金沢発 あれやこれや

-ヒントをくれる存在に感謝しつつ物語をすすめます-

ビトロス8世の日記15-機雷の海-

2021-08-31 21:08:23 | 天空の戦い
≪ビトロス8世の日記15-機雷の海-≫
敵(侵略者)は隕石の周囲に宇宙機雷をはりめぐらし始めた。
「やっかいなものを出してきやがった
 これを片付けないと隕石には近づけない。
 時間をかせぐつもりだな。」
王子はふうっと深い息をはいた後に言った。
「今の攻撃力では一掃するのに時間がかかる。
 ここはレベルアップするしかない。」
すぐさまこたつ氏が私に依頼した。
「ビトロスさん、地球もしもしダイアルに私たちのレベル3解除を申請してください。」
私は再び地球携帯を手にした。

プルル、プルルルル
「もしもし、地球もしもしダイヤルですか。
 さきほど電話しましたビトロスと申します。」
-はい、こちらは地球もしもしダイヤルです。こんにちは-
「地球王子とその従者のレベル3解除申請をお願いします。」
-そちらの状況は把握しています-
-今は機雷源を突破することが急務です。
 地球王子とその従者のレベル3解除を許可します-
「ありがとうござ・・・

礼を言い終わらないうちに、今度はフィールドがまばゆい光に
満ち始めた。まぶしくて目をそばめていたら、いつのまにか
巨大なものが私の下にあり、私を乗せて持ち上げようとしていた。
一体何が起きたのかと目を見開くとそこには地球の神話に
登場する伝説の生き物、竜が2匹、私と王子を乗せ横たわって
いた。

「王子、もしかしてこの竜は」
「おう。これが風神と雷神の最終形態だ。
 ついでに武器もそろえておこう。」
そういうと王子は月の方向になにやら合図した。
するとまもなく、月から太刀が飛んできた。
「ビトロスの分も要るからな」
もういちど合図するともう1本太刀が飛んできた。
王子はそれを私の前に置いた。

「今まで地球の犬の姿でよくがんばった。レベル3になるとこんなこともできる。」
王子はそういうと私の頭の上に手をあてて念じ始めた。
私の心に懐かしい記憶がよみがえろうとしていた。
私の肉体が犬族のかたちへと変化し始めていたのだ。
まもなく、犬族の戦士として戦える体ができていた。
ベースが犬なので背は低いままだが、心に驚きと感動が
あふれていた。
(初稿 2007-02-28 01:44:21)
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ビトロス8世の日記14-月へ-

2021-08-27 21:32:08 | 天空の戦い
≪ビトロス8世の日記14-月へ-≫
月は地球の影にいた。地球から飛び出したとき
漆黒の闇に溶け込んでいくような感覚に襲われた。
ふと気づくと星の海のなか眼前に月があった。

「よしっ、ここで迎え撃つ。
 風神雷神は、重力波トラップと次元トラップを配置してくれ。
 その後はフィールドは強めに保持し待機。」
「了解」

我々をとりかこむように光の点が増えているのがわかった。
地球の残存部隊が集結しつつあった。
その時、今まで微動だにしなかったフィールドが震え始めた。

「でてくるぞ。」

一瞬まわりの星が見えなくなったと思ったら、次の瞬間に
月と同じほど巨大な隕石が眼前に現れた。
所々から光が漏れていて要塞化しているのがわかった。

隕石は月の方向へさらに進もうとしたが、
仕掛けたトラップにはまったようで、まもなく立ち往生した。
それにあわせて地球残存部隊が攻撃を開始した。
音はしないが、あたりはすぐさま目もくらむほどの閃光が
とびかう場と化した。
隕石からは敵の戦闘機も飛び出してきて、戦闘は白熱化してきた。

「敵は隕石ごと爆破させる措置を施しているだろう。
 戦闘を早く片付けてそれを止めないと。」

風神は重力波、雷神は宇宙雷、王子は物質転換で群がる敵を
次々と倒していった。私も必死に戦った。

激しい戦闘が続いたが敵の攻撃もようやく抑えられたかに
見えた時、隕石のすきまから丸い物体が多数でてきて
隕石表面を取り囲み始めた。
(初稿 2007-02-28 01:43:51)
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ビトロス8世の日記13-隕石接近-

2021-08-18 22:08:44 | 天空の戦い
≪ビトロス8世の日記13-隕石接近-≫
もうそろそろ巨大隕石が防衛ラインにかかるころだな
と王子が話していると、たま通信員がかけ足でやってきた。
「巨大隕石が防衛ライン手前で姿を消し、
 地球に向けて短距離ワープにはいりました。
 約20分後に月付近に出現すると思われます。
 地球残存部隊で月に向かえる者は集合するよう指令がでました。」
「おう。俺たちの出番だな。月に向かうぞ。
 とりあえずはレベル2解除申請だな。」

