若手の弁護士の多くが借金をしている

2010-05-11 | 後藤昌弘弁護士

中日新聞を読んで「修習生の借金」後藤昌弘(弁護士)
2010/05/09 Sun.
 4月23日の夕刊に、宇都宮健児新日弁連会長のインタビュー記事が掲載されていた。その中に、「全国を回って一番驚いたのは若手の弁護士の多くが借金をしていること」との一文があった。
 ロースクールの学費が高くて奨学金を借りる人が多く、1千万円を超える借金のある人もいたという。
 実は、この話は特殊な話ではない。
 先日修習生の激励会でも、同じ話を聞いた。苦学して合格した修習生が、奨学金で、今600万円の借金があるというのである。
 新司法試験を受験するには、大学を卒業した後に法科大学院、いわゆるロースクールを卒業しなければならない。法学部卒業生でも大学4年間に加えて2年間、他学部生の場合は3年間ロースクールに通うことになる。
 しかも、ロースクールは多忙で、アルバイトをする暇はない。必然的に貧しい家庭の学生は奨学金に頼るしかないが、その奨学金が累計で600万円だとか1千万円だというのである。
 とはいえ、今の修習生はまだましである。現在の修習生には給与が支給されるからである。
 しかし、今年11月からは、修習生の給与が貸与制となり、修習生の借金は更に増えることになる。
 このままでは、貧しい家庭の子弟は法曹の道を断念せざるを得なくなるだろう(少なくとも当時の私の家庭状況では無理だったと思う)。
 修習生は法曹の卵であり、いずれ人を裁いたり人の財産や生命までも左右する職に就くことになる。
 そうした立場の者が、恵まれた家庭の子弟ばかりで構成されて良いのか、疑問無しとしない。
 貧しさ故に犯罪に手を染めた被告人に対して「パンがなければ菓子を食べたらよいのに」--
 そんな台詞を口にするような裁判官には、私は裁かれたいとは思わない。
 
 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)


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