■コロナ、22年春には「風邪に近づく」 英専門家が指摘
日本経済新聞 2021年9月24日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR235270T20C21A9000000/
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英オックスフォード大学のジョン・ベル教授は23日、英ラジオの番組で、新型コロナウイルスは2022年春には一般的な風邪に近づくとの認識を示した。
ワクチン接種が進んでいるほか感染することによって免疫力が高まっていると指摘し、「最悪期は超えており、冬も乗り越えられるだろう」と述べた。
英BBCによるとベル氏は英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学による新型コロナワクチンの開発に携わった専門家だ。同氏は番組で新型コロナが他の一般的な風邪に近づくかと問われ、「恐らく来年の春までにはそうなっているだろう」と語った。
医療システムへの負荷が大きく減ったとした上で、「死者は非常に高齢の人が多く、新型コロナが原因で死亡したかどうか完全には分からない」とも述べた。
英国ではこれまでに、16歳以上の82%が2回のワクチン接種を受けたほか、50歳以上には3回目の接種を始めた。
7月19日に感染対策の規制を全面的に解除してから、1日の新規感染者は3万人台と高水準で推移しているが、ワクチン接種の効果で死者や入院者数はこれまでの流行時のようには増えていない。
7月の規制解除でマスク着用などの義務が無くなった
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コロナ、22年春には「風邪に近づく」 英専門家が指摘
日本経済新聞 2021年9月24日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR235270T20C21A9000000/
■シンガポールはコロナを「はやり風邪」の扱いに…方針転換の根拠はイスラエルのデータ
デイリー新潮 2021年07月27日
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/07270602/?all=1
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・共生を目指す英国の動き
一方、世界に目を転じると、成人の過半数が新型コロナウイルスワクチンを接種した国々では「コロナとの共生」を目指した取り組みが始まっている。
中でも注目を集めているのは英国の動きである。
英国政府は7月19日、マスク着用とソーシャルデイスタンスの維持などコロナ対策の主要な規制を全面解除した。
1日当たりの感染者数は5万人以上と日本と比べて格段に多いにもかかわらず、政府が大胆な措置に踏み切った背景にはワクチンに対する信頼がある。
2回のワクチン接種を完了していれば、感染することはあっても重症化することを防げることが明らかになっているからである。
英国では新型コロナウイルス感染症でこれまでに約13万人が死亡しているが、7月に入ってからの1日当たりの死者数は50人以下にとどまっている。
ジョンソン英首相が5日に「ワクチン接種が進み、感染と死亡の関係を断ち切ることができた。コロナと共生する新しい方法を見つけなければならない」と述べたように、これまでの感染抑制に重点を置いた政策からの大転換である。
ジャビド英保健相は「新型コロナウイルス以外の医学や教育、経済上の問題がパンデミックを通じて蓄積されており、感染者数が1日当たり10万人に達したとしても、社会を正常に戻す必要がある」として、今回の措置は新型コロナウイルスと一緒に暮らすことを学ぶプロセスの一部だとの認識を示した。
科学者の多くは今回の決定を不安視しているが、「これにより英国経済は第3四半期中にコロナ禍以前の水準に回復する」とする楽観的な予測が出ている。
「新型コロナウイルス感染症を撲滅するのでなく管理しながら共生すべきだ」とする方針転換は、英国を始めとする欧米諸国の専売特許ではない。
日本ではあまり知られていないが、シンガポール政府が一歩先んじている。
シンガポール政府は6月下旬に「感染者数の集計をせずに重症患者の治療に集中する」と宣言、新型コロナウイルスを季節性インフルエンザのように管理する戦略に切り替えた。
