千葉景子法相 「死刑=最後には命を奪う刑罰であるから、慎重に対処したい」

2009-09-30 | 死刑/重刑/生命犯
新閣僚に聞く:鳩山内閣/9 千葉景子・法相 死刑制度、議論の場を
 ◇千葉景子(ちば・けいこ)
 --マニフェスト(政権公約)に掲げる、取り調べ全過程の録画・録音(可視化)の法案化をどう進めるか。
 ◆確実な歩みで、実現に向けて取り組みたい。骨格は(党内で)打ち合わせており、それをどういう形で現実のものとするか、多くの人の意見をいただき、開かれた議論を行いたい。これまでに議員立法で提案した法案を土台に、どこまで対象を含めるか、最初から全部にするか、一歩目、二歩目と段階的にいくか、詰めていきたい。
 --「死刑廃止を推進する議員連盟」のメンバーだが、死刑執行の命令書にサインする考えはあるか。
 ◆規定があり、法相に職務が課せられていることは承知している。政府の一員となったので、議連とはいったん距離を置いてメンバーから外れる。ただ、いろいろな議論があり、最後には命を奪う刑罰であるから、慎重に対処したい。裁判員制度が始まり、国民の皆さんが死刑を選択することもあり得る。それを考えると、皆さんに目を向けて考えていただくことを願っており、何らかの議論の場を作れたらと念じている。情報公開、刑場の公開も含め、何らかの形で少しずつ開いていけたらと思う。何の現実も分からないままでは議論になりにくいと承知している。
 --18歳に成人年齢を引き下げる民法改正を党は推進する立場だが、どう進めるのか。
 ◆基本的な方向は私もほぼ理解する立場だ。影響する法律は考えるだけでも多岐にわたり、それぞれに趣旨がある。若者の消費者被害がより一層深刻になるとの指摘もある。少年法にも波及する。公職選挙法(の定める選挙権年齢)は、引き下げの流れで良いが、他のさまざまな法律整備や環境整備にかかわるので、各省庁で横断的に進めたい。いずれかの段階で閣僚委員会へのお願いが必要になると思う。(閣僚の)全員集合になるだろうが。
 --選択的夫婦別姓の導入で民法改正の議員提案を重ねてきた。今後は与党としてどう党内意見をまとめるか。
 ◆党内で(別の)意見をお持ちの方がいるのは確かだが、これまで民主党として政策立案してきたので、その立場で進める。法制審議会から(96年に法改正の)答申があり、この間に実現しなかった方が少し異常という感じもする。できるだけ早く成案を策定し、来年の通常国会での提案も視野に入れたい。
 --小沢一郎幹事長の政治資金問題に絡む秘書逮捕を受けて民主党が設置した第三者委員会は6月、法相の指揮権発動に言及した。指揮権発動の是非をどう考えるか。
 ◆そういう意見を第三者委からいただいたのは承知している。あれ(事件)がどうかではなく、一般的に指揮権というものがあり、指揮権を発動する場面もあり得るんだということではないか。それに尽きるように思う。【聞き手・石川淳一】=つづく
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 ■人物略歴
 1948年生まれ。中央大法学部卒。82年に弁護士登録し、横浜弁護士会所属。86年の参院選で旧社会党から初当選し、97年に民主党入りした。党副代表や「次の内閣」法相、参院法務委員会理事などを務めた
毎日新聞 2009年9月30日 東京朝刊

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