アメリカには、中南米からの輸入品の農産物がたくさん入ってきている。フランスにいたときには、アフリカからの農産物がたくさん入ってきていたが、アフリカと中南米では気候が違うので、入ってくる野菜や果物の種類が違う。簡単に言ってしまえば、中南米ではいわゆるトロピカルフルーツが多く栽培されていて、マンゴー、パパイヤ、パイナップルなどの果物が豊富に売られている。
そして、アメリカに来て驚いたのは、果物に季節感が無いこと。例えば、イチゴなどはほぼ一年中スーパーで手に入れることができる。たぶん、南北中央アメリカのどこかが、1年を通してシーズンを迎えるため、それらが流通されて需要がまかなわれているのだろう。日本のように大規模なビニールハウスを見かけることはなく、手間をかけずに流通だけで果物を供給することができるので、値段も安い。
日本の果物は品種改良や栽培方法など、とにかく技術の粋を極めた果物がたくさんあっておいしい。ただ、一方で、1つ1万円以上するマンゴーは、もはや庶民の食べ物ではないし、桐の箱に入った何千円もするサクランボや、1房数千円のぶどうは高級品であって、日常的に口にできるものではない。地理的な条件もあるし、どの程度農薬を使って栽培を容易にしているかなど、一概にどちらがいいということはできないのだが、果物や野菜といった日常的に食べる農作物は普通の値段であってほしいものだ。
前置きが長くなってしまったが、近ごろ私が気になっていたランブータンという果物を買ってみた。見た目は毛の生えたライチといったところだが、サイズが一回りほど大きい。340グラムで400円くらいだったので、値段はまあまあ高めといったところだろうか。中米グァテマラ産だった。家に帰って調べてみたら、ランブータンは東南アジアが原産。だから、気候の似たグァテマラで栽培されるようになったのだろう。さらに調べてみると、ライチもランブータンもムクロジという同じ科に属する植物らしい。そして、ランブータンはマレー語で「毛の生えたもの」という意味だそう。
さっそく食べてみると、味もライチに似ていた。ただ、ライチのような独特な味が無く、甘くすっきりとした味。食感もライチに似ている。個人的にはライチよりランブータンの方がおいしく感じられた。ひとつ違っていたのが種で、ライチはつるりとした少し硬い皮の茶色の種が入っているが、ランブータンは柔らかく色の薄いアーモンドのような種が入っている。日本でも、沖縄で栽培されているそうなので、機会があったらぜひ食べてみることをおすすめする。