シンガポール政府の方針転換の根拠になったのはイスラエルのデータである。
それによれば、ワクチン接種完了者が感染する確率は未接種者の30分の1、重症化は10分の1に過ぎないという。
昨年の新型コロナウイルスの致死率は2~3%だったが、イスラエルのワクチン接種完了者の致死率は0.3%まで低下している。
この数字は季節性インフルエンザの致死率(0.1%未満)と大きな差はない。
新型コロナウイルスはインフルエンザのような「はやり風邪」になりつつあるとの認識が今後定着するようになれば、「社会としてどの程度まで感染の広がりを許容するのか」という判断が次の大きな問題となる。
残念ながら東京五輪の大部分の競技が無観客で実施されることになったが、「五輪の開催地がもし欧米の都市だったら、今の日本のような感染状況で無観客で実施されるだろうか」と疑問視する声が海外から上がっている(7月14日付ニューズウィ-ク)。
ワクチン接種は欧米諸国に比べて遅れているが、7月末までに希望する高齢者すべての接種が完了する予定である。
日本でも海外と同様、感染者数の急増にもかかわらず、重症者数と死者数はかつてほど上昇しない傾向となりつつある。
「ゼロ・コロナ」を目標にするのは望ましいが、感染者数を基準に対策を講じている限り、8月22日の期限までに宣言が解除される見込みは立たない。
いつまでたってもコロナ禍以前の状況に戻れないとの不安が頭をよぎる。
日本でも「重症数を基準にした対策に切り替えるべきではないか」との声が出始めているが、これに対して感染症専門家は「政治判断の問題である」としている。
社会心理学の分野で人々のリスク認知に関する研究が進んでおり、それによれば「危険は実在するが、リスクは社会的に構成される」という。
毎年犠牲者を出しているのに軽視されるリスク(自動車事故など)がある一方、犠牲者の多寡にかかわらず、心理的に受け入れがたいリスクがある。
新しく出現した感染症はその典型例とされている。
いったん「怖い」と判断したリスクについては、人はそれに対する認識を改めることは容易ではないことがわかっている。
一方「リスクを制御できる」と考えるような状況になれば、人々のリスク許容度は格段に高まることもわかっている。
リスク・コミュニケーションの重要性が指摘されているが、新型コロナウイルスを脅威と感じている高齢者に対して、政府は「切り札」と位置づけるワクチンの効果を積極的にアピールして、「ワクチンを打てばコロナ禍以前の日常生活に戻ることができる」と推奨すべきである。
さらに「自らがワクチンを接種することで社会全体が元に戻ることができる」という「明るい展望」を語れば、ワクチン接種に消極的な若者の考え方も変えることができるだろう。
変異株の危険性が喧伝されているが、米国疾病予防管理センター(CDC)は「ワクチンと控えめなマスクの着用を組み合わせるだけで変異株の感染拡大を防ぐことができる」と主張している。
日本では欧米と異なりマスク着用に違和感が少ない。
この利点をいかして「換気の悪い場所でのマスク着用」を条件とした日本独自の「ウィズコロナ」戦略を構築すべきではないだろうか。
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シンガポールはコロナを「はやり風邪」の扱いに…方針転換の根拠はイスラエルのデータ
デイリー新潮 2021年07月27日
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/07270602/?all=1
■ウイルス専門家「ウイルスは“弱毒化”していく」
エキサイトニュース 2021年1月12日 女性自身
https://www.excite.co.jp/news/article/Jisin_1938931/
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海外でワクチン接種開始という明るい話題の直後に報じられた、コロナ変異種の出現というニュースに愕然としている人も多いだろう。
専門家に実際の危険性を聞いたーー。
昨年12月に、イギリスで見つかり、世界中を震撼させた新型コロナウイルスの変異種。
従来種よりも最大1.7倍の感染力があり、ロンドンでは厳格なロックダウンに踏み切ったにもかかわらず、またたくまに感染は各国に拡大した。
