■円安続けば、電気料金「2割」値上げも
東洋経済 2013/02/28
https://toyokeizai.net/articles/-/13090
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日本経済へのメリットばかりが注目されがちな円安だが、海外からの輸入品価格を値上がりさせる要因になることは言うまでもない。
原燃料のほぼすべてを輸入に頼っている電気の料金も、夏にかけ上昇が顕著となりそうだ。円安のデメリットが消費者や企業を直撃する。
・アベノミクス浮上前は「円高」が料金アップを抑えていた
東京電力(写真は同社本店外観)の例でいうと、家庭向けの平均モデルの電気料金は昨年9月に「料金改定」(家庭向け8.46%、企業向けは4月から14.9%)によって、7548円と前月比5%近く上がった。
ただ、その後は燃料となるLNG(液化天然ガス)や原油、石炭の価格が下落したため、「燃料費調整制度」によって今年2月には7273円まで下がり、料金改定の影響をかなり打ち消した。
燃料費調整制度とは、3~5カ月前の平均燃料輸入価格(貿易統計ベース)の変化を毎月の電気料金に自動的に反映する制度(自由化された企業向けにも同様の仕組みを導入)。
原価全体を根本的に見直す「料金改定」とは別のものだ。
アベノミクス期待が浮上する前の昨年11月までは、為替が1ドル=79円近辺で推移していたことも燃料輸入価格の抑制につながっていた。
・円安で急上昇した燃料輸入価格が料金に反映
ところが、昨年12月から円安が急伸したことによって、燃料輸入価格も上昇に転じている。
2月20日に発表された今年1月分の貿易統計によると、原油が6万1288円と前月比4.8%高、LNGが7万3726円で同9.7%高、石炭が1万0471円で同5.7%と軒並み上昇。
1月は為替が1ドル=87~91円へと5円前後上昇しており、それが円建て輸入価格を押し上げた。
その結果、今年1月までの3カ月間の平均燃料価格が反映される4月の電気料金は、7415円(2月27日発表)と直近の底に当たる2月から2%の上昇となった。
さらに、円相場が1ドル=93円前後へ進んだ2月の燃料価格が反映され始める5月以降、電気料金は一段と上がることが必至だ。
仮に4月にかけて今と同じ為替、燃料価格が続くとすると、7月の電気料金は7700円台へと2月に比べて約6%以上の上昇となる。
これは昨年9月の料金改定時と比べても約200円高い水準となりそうだ。
・地域により、家庭用で15~20%アップの懸念も
問題は、値上げがこれだけにとどまらないことだ。
電力業界では今後、東電以外でも「料金改定」が相次ぐ見通し。
家庭向けの料金改定については、関西電力と九州電力が4月からそれぞれ平均で11.88%、8.51%の値上げを申請しており、自由化部門の企業向け値上げ率は各19.23%、14.22%とさらに上回る。
そして大震災の被災地をカバーする東北電力と、四国電力も、家庭向けで各11.41%、10.94%の値上げを7月実施で申請中。
企業向けは各17.74%、17.50%を予定している。
原子力発電所の停止長期化によって、原発部門の固定費負担と、原発を代替する火力燃料の“量”拡大が業績を劇的に悪化させているためだ。
さらに、燃料費調整制度を通じて夏には軒並み数%の値上げが上乗せされる見通し。
まさにダブルパンチだ。
各電力会社は原油、LNG、石炭の燃料構成比が異なるため、同制度を通じた料金への影響はまったく同じではない。
たとえば東電はLNGの割合が高いが、四国電力は石炭の比重が多い。
とはいえ、円安が燃料価格を押し上げる要因であることは共通している。
料金改定の幅は政府の審査によって多少圧縮される可能性もあり、実施時期が後ズレすることもありうる。
ただ、もし申請通りに料金改定が実施されたとすれば、そうした地域では、燃料調整制度による値上げ分と合わせて、家庭向けの電気代は今より15~20%程度上昇することになる。
さらに、ドルベースの燃料価格も上昇するようなことになれば、2割以上の高騰になる可能性も否定できない。
企業向けの電気料金の値上げ率は家庭向けよりさらに数%高くなる。