「ビトロスさん。地球もしもしダイヤルに電話して、私たちの
 レベル2解除の申請をお願いします。」
こたつ氏に頼まれ、私は通信担当として初めての連絡を試みた。

-はい、こちらは地球もしもしダイヤルです。-
「すみません。私は地球王子から電話を頼まれたビトロスと
 申します。地球王子とその従者のレベル2解除を申請します」
-地球の状況は承知しています。-
-あなたたち一行は月に向かうことが急務です。レベル2解除を許可します。-
「どうもありがとうござい・・

と私が御礼を言い終わるのも待たず、私たち一行は地球を
離れ宇宙にでていた。言い終わった時には
こたつ氏の作ったフィールドの中、成層圏を出ていた。
私が硬直したまま何もできなかったのはいうまでもない。

王子「久しぶりのレベル2解除と久しぶりの宇宙。腕が鳴るな。」
こたつ「隕石到着には間に合いそうです。月は守ります。」
王子「当然だ。」

あとで聞いたことだが、一行は月と縁が深く、王子は幼い頃
しかられるとよく月の裏側に隠れたそう。今でも秘密基地があるそう。

生身で宇宙に出ることなど想像もできず、恐怖していたのだが、
実際に何の触りもなく宇宙にでている自分に気持ちの整理のまったく追いつかない私であった。
その私にさきほどの電話の最後の言葉がかすかに響いていた。

-あなたもどうか気をつけてください。-

(初稿 2007-02-28 01:43:35)
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ビトロス8世の日記12-光太郎日記「夢のこと2」-

2021-08-18 21:56:08 | 天空の戦い
≪ビトロス8世の日記12-光太郎日記「夢のこと2」-≫
今朝またあの夢を見た。
あいかわらず場所はどこだかわからず、
宙に浮く感じをまた体験した

今までの夢と違うのはもやもやしていた
相手の顔が初めて見えたこと
どこの誰なんだろうとしばらく見ていたら
突然誰だかわかった。なんと自分だった
まるで別人のような顔をしてる
その「自分」がぼくになにかを言っている
表情がとても重そうだった

だんだん怖くなってくるけど
この夢ってよくない夢かな

「自分」のすぐ横にも何かいるようだった
続きを見ればそれもわかってくるかな

(初稿 2007-02-28 01:43:20)
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ビトロス8世の日記11-<ティーブレーク>-

2021-08-13 00:13:15 | 天空の戦い
これまで読んでいただきありがとうございます。
物語の世界設定と登場人物を紹介します。

世界設定
 21世紀初頭、人類は宇宙ステーション構想を実現
 しつつあるが、月以外の星間航行はまだ実現させて
 おらず、地球環境悪化が問題視され始めていた。
 地球の平和は、神々を中心にした地球防衛隊の活躍
 で太陽系外からの侵略者をはねのけ守られていた。
 防衛隊には輪廻転生途中の人間霊も少し参加している。
 地球の長い歴史のなかで、母星が滅びたため、地球
 へ魂のかたちでやってきて、地球の輪廻転生システム
 に適応する努力の後、地球の生き物として生まれ変
 わった存在も数多く、そこからの参加者もいる。
 犬人種、猫人種はその代表。
 人間は地上に転生してまもなく前世の記憶を失うの
 で、防衛隊活動を継続できない。地球出身でない
 犬人種、猫人種は地上転生後も前世の記憶を保つ
 ため、地球防衛隊の地上部隊として活躍している。

ビトロス8世
 犬。オス。小型ではないが大型でもない。
 東京都世田谷区南烏山のとある家で養われている。
 飼い主のつけた名前はロッキー。
 地球から遠く離れた星に人と同じ高い文明を築いた犬族
 のひとりとして生まれたが、その星が壊滅したため
 この地球に転生した。地球で生まれた魂ではないので
 前世の記憶をはっきり持っている。母星では
 名剣士を輩出したビトロス家の末裔。

地球王子
 地球を形成してる最高自然霊から生まれた高位の
 自然霊。あらゆるものを意のままに作ったり
 消したり、自然の摂理、法則をコントロールできる。
 しかし過去に起こした失態により現在謹慎中。
 今回は、地上に転生した神に最高の身体として自身
 を提供するとともに危険から守っている。

風神、雷神
 神とあがめられるほどすさまじいちからをもつ自然霊。
 地球王子が生まれた時から従者としてそばにいる。
 地球王子の失態時に付き添っていたため同じく謹慎刑
 を受けた。王子は風神をこたつ、雷神をらいぞうと呼ぶ。

光太郎
 神が地上に転生して宿った人間の子。現在小学6年生。
 東京世田谷のとある家に住んでいる。
 地球王子の身体に宿るかたちをとっており、24時間
 守られている。病気はもちろん、傷ひとつつかない。
 神は前世の記憶を失っており、普通の人間として
 暮らしている。神である自身の記憶を蘇らせた時が
 地上生活の終わりの時。

たま
 猫。オス。ビトロス8世と同じく、他の惑星の出身。
 星がほろんだので地球に転生した猫族のひとり。
 地上では通信員として活躍している。
 メスのような名前だが実はオスなので名前を少し
 うらめしく思っている。
 猫族の氏神であるお稲荷様参拝が日課。