「変異種と聞くと、悪魔がパワーアップしたような印象を持つ人が多いのですが、ウイルス自体が意思を持って、感染力を上げようとしているわけではありません。ウイルスが増えていく過程で、遺伝子のコピーにエラーが起こり、性質の異なる変異種が生まれていくだけです。そして、たまたま生まれた、感染力が強いという有利な特性を持った変異種が生き残っているということなのです」
そう語るのは順天堂大学医学部講師で免疫学が専門の玉谷卓也先生だ。
変異によって感染力が高まったということだが、感染した人の死亡率や重症化率を高めるような“毒性の強い”変異種が生まれる可能性はあるのだろうか。
ウイルス学が専門の長崎大学熱帯医学研究所の森田公一所長に聞いてみた。
「ウイルスはほかの生物の細胞のなかに入らないと生きていけないものです。つまり、必ず何かに寄生しないといけない。寄生した宿主を殺してしまったら、ウイルス自身も死んでしまう。長期的に見れば、ウイルスは宿主と共存するために、“弱毒化”していきます。天然痘のように強い病原性をずっと維持しているウイルスはありますが、“強毒化”していったウイルスは存在しません」(森田先生)
それでは新型コロナウイルスも自然の摂理で弱毒化していくのだろうかーー。
「新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスよりもウイルス自体の毒性は低いといわれています。新型コロナウイルスに感染して重症化したり、命を落としたりする原因は、ウイルスそのものの病原性だけでなく、感染した人の免疫系の過剰反応によって、自らの体を傷つけてしまうことにあるのです。とくに55歳以上、肥満(BMI値24以上)、喫煙歴があると重症化リスクが、それぞれ2倍高くなることがわかっています。また基礎疾患がある人もリスクが高まります。近い将来、このような高リスクの人でも重症化しにくくなるようなコロナウイルスの変異種が出現する可能性はあります」(玉谷先生)
発症を9割以上抑制する効果があるといわれるワクチンだが、変異によってワクチンの効果がないようなウイルスが出現するのではないかと、不安に思っている人も少なくない。
「ワクチンがまったく効かないようなウイルスの変異種は、そう簡単に出てくることはありません。たとえば、薬の場合は、新薬ができれば耐性菌が出てきて、新しい薬が必要になるという“いたちごっこ”が起こりますが、ウイルスのワクチンの場合は、効かなくなるというケースはほとんどない。唯一、HIVウイルスは人間の免疫をすり抜けるように変化していくためにワクチンができませんでしたが、コロナウイルスにはそのような特性はありません」(森田先生)
仮に、変異によって、ワクチンの効果が弱まったとしても、対処は可能だという。
「現在、接種が始まっているファイザーやモデルナが開発したワクチンは、今回、変異が起きたスパイクの先端の部分を抗原にしています。このワクチンは改良が容易なので、変異したウイルスに有効なワクチンが必要になったとしても、時間をかけずに開発できると考えています」(玉谷先生)
「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載
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ウイルス専門家「長期的に見ればウイルスは“弱毒化”していく」
エキサイトニュース 2021年1月12日 女性自身
https://www.excite.co.jp/news/article/Jisin_1938931/
■オミクロン株は“コロナ終息のサイン”か 弱毒化の兆候も
2022/1/14 デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/01140556/
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欧米では感染者が爆発的に増え、国内でもその兆しが見えてきた。
原因はひとえに感染力が強いオミクロン株だろう。
このまま感染者が増え続けると、また医療逼迫が起きるのか。
だが、コロナ禍終息の救世主になるとの見方もある。
この変異株の戦略とはいかに。
年末年始、欧米各国では新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増えた。
大晦日にはイギリスで19万人弱、イタリアで14万人など、いくつかの国で過去最多を記録し、フランスでは1日の新規感染者数が、1月1日まで4日連続で20万人を超えた。
アメリカも40万人を超える日が続いている。
周知の通り、原因は感染力が強いオミクロン株だと考えられている。