復旧復興が急がれる東北地方の住民・企業への影響は特に懸念されるところだ。
・ガス料金にも原料費調整制度で燃料高が転嫁
電気だけでなく、都市ガスについても、やはり原料のLNGは全量輸入に頼っており、同様の「原料費調整制度」を通じて原料価格や為替の変動が自動的に反映される。
料金が自由化されているLPガス(液化石油ガス)についても その原料価格は最有力輸出国であるサウジアラビアのサウジアラムコ社(国営)が通告する輸出価格(CP)で決まっており、料金の変動を透明化するという名目で多くの業者が独自に原料費調整の仕組みを採用している。
いずれも円安による今後の上昇は避けられない。
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円安続けば、電気料金「2割」値上げも
東洋経済 2013/02/28
https://toyokeizai.net/articles/-/13090
■「節電しないと今夏、大停電」はウソ、火力・新エネルギーで電力需要は賄える
東洋経済 2011/06/22
https://toyokeizai.net/articles/-/7255
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原子力発電所の停止で大停電がやってくる--。
今夏は原発事故を起こした東京電力だけでなく、九州電力「玄海」のように、定期点検中の原発も再運転が危ぶまれており、全国的に電力不足に陥るという予想が台頭。
東電管内などでは、家庭や企業に対して「一律15%」の節電を要請する構えだ。
が、一部では「夏の停電説は、原発が必要なことをアピールするプロパガンダではないか」との見方が広がっている。
というのも、電力会社が発表する供給能力が、徐々に、だが確実に拡大しているからだ。
東電の場合、今夏のピーク時電力需要予測は5500万キロワットとしたうえで、震災直後に「供給能力は7月末時点で4650万キロワット程度。約1000万キロワットも足りない」と発表。
家庭や企業間で恐怖心が広がった。
ただその後、休止中の火力発電所などを立ち上げることで供給能力が回復。
現状では、8月末の供給力予測は5620万キロワットと、すでに想定需要を上回っている。
事故当初は、被災した発電所をどの程度再開させられるかわからなかったにせよ、「こんなハイペースで引き上げられるのは、もともと能力を隠していたと勘繰られても仕方ない」(業界関係者)。
そもそも、3月に行った計画停電は、原発に加え火力発電所が被災したことによる供給能力の低下の影響も大きかった。
「頑張れば停電しなくて済む日もあったはずだ。東電や政府は、その情報を正確に伝えずに、世論を操作したのではないか」と、名古屋大学大学院環境学研究科の高野雅夫准教授は指摘する。
・原発依存が招いた停電
一方、政府の要請によって浜岡原発の全原子炉を停止した中部電力では、2011年度に占める原子力の電源構成はわずか12%。
「原発を止めたとしても水力と火力だけで3000万キロワットの設備容量があり、今年のピーク容量見通しは賄える」(高野准教授)。
原発停止による電力供給への影響は、各電力管内でも微妙に異なるが、「全国でかなりの原発が止まっても、火力で賄える」と、原子力資料情報室の西尾漠共同代表は言い切る。
西尾氏によると、昨夏のピーク需要量約1.8億キロワット(原発を持たない沖縄電力を除く9社合計)のうち、原子力が担ったのは計算上、わずか1500万キロワットで、約1.6億キロワットは火力や水力が担った。
今夏は需要が昨年を下回ると見られるほか、火力を増強しており、原発による発電量が相当絞られても堪えられる計算になる。
冷夏だった09年は、原発をまるで使わずに最大電力が賄えたという。
夏場のピークといっても、「実際は夏場の数日間、しかも数時間程度。
その9割は事業所が使用する。工場の休み時間を1時間ずらすなど、ピークを下げるやり方はいくらでもある」(高野准教授)。
一方、近年電力消費量が増えてきた家庭部門でも、「電気湯沸かし器など電力消費量の多いものを使うのをやめればバブル期の水準にまで消費量を落とせる」。
・風力で原子力を賄える?
