医療崩壊 地方に危機感 集団感染の拠点病院 外来休止に 2020.4.19

2020-04-20 | 社会

医療崩壊 地方に危機感

 集団感染の拠点病院 外来休止に 

 2020.4.19 中日新聞 「核心」
 新型コロナウイルスの感染者急増で、医療崩壊の危機が地方に波及しつつある。病床が続々と埋まる一方、マスクや手術着は不足し、院内感染が拠点病院を直撃する事態も発生。大都市圏に比べ医療機関や医師、看護師の数が限られる中、地域医療を維持できるかどうか、重大な岐路に立たされている。

▷枯渇
 「現状のペースで感染が広がれば、専用病床がいっぱいになるのは時間の問題だ」。日本海総合病院(山形県酒田市)の島貫隆夫病院長は、危機感をあらわにする。
 山形県は先月末に初の感染者が出て以降、18日時点で60人に達した。同病院は県北部にある地域の拠点医療機関で感染症指定病院。感染者の急増を受け、集中治療室(ICU)を含め54の専用病床を確保し、6人が入院中だ。
 状況は日々悪化している。医療用マスクや手術着は、早ければ今月末にも底を突く。新型コロナウイルスに感染したかどうかを調べるPCR検査ができる機関が県内に1つしかなく、病院独自に検査機器を購入したが、届くのは「3か月先」と言われたという。
13日からは近隣市の病院と連携し、重症者のみを受け入れると決めた。「都市部に比べ患者数はまだ少ないが、医療崩壊危機はもはや他人事ではない。われわれは地域医療の主軸を担っている。ここがいったん崩れれば、甚大な影響が出るだろう」と懸念する。

▷直撃
 院内で発生したクラスター(感染者集団)が拠点病院を直撃し、外来診療が休止に追い込まれ、地域医療の中枢が揺らぐ例も出た。富山市民病院ではこれまでに看護師や患者ら関係者20人以上が陽性に。接触した恐れのある医療従事者約200人も自宅待機の状態だ。
 共同通信の調査でも、多くの自治体関係者が苦慮している現状が浮き彫りになった。
 「コロナ患者への対応は、通常に比べ格段に負担感が大きい」と回答したのは奈良県。診断確定までに時間がかかり、その間はベッドが埋まって新たな患者を受け入れられない。ウイルスが外に漏れない「陰圧室」への隔離や防御服など医療資材の確保、管理にも多くの人出が割かれ「病院運営に支障が出始めている」と話す。
 このほか「接触者外来のある病院は医師らの勤務シフトが厳しさを増している」(和歌山県)「宿泊療養やPCR検査を行う人材の確保が課題」(沖縄県)「医療従事者は地域で偏在がある。離島では呼吸器の専門家も少ない」(長崎県)など切実な声が上がった。

▷警鐘
 医療機関に対し財政支援に乗り出した自治体も。青森県は人工呼吸器を購入した場合の費用を補助。京都府も、感染防止のため院内を仕切る医療資材の購入費用などを補助している。
 感染爆発を懸念し、厚生労働省は「医療体制地方支援チーム」を立ち上げ、都道府県からの相談を受け付け始めた。軽症者や無症状の人を、病院から自宅や施設での療養に切り替える相談に乗ったり、感染が拡大した際に職員を派遣し、必要に応じて自治体間で病床調整をしたりする。
 ある自治体の病院関係者は、こう警鐘を鳴らす。「病院や専門職の数が少なく、医療基盤がもろい地域で感染爆発が起きれば、影響は計り知れない。地方ほど気を引き締めなければならない」

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


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