欧米ではすでにオミクロン株が主流で、フランスでは12月2日に初めて検出されてから1カ月弱で、約62%を占めるまでになった。
そのわりには、ロックダウンを続けるオランダなどを除いて、各国とも厳しい措置を講じるわけでもない。
フランスのマクロン大統領も、国民にワクチン接種を呼びかけただけである。
空前の感染者数を記録しながら、各国政府はなぜ、こうも微温的な姿勢を保っていられるのだろうか。
しばらく感染者数が少なく、欧米の数字を対岸の火事のように眺めていた日本も、状況が変わりつつある。
東京都の1日当たりの新規感染者数は、12月18日まで37日連続で30人以下だったのが、すでに増加傾向に転じ、1月3日には103人と、およそ3カ月ぶりに100人の大台を超えた。
むろん、オミクロン株も忍び寄りつつある。
厚生労働省によれば、1月1日までに国内で確認されたオミクロン株の感染者は、累計695人で、そのうち173人は市中感染の可能性があるという。
特に米軍基地で感染が拡大している沖縄県では、1日までの2日間に45人がオミクロン株に感染したという。
蔓延するのも時間の問題だろう。
・入院割合や重症化率は減少 なぜ感染力が高くなったのか
オミクロン株の感染力について、浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師は、こう話す。
「最初に発見された南アフリカでは、デルタ株がピークをすぎた後で、二つの感染力をガチンコ勝負でくらべることができませんでした。しかし、イギリスやデンマークでは、デルタ株がはやっているところにオミクロン株が現れ、どんどん増加しているので、感染力はデルタ株よりも明らかに強いと見ています」
また、埼玉医科大学の松井政則准教授も、「世界的にデルタ株をしのいで広がっており、世界の感染状況を見ると、デルタ株より感染性が高い。日本でもすでに市中感染が起きているので、いずれ国内でもデルタ株を凌駕して、第6波が起きるでしょう」と指摘する。
では、なにゆえに感染力が高くなったのか。
その仕組みを、東京農工大学農学部附属感染症未来疫学センター長の水谷哲也教授が解説する。
「オミクロン株は、ウイルスがヒトの細胞に侵入する際に足がかりになるスパイクタンパク質の変異が、約30カ所もあります。従来株の数カ所から10カ所程度にくらべて格段に多く、この変異によってウイルスがヒトの細胞のレセプター(受容体)と結合しやすくなったと考えられています」
怖そうな話だが、水谷教授は続けてこう説く。
「通常は感染力が高まった分、体内に侵入するウイルス量も増え、重症化リスクも増すはずなのですが、オミクロン株は不思議なことに、重症化や死亡リスクはデルタ株より低いとみられます。考えられる理由の一つが、約30カ所と変異が起こりすぎたため、ウイルスのもつ特性が打ち消されてしまった可能性です。スパイクタンパク質に変異が生じすぎると、全体のバランスをとろうとするかのように、ウイルスのある特性が抑え込まれるケースがあります。オミクロン株の場合、抑え込まれた特性のなかに“致死性”や“猛毒性”が含まれていた可能性は、排除できません」
・入院割合や重症化率は減少
試みにイギリスのデータを見たい。
12月31日の発表では、オミクロン株への感染が確認された24万6780人のうち、入院した人は981人、死亡した人は75人とされている。
この数字だけで判断できないのは承知のうえで致死率を計算すれば、0.03%と低い。
オミクロン株の感染者の入院率などは、すでに感染拡大している各国で、どうなっているのか。
東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授が説明する。
「南アフリカの報告では救急外来を受診した人のうち、入院した割合がデルタ株や従来株では60~70%だったのが、オミクロン株では41.3%と、3分の2ほどに減っています。また、酸素治療を行うほど重症化した人は5分の1で、人工呼吸器を装着した人と死亡した人は、5分の1から10分の1だったといいます。ただし平均年齢が、デルタや従来株についての報告では59歳だったのに対し、オミクロン株では36歳と、感染者が若いことも考慮する必要があります」
データはまだある。
「ほかに南アの報告では、入院率が約10%から約2%に下がったというものもあります。またイギリスでは、1日以上入院した人が60%減になった、という報告があります。ただし、いずれもデルタと従来株の患者の年齢が、平均して50代くらいなのに対し、オミクロン株では30代後半です」