とはいえ、原子力の代わりに石油を使った火力発電量を増やすことは、二酸化炭素(CO2)の排出量の増加にもつながる。
こうした中、新たなエネルギー源を模索する動きも出そうだ。
風力発電の発電量ポテンシャルは19億キロワット--。
4月末、環境省が発表したある調査結果が、関係者の度肝を抜いた。
タイトルは「再生可能エネルギーポテンシャル調査」。
風力や太陽光など日本における再生可能エネルギーの潜在発電力を試算したところ、風力発電は現状の約760倍という驚愕の結果が出た。
もっとも、日本風力発電協会によると、潜在力が高い地域は北海道や東北で、可能な設備容量なども加味すると、「50年までに2500万~3000万キロワットというのが妥当な数字」(斉藤哲夫企画局長)。
加えて「補助金がなくなってからは風力の採算は厳しい」(電力会社)。
ただ、足元では電力の買い取り制度の見直しも進んでおり、今後、利用が伸びる潜在性を秘めている。
仮に2500万キロワット発電すれば、100万キロワット程度の出力を持つ原発の25基分に相当する。
火力発電所や新エネルギーで電力消費が賄えてしまえば、原発の必要性は一段と訴えにくくなる。
「反原発」「脱原発」の波が全国的に広がる中、電力政策は今夏、新たな岐路を迎える。(週刊東洋経済2011年6月11日号)
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「節電しないと今夏、大停電」はウソ、火力・新エネルギーで電力需要は賄える
東洋経済 2011/06/22
https://toyokeizai.net/articles/-/7255
■サマータイム導入、計画停電etc.で疲弊する企業へ贈る「電力余り」をひた隠す、マスコミ、関電のウソを暴く!
ビジネスジャーナル (Business Journal) 2012.05.18
https://biz-journal.jp/2012/05/post_149.html
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昨年に続き、政府、電力業界、マスコミ合同の「電力不足キャンペーン」(以下、キャンペーン)騒ぎが起こっている。
まずはキャンペーン展開の流れをおさらいしておこう。
口火を切ったのは、電力10社が資金を出し合い、政界や官公庁へのロビー活動などを行う電気事業連合会。
3月16日、八木誠・同会会長は会見で「原発を再稼働しなければ今夏の電力供給は非常に厳しい。国民生活や産業に多大な影響を与える」と警告した。
続いて4月9日、経産省は「原発を再稼働しない場合の関西電力管内の今夏の電力需給見通し」を発表、八木会長の警告を公的に裏付ける試算を示した。
それによると、原発稼働ゼロなら平年並みの暑さで7.6%、猛暑の場合は19.6%の電力不足となるとしている。
加えて、原子力発電の代替燃料輸入により、関西電力の燃料費は年間7000~8000億円増、(原発を保有していない沖縄電力を除く)大手9電力会社合計では年間3.1~3.8兆円増としている。
枝野幸男経産相も、「原発を再稼働しなければ今年の夏は電力不足になり、(燃料費増加が電力会社の経営を圧迫するので)電気料金値上げをお願いしなければならない」と強調した。
さらに4月16日、関西経済連合会・沖原隆宗副会長が定例会見で「原発の早期再稼働が必要」と訴え、角和夫副会長も「(電力不足は)さらなる産業の空洞化を招く」と訴えた。
翌17日、「フジサンケイビジネスアイ」(日本工業新聞社)はこの会見を報じる中で、「武田薬品工業が5月のGWの連休を返上して生産を決定、サマータイム導入を決める企業が相次いでいる」と触れ、早くも関西は混乱に陥っているかのような報道を行った。
しかし、電力は本当に足りないのだろうか?
