裁判員制度「部分判決」制度新設など関係法が成立

2007-05-22 | 裁判員裁判/被害者参加/強制起訴

(毎日新聞 - 05月22日 13:21)
 09年に始まる裁判員制度で、複数の事件で起訴された被告の刑事裁判を事件ごとに分割して審理する「部分判決」制度を新設する裁判員法改正など関係法が22日午後、衆院本会議で全会一致で可決、成立した。先月11日に参院で可決されていた。事件ごとに裁判員を入れ替え、負担を軽くするのが狙いだ。

 裁判員が審理する殺人や放火事件などは初公判前に争点を絞り込む「公判前整理手続き」で整理され、実際に審理に要するのは連日開廷で「3日以内」が7割、「4~5日」が2割、「6日以上」が1割と予想されている。だが、同一の被告による複数の事件が対象になると審理が長期化し、裁判員が仕事や家事を休む期間に影響が出る恐れも指摘されていた。

 このため、導入される部分判決制度は「特に必要があると認められるとき」に裁判所が事件ごとに審理を分割する「区分審理決定」をする。決定後は事件ごとに順次審理し、事実認定や有罪・無罪の判断を行う。最後の事件を担当する裁判官と裁判員が全事件の情状を踏まえて量刑を決め、最終的な判決を言い渡す。事件ごとに代わるのは裁判員だけで裁判官は交代しない。裁判所が職権で行うほか、検察官、被告、弁護人も請求できる。

 千葉県松戸市で02年、「マブチモーター」社長の妻子など4人が殺害された計3件の強盗殺人事件を例にとると、リーダー格の被告に対する地裁の公判は今年3月の判決まで約半年を要した。単純に3事件ごとに分割すると、裁判員が約2カ月ごとに入れ替わるが、連日開廷でさらに短くなる。だが、「犯罪の証明や被告の防御に支障を生じる恐れがある場合」は区分審理決定の対象外となっている。複数の事件が相互に関連し、多くの証拠が共通する場合、分割審理が困難なため。その場合は負担軽減にはつながらない。【坂本高志】 


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