だから、ウイルスが弱毒化したと即断すべきではない、というのが寺嶋教授の主張なのだが、「現状、強毒化しているという報告は、上がってきていません」と、つけ加えるのだ。
では、症状はどうか。
「韓国の報告では、発熱やのどの痛みが多く、味覚や嗅覚に関する症状は少ないそうです。アメリカの報告でも、主な症状は咳や鼻水、発熱、倦怠感などで、味覚や嗅覚障害は少なかったといいます。論文にはなっていませんが、オミクロン株は肺より気管支で増殖しやすいので重症化しにくい、との発表もあります」
・毒性がデルタ株より弱いと考えられる
寺嶋教授は慎重な姿勢を崩さないが、報告を聞くかぎり、デルタ株までよりもマイルドになったように思える。
矢野医師も同様に、「現状、感染者の多くが旅行に行くなど動き回れる若い年齢層で、ワクチン接種者が多いことも考慮する必要がある。ですから、オミクロン株は本当に重症化しにくいのか、ウイルス自体が弱毒化したのかについては、WHOやCDC(米疾病予防管理センター)が言う通り、まだ評価するのは難しい。ワクチン未接種の高齢者などの症例を見ないと、なんとも言えないところがあります」と、慎重な姿勢だが、一方でこうも言う。
「弱毒化したのかという点では、私はそうだと思います。ワクチン接種率が30%未満と低い南アのデータでも、重症者や死者が増えたようには見えません」
水谷教授も、同様に南アのデータをもとにして、「オミクロン株そのもののもつ“毒性”が、デルタ株より弱いと考えられるのです。より致死性の低いオミクロン株がデルタ株を駆逐することで、結果的に人類にとって、コロナ感染へのリスクが減じる方向に向かうかもしれません。オミクロン株の感染急拡大を、いたずらに恐怖と不安の感情でばかり捉えると、本質を見誤りかねません」
そもそも南アでは、すでに昨年末の時点で、感染者が前の週にくらべて3割近く減少し、重症者や死者が増える前にピークをすぎたと見られていた。ただ、矢野医師の次のような懸念も無視はできない。
「重症化のレベルが半分になったとしても、感染者が2倍になれば病院の逼迫度は変わらないため、油断はできません」
水谷教授もこう強調する。
「欧米にくらべ日本が小康状態を保っているのは、検疫体制と8割近いワクチン接種率、および高いマスク着用率の三つの賜物。オミクロン株には未知の部分も残るため、これから感染者をできるだけ抑え込むためにも、これら三つの盾の堅持が必須だという状況に、変わりはありません」
だが、いずれにせよ、オミクロン株の感染者は全員入院させるという、政府の方針に忠実でいたら、医療逼迫は避けられまい。
・「全員入院を見直すべき」
政府分科会の尾身茂会長ら専門家有志は、医療体制が手薄な年末年始について、無症状を含めて全員入院の方針を見直すよう提案したが、その後についても矢野医師は、「全員入院を見直すべきだ」と、こう訴える。
「1月から3月初旬は、コロナ禍でなくても救急を断ることがあるほど、病院が忙しくなる時期。いま中国でインフルエンザB型、アメリカでA型が出はじめています。日本でも流行すれば、インフルエンザから肺炎に進行した患者さんも増えます。それに、この季節は脳卒中や心筋梗塞も増えます。コロナで入院するのは呼吸困難な人に限定して、隔離が必要ならホテルですべきです」
未知の点があるとはいえ、オミクロン株の重症化率や症状に鑑みるに、全員入院が過剰な対策であるのは明らかだろう。
そのために医療が逼迫しうるなら、本末転倒も甚だしい。
しかし、オミクロン株がさらに変異するなど、強毒化するなら話は別だが、寺嶋教授はこう述べる。
「その可能性は高くはないでしょう。オミクロン株のさらなる変異、まったく新しい変異株の出現と、二つの可能性がありますが、前者に関しては、デルタ株も各地域で細かな変異を重ねましたが、すごく強毒化したケースはありません。後者は、そういうものがある地域で出ることはありえても、各国に蔓延する可能性は高くないと考えます」
・終息途中の段階か
感染爆発している欧米各国が微温的な対策にとどまっているのは、オミクロン株を恐れていないからだろうか。
それはうがちすぎかもしれないが、松井准教授はこんな見方を披露する。
「100年前のスペイン風邪は第3波で収まりました。終息理由ははっきりとは解明されていませんが、諸説あり、一つは集団免疫ができたということ。ほかには、病原性が下がったということ。私はその両方ではないかと考えます。では、オミクロン株に関してはどうか。私の推測の域を出ませんが、オミクロン株の登場が、新型コロナウイルス感染症終息のサインの可能性は、あると思う。終息途中の段階の一つではないか、というのが私の考えです」