マスコミが電力業界や経産省の協賛報道をすればするほど、国民の素朴な疑問が湧き上がり、それに応えるような報道も次々と発信されている。
原発ゼロでも、夏季の電力不足はわずか58時間 ? 共同通信(4月21日)
関西電力は今夏の需給見通しで「原発ゼロで関西電力が供給できる最大電力量は2574万kW/時。
昨夏の最大使用量は2784万W/時。したがって今夏は210万kW/時の電力不足が発生する」と主張している。
しかし、共同通信が関西電力の公表資料から、昨夏の1時間ごとの電力使用量を調査したところ、2574万kW/時を超えたのは12日間で合計58時間。夏季85日・2040時間のうち2.8%に過ぎなかった。
しかも、連続超過時間は最長で10時間、次が8時間、それ以外は1日3~5時間だった。
キャンペーンを鵜呑みにすると、電力不足が毎日続き、夏季中ずっと停電対策が必要と錯覚してしまう。
マスコミに踊らされている関西の企業は、過剰な心配と苦労を強いられているといえそうだ。
原発再稼働なくても「埋蔵電力」活用で乗り切れる ? 週刊ポスト(小学館/4月27日号)
資源エネルギー庁の資料分析から、利用されずに眠っている「埋蔵電力」を発見し、「原発ゼロでも夏を乗り切れる」との報道。
これによると、企業などの自家発電全国総量が5373万kW/時分ある。
これは東京電力1社分の供給量に匹敵する。
このほか、電力会社が大口消費者と契約している「需給調整契約」(電力不足時にピークカットする代わりに、平常時の電気料金を大幅割引する契約)の総電力量が、原発5基分(505万kW/時)に上る。契約通りピークカットをするだけで電力不足は起きない。
しかも大口契約者の大半は自家発電設備を持っているので、大きな混乱が起きる恐れも少ない。
さらに企業の非常用電源も2300万kW/時分眠っている。
これらの埋蔵電力を活用すれば、原発に頼らなくも今年の夏は電力不足にならないと報じている。
全原発停止でも供給に余力 ? 週刊ダイヤモンド(ダイヤモンド社/2011年7月19日号)
昨年8月1カ月間で、西日本の大手電力6社の合計供給量が、ピーク時より約1500万kW/時も余力を持っている事実を明らかにしている。
原発ゼロの場合、6社合計の供給量は1万114万kW/時。
一方、需要量が9767万kW/時。この需要量に、安定供給の目安となる各社の「供給予備率」を掛けると、合計で275万kW/時の不足。これが電力業界の言い分だ。
しかし、各社の資料から認可最大出力量と供給可能量の合計差をはじき出してみると、生産能力的には合計1486万kW/時の供給余力を持っていることが判明したのだ。
同誌は「電力会社の言う電力不足には、数字的根拠がない」と断じている。
これらの調査報道を見る限り、電力不足どころか、逆に「電力余り」ではないかとも思えてくる。
なぜ政府と電力業界は正確な電力需給量を公表せず、不安を煽るようなキャンペーンを展開しているのだろうか?
発電燃料である天然ガスを、いまだに米・電力相場の数倍で購入しているなど、経営努力を怠る一方で、燃料費増などで赤字転落を防ぎたい電力業界の思惑と、原発を再稼働させたい政府(経産省)の思惑が一致した世論誘導との疑いを禁じ得ない。
少なくとも政府と電力業界には、「電力余り」を示唆する報道について、説明責任があるのではないか?
(文=福井 晋)
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サマータイム導入、計画停電etc.で疲弊する企業へ贈る
「電力余り」をひた隠す、マスコミ、関電のウソを暴く!
ビジネスジャーナル (Business Journal) 2012.05.18
https://biz-journal.jp/2012/05/post_149.html
■電気代 6社値上げへ 燃料高・円安で収益悪化 政府、今冬の節電要請
沖縄タイムス 2022年11月2日
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1050591
■企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う
2021/12/8 週刊ポスト
https://www.moneypost.jp/858236
■ソロス氏のヘッジファンド、円安で10億ドルの利益
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGN1500J_V10C13A2000000
■日銀金融緩和で刷られた円の行き先が日本企業でも日本国民でもないカラクリ
(Dr.苫米地 2016年9月15日)TOKYO MXバラいろダンディ
https://www.youtube.com/watch?v=tvzNqO6qsGI