「首の傷 自白と合わず」 光母子殺害事件で法医学者証言

2007-07-26 | 光市母子殺害事件

中国新聞 '07/7/26

 光市母子殺害事件で殺人などの罪に問われ、最高裁で無期懲役の判決を破棄、審理を広島高裁に差し戻された犯行時十八歳の男性被告(26)の差し戻し審の公判が二十五日、広島高裁であった。弁護側が法医鑑定を依頼した専門家二人が証人として「(被告が捜査段階で自白した)殺害方法は遺体の状況とは合致しない」との見方を示し、いずれも差し戻し審での弁護側の主張に沿う証言をした。

 日本医科大大学院の大野曜吉教授(法医学)と法医学者で東京都監察医務院の上野正彦元院長。

 弁護側の尋問で、二人は遺体の状況や司法解剖の鑑定資料に基づく自身の鑑定結果を踏まえ、本村洋さん(31)の妻弥生さん=当時(23)=の首に残された傷に「不自然な点がある」などと説明。傷の位置や形状が「馬乗りになり、全体重をかけ両手で首を絞め続けた」とする捜査段階の被告の自白と合わないと述べた。

 上野元院長は「右の逆手で押さえたと推測できる」などと主張。大野教授も、押さえたのは片手だったとの見方を示し、「大声を出されて右の逆手で口をふさごうとした際、首にずれて誤って死なせた」とする弁護側の主張に沿う発言をした。

 二人は本村さんの長女夕夏ちゃん=当時11カ月=殺害に関する被告の捜査段階の自白にも矛盾点があると説明。「頭上から床にたたき落とした」との自白は「脳に重い症状が出ていない」などとして疑念を呈した。

 大野教授は「夕夏ちゃんの首に巻いたひもを力いっぱい引っぱって絞めた」との自白も「強く引っ張ったような所見はない」などと説明した。

 公判は二十六日も続き、弁護側が申請した精神鑑定の証人尋問などがある。


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