矢野医師も主張する。
「ウイルスが進化の過程で、感染力が強く弱毒化した変異株を作らざるをえないのは、自然の流れです。いま風邪のコロナウイルスが4種類ありますが、それらも新型コロナ同様、かつて大流行し、鼻水やのどの痛みなど、風邪の症状で終わるようになったと思われます。この新型コロナも、病原性が落ちて重症度が減り、近いうちに5番目の風邪のウイルスになると思います。私はオミクロン株、もしくは次の変異株でさらに病原性が低くなったとき、そうなると考えています」
ウイルス自体への包囲網も狭まりつつある。
「経口薬も今後続々と登場するでしょう。ファイザーやシオノギの3CLプロテアーゼ阻害薬には、かなり期待します。机上の理論では、1996年以降、死者を劇的に減らしたHIVの薬と同じ作用機序で、今後の変異株にも対応できそう。今年度中には使えるようになると思います。ワクチンもCDCによれば、3回の接種でオミクロン株の感染予防効果が7割5分だといい、依然、大きな役割を果たします」(同)
・外来で対処できる風邪に
東京大学名誉教授で、食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏が言う。
「南アではあっという間にピークアウトし、死者の増加がなかったと南ア政府が発表し、それを研究者たちも認めています。オミクロン株の実態はインフルエンザに近いといえるでしょう。北海道大学と東京大学の実験でも、細胞毒性が非常に弱いことが明らかになっています。ヨーロッパも、南アと同じコースをたどることが容易に予想されます」
そして、こう続ける。
「オミクロン株が世界中に広がり、デルタ株を駆逐してくれたほうが、人類にとってありがたいことだと思う。オミクロン株に置き換わったほうがトータルで死者は減るかもしれないという意味では、コロナ禍の救世主といえるでしょう」
最後に矢野医師の見通しを示しておきたい。
「7、8月までには、新型コロナは外来で対処できる風邪になっていると、私は予想しています。そのころまでには、国民のほとんどが3回目のワクチン接種を終えて、抗体が十分にでき、コロナは流行しても、ただの風邪でしかなくなっていると思います。ただし、指定感染症であることが、コロナを外来で診られる病気にするうえでネックになっている。3回目のワクチン接種と並行して、指定感染症を外す議論を進めていくべきです。今年はコロナ禍に区切りをつける年にしなければなりません」
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オミクロン株は“コロナ終息のサイン”か 弱毒化の兆候も
2022/1/14 デイリー新潮
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/01140556/
■オミクロン株、1年前のコロナと「同じ病気」ではない-英大学教授
ブルームバーグ 2021年12月29日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-12-28/R4TYITT0G1KX01
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世界で感染が拡大している新型コロナウイルスのオミクロン変異株について、免疫学者である英オックスフォード大学のジョン・ベル教授は「1年前に見ていたのと同じ病気」ではないと述べ、同変異株の性質が比較的穏やかだとする報告と同様の見解を示した。
オミクロン変異株は比較的軽症のようであり、入院に至った患者ですらも入院期間は短めだと、ベル氏はBBCラジオ4の番組で述べた。
同変異株は11月末に最初に確認された。
「集中治療室が満床で、多くの人が若くして亡くなっていくという1年前に見られた恐ろしい状況は、私の見解では今や過去のものだ。こうした傾向は続く可能性が高いと安心すべきだと思う」と同氏は話した。
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オミクロン株、1年前のコロナと「同じ病気」ではない-英大学教授
ブルームバーグ 2021年12月29日
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-12-28/R4TYITT0G1KX01