正恩氏より金日成主席に似ていた叔父、金平一氏 「籠の中の鳥」次兄の正哲氏 残る直系の運命は 2017/2/17

2017-02-17 | 国際/中国/アジア

産経ニュース 2017.2.17 07:15更新
【金正男氏殺害】正恩氏より金日成主席に似ていた叔父、「籠の中の鳥」次兄の正哲氏…残る直系の運命は
 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(ジョンナム)氏の殺害をめぐって国外の亡命政権構想との関連が浮上した。金日成(イルソン)主席の直系であることが正恩政権の正統性となっているが、同じ直系でありながら海外に居続ける正男氏や金平一(ピョンイル)駐チェコ大使は、政権を脅かしかねない“障害”とみなされていた可能性がある。
 元在日朝鮮人の高英姫(コ・ヨンヒ)氏を母に持つ金委員長きょうだいは、出生も公にされず、祖父の金主席とも会ったことがないといわれる。金主席の誕生日に合わせ、北朝鮮メディアが公開した写真にも金委員長と写った写真は1枚もなかった。
 それに対して、平一氏は、金主席が「わが家に将軍が出た」と喜ぶほど溺愛した。スマートでスポーツ万能だったことから学生時代から周囲の期待を一身に集めてきた。何より外見から立ち居振る舞いまで金主席とそっくりといわれ、一時は有力後継者候補とみられた。
 金委員長は、祖父の話し方や住民らと積極的にスキンシップをとるスタイルをまねることで権威付けを図ってきたとされる。金委員長にとって、黙っていても金主席をほうふつさせる平一氏は目障りな存在のはずだ。長期間、欧州で暮らしたことから開明的で、軍事を優先する北朝鮮政治にも批判的だとも伝えられる。
 一時帰国を命じたり、秘密警察幹部を送り込んだりする行為は、監視下に置こうという警戒心の裏返しといえた。大使という国外の要職にある上、北朝鮮国内でも広く知られた存在で、容易に手出しができないともみられている。
 高氏を母に持つ次兄の金正哲(ジョンチョル)氏は、平壌にとどまっている。英ロック歌手のエリック・クラプトンさんの公演を見るため、海外で度々目撃された人物だ。内向的すぎるため、金正日(ジョンイル)総書記が後継者候補から外したといわれる。
 現在、表立った要職には就かず、「籠の中の鳥」(消息筋)扱いだとされる。それでも、警護名目で秘密警察が常に付き添い、金委員長に動向が逐一報告されているという。
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2017.2.17 07:08更新
【金正男氏殺害】亡命政権構想に加担とみなされ暗殺か 叔父のチェコ大使ら擁立の動きに過剰反応?
 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の親族を擁立して亡命政権を樹立しようという動きが北朝鮮国外であり、当局が国外に住む親族への監視・警戒を強めていたことが16日、複数の消息筋の話で分かった。マレーシアで殺害された異母兄の金正男(ジョンナム)氏(45)が亡命政権を計画する脱北者と接触していたとの情報もあり、加担を疑われて当局に暗殺された可能性がある。
 「『北朝鮮亡命政府』金平一(ピョンイル)擁立の声高まる」。こう書かれたビラが1月1日、韓国から北朝鮮に向け、風船で飛ばされた。在英脱北者団体が仕掛けたものだ。正恩政権崩壊後を見すえた亡命政権構想は、昨年ごろから米国や欧州の一部脱北者団体の間で持ち上がったという。
 金平一とは、金委員長の叔父の金平一駐チェコ大使(62)のことだ。金日成(イルソン)主席の息子という北朝鮮国内で絶対視される「白頭血統」を持つことから、亡命政権の首班として目をつけられたようだ。平一氏は、金正日(ジョンイル)総書記との後継者争いに敗れ、約30年間、東欧の大使を転々としてきた。
 正恩政権は以前から平一氏を警戒し、2014年末に監視のため、秘密警察、国家安全保衛部(現・国家保衛省)幹部をチェコに派遣していた。ただ、平一氏は目立った反応を示さず、昨年には、平壌に一時帰国し、大使館業務の改善を訴えるなど正恩政権に恭順の姿勢を見せているという。
 亡命政権構想の動きを受け、北朝鮮の治安当局内では、平一氏らの排除を主張する強硬論も台頭していたと伝えられる。
 脱北者団体関係者が次善の候補として接触したとされるのが正男氏だ。だが、平一氏と違い、正恩政権からの再三の帰国指示にも従わず、殺害されるに至ったとみられている。
 北朝鮮情勢に詳しい李英和(リ・ヨンファ)関西大教授は「亡命政権は構想にすぎないが、北朝鮮当局が過剰反応し、暗殺につながった可能性がある」と分析する。1月中旬には、金元弘(ウォンホン)国家保衛相が解任されたとされるが、正男氏と脱北者との接触を察知し、報告することを怠った責任を問われた可能性も指摘されている。
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白頭血統
 北朝鮮建国の父で、中朝国境地域の白頭山で抗日武装闘争を展開した金日成主席の直系の血筋を示し、3代世襲の正統性の根拠ともなっている。金正日総書記の長男、金正男氏に対し、金正恩朝鮮労働党委員長は三男であり、元在日朝鮮人の踊り子出身の高英姫氏を母に持つという出自が権威付けの障害になってきたとされる。金委員長の出自は北朝鮮国内で秘匿されている。
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2017.2.16 19:55更新
【金正男氏殺害】「弟に殺される」と死の恐怖を語る 正恩氏「嫌いだ。除去せよ」と指示 マレーシア政府が身元断定 女2人を逮捕
 北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害された事件で、正男氏が生前、マカオ在住の友人に「弟が私を殺そうとしている」と、正恩氏への恐怖を何度も口にしていたことが16日分かった。地元メディアが報じた。マレーシアのザヒド副首相は同日、北朝鮮の現地大使館も遺体を正男氏と確認したと発表した。警察は容疑者の女2人を逮捕、犯行に使われた毒物などを調べ死因の特定を急ぐ。
 正男氏は友人に「(正恩氏に続く)3代世襲を行うべきではない」とも話していた。韓国の情報機関、国家情報院が国会に、正恩氏が正男氏について「嫌いだ。除去しろ」と殺害を指示したと報告したことも判明。正恩氏を頂点とする統治体制の否定と受け取れる言動が怒りを買った可能性がある。ザヒド氏は正男氏の遺体について、全ての手続きを終了後、北朝鮮の大使館を通じて近親者に引き渡す意向も示した。(共同)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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