロシアの脅威を主張するとともに、以下のようにもある。
「アメリカとウクライナ両国は、ウクライナとロシア国境を含む、ロシアのコントロール下にあるドンバスに、国連決議に基づく強力な国際部隊を配備することこそ、「ミンスク合意」を実行するための安全保障上の条件になると決定した」
これは、いまウクライナからの分離独立を目標にしてキエフの中央政府と戦闘状態にある東部のドンバスやルガンスクの地域に、国連決議に基づいた国際部隊を展開するということだ。
ドンバスは11月11日に選挙を実施して首長と議員を選んでおり、独立した政府樹立の動きを加速させている。これはこの動きを押さえ込む目的もある。
・ウクライナによる全面戦争の挑発か
このように見ると、ケルチ海峡通過にともなうウクライナ軍艦艇の攻撃と拿捕は、ロシアを挑発して戦争を引き起こし、これを口実にして東部ウクライナに強力な国際部隊を展開する目的がある可能性が高いと思われる。
ウクライナのポロシェンコ大統領は、ロシアとの全面戦争もあり得るとしていま戒厳令を敷いているが、おそらくこれは本気なのだろう。
これから本気でロシアとの全面戦争を仕掛け、それにアメリカに支援されたNATOの国際部隊をも巻き込む構えなのではないだろうか。
・東部の親ロシア地域に
これを実現するための重要なステップとしてウクライナ政府が計画しているのは、東部の親ロシア派が支配している地域の沿岸に軍港を建設することである。
もしこの軍港ができると、アメリカを中心としたNATO軍がウクライナ海軍とともにこの軍港に展開することになるだろう。
すると、NATO軍がアゾフ海の領有権を奪還を目指して、ロシア軍と全面的に対峙することになる。
NATO軍とロシア軍との間に万が一戦闘が始まると、欧米のメディアは国際法を無視したとしてロシア非難の大合唱になるだろう。
そのようにして、2014年以来続いているウクライナ内戦を一気に終結させて東部ウクライナを再併合すると同時に、ロシアが併合したクリミアを奪還するという計画だ。
今回のケルチ海峡の事件は、こうした目標を実現するために意図的に準備された、最初の引き金なのかもしれないのだ。
・ロシア政府高官の発言
ケレチ海峡の衝突が発生する少し前、ロシア政府の高官はこれからの状況の悪化を示唆する不気味な発言をしている。
10月28日の英紙「エクスプレス」によると、今月、国連総会第一委員会に出席したアンドレイ・ベロウソフ大統領補佐官は、「ロシアが戦争準備をしている」という米国の指摘に対し、そのことを認めて以下のように発言した。
「ロシアは戦争に“向けて”準備しているが、米国は“戦争の”準備をしている。そうでなければ、なぜアメリカは『中距離核戦力全廃条約(INF)』から離脱し、核潜在力を高め、新しい核ドクトリンを採用するのだろうか?」
これはちょっと分かりにくい発言だが、要するにアメリカはロシアを攻撃する戦争の準備をしているが、ロシアはアメリカの攻撃があることを想定し、それに向けた準備をしているということである。
・これから起こる一触即発の危機
このように見ると、これからロシアとウクライナの全面戦争が始まってもおかしくない状況になるのかもしれない。
ロシアとウクライナの間で起こった今回のケルチ海峡の衝突は、その始まりを予告している。
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ウクライナの挑発で全面戦争に誘導されるロシア。背後で笑う米国の思惑とは
MONEY VOICE 2018年12月2日 高島康司
https://www.mag2.com/p/money/592378
■ウクライナ危機の正体 馬渕睦夫(元ウクライナ日本国大使館大使)
決して報道される事のない真実
・ニコニコ動画 2022/02/18
https://www.nicovideo.jp/watch/sm40100307
・Youtube 2022/02/18
https://www.youtube.com/watch?v=tOK3aC7_cwo&t=0s
■報道自由度、日本は4つ下げ71位に 国境なき記者団
日本経済新聞 2022年5月3日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF031WY0T00C22A5000000/
■報道自由度、日本は71位 国境なき記者団、四つ低下
共同通信 2022/05/03
https://nordot.app/894125755834286080
■報道の自由度 日本 世界71位 順位を4つ下げる
NHK 2022年5月4日
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/82062.html
■民放各社は米国に乗っ取られているのか
「民放各社大株主に米国系の投資ファンドが名を連ねている」
・外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%
「テレビ朝日が12.7%、TBSは13.34%」
日刊ゲンダイ(講談社)2015/11/09
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168954
■「反日中韓」を操るのは、じつは同盟国・アメリカだった!
馬渕睦夫(元外務省、元駐ウクライナ兼モルドバ大使)
出版社 : ワック (2014/10/24)
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■「武力を使わない情報戦争」の真っただ中にある日本は大丈夫か
ZAKZAK(産経デジタル)2015.11.07 ケント・ギルバート
https://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20151107/dms1511071000003-n1.htm