アマテラス
 今回、光太郎に宿る神。地球防衛隊隊長。
 戦場での臨機応変な対応に定評がある。しかし、
 今は小学生生活にいそしんでいる。
(初稿 2007-02-28 01:43:03)
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ビトロス8世の日記10-地球携帯-

2021-08-06 22:37:20 | 天空の戦い
《ビトロス8世の日記10-地球携帯-》
光太郎サポート任務もひと月たち、夜型生活にも慣れてきた。
帰宅後は昼までずっと寝ているので飼い主からはよりぐうたらになったと言われている。

あれから王子に頼まれたことがある。
通信担当が不在なので代わりをしてくれないかという。
通信員のりりしい動きをかっこいいと思っていたので
快諾したが、渡されたのはなんと携帯電話。
これでどこに通信するのか聞いたところ、
地軸回転事件以来、一行は謹慎中にあり、力を制限されている。
その一時解除は電話して申請するのだという。
「なにも私が言わずとも直接電話したら」というと
こたつ氏に物陰にひっぱられ
「そこは家庭の事情があるのでどうかお願いします」
といわれた。さらに
「短縮に*地球もしもしダイアル*が登録してあるので
いざという時にそこにかけてください。」といわれた。
しぶしぶ承知することにした。

その数日後の夜、たま通信員から緊急連絡があった。
巨大隕石が地球に近づいているという。
地球は大丈夫なのか王子に聞いたら、はるか遠くで
撃退するからまったく問題ないといわれた。

それはそうとして、

それ以来、こたつ氏の竜巻で宙に浮かびながららいぞう氏
の電撃をかわすという訓練が始まった。
聞くと、宇宙戦闘対策とのこと。
自分は「犬」の姿で宇宙にでるのはまっぴらごめん
なのにこの一行はなにを考えているのだろう。
電撃のおかげで身体の毛があちこちパーマをかけられた
ように逆立ってしまい。
それを見た王子に腹がひきつるほど笑われた。
(初稿 2007-02-25 02:47:49)
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ビトロス8世の日記9-世田谷支部たまの報告-

2021-08-01 21:46:25 | 天空の戦い
《ビトロス8世の日記9-世田谷支部たまの報告-》
世田谷支部たま通信員連絡書から抜粋

東京都世田谷にて地上転生神をサポート中の地球王子(謹慎中)へ緊急連絡完了。

巨大隕石が急にその軌道を変え太陽系に近づいていることが判明した。
外周をかすめて去っていくはずが、最新の計算では向きが変わり、地球に向かっている。
隕石は、強引な軌道変更のためか、その半分以上を失ったが、依然巨大であることに変わりなく、
直撃した場合は壊滅的被害が予想される。
何者かが隕石を武器として利用した可能性が高く、状況確認に偵察部隊が向かっている。
太陽系防衛戦線は天王星付近で隕石をくいとめるべく急ぎ体制を整えているところ。

-中略-

人類がこの事実に気づくのは早くとも1ヶ月先となる。
その頃から地上も騒がしくなり生活が一変するだろう。
避難が本格化するに従い、従来の活動はとりにくくなるだろうが、
一行は状況に合わせ臨機応変に活動し地上転生神をサポートすること。
(初稿 2007-02-25 02:47:24)
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ビトロス8世の日記8-光太郎日記「夢のこと1」-

2021-07-30 23:39:18 | 天空の戦い
《ビトロス8世の日記8-光太郎日記「夢のこと1」-》
この頃変わった夢を見る
それも同じ夢をよく見る。いったいどうしてか。

どこかわからないが自分がすうっと浮かんでいて
目の前にもやっとしたなにかが見える
それが人の形だとしだいにはっきりとしてくる
なぜか離れまいと手足をばたつかせて抵抗するが距離は広がるばかり
あせってもがいているうちに気づくと目覚めてる

夢はいくつかみるけど
これは印象的なので忘れないうちに書いておく

変わったといえば、お母さんが近所の人から犬を飼ったのかと聞かれたそう。
犬がうちに出入りしているなんて知らない。
見かけたことないけどどんな犬かな。

(初稿 2007-02-25 02:47:01)
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ビトロス8世の日記7-こたつ日記「神様は小6」-

2021-07-24 17:24:30 | 天空の戦い
≪ビトロス8世の日記7-こたつ日記「神様は小6」-≫
こんにちはこたつです。

あれからビトロス氏は毎日来ています。
夕方から翌朝まで王子のそばにいて帰ります。
この時間帯だと就寝後に王子と話ができるからです。
最近の王子は、宴会ばかりではなく、
ビトロス氏の鍛錬の相手をしています。

ここで神様についてお話します。

この家の息子は小学6年生で、名前は光太郎。
私たちは同級生と同じく、ひかると呼んでいます。
この星に由来する者は地上へ転生すると前世の記憶を無くします。
いかに神といえどもこの例外ではなく、ひかるも神としての記憶
をもっていません。
神の地上での生とは自身を思い出すまでの休息です。
ほとんどの神は二十歳前には覚醒して自分のことを思い出します。
その時点で地上での一生は終了です。
ひかるもそうなるでしょう。
覚醒してない間は能力が人間並みと弱く、敵側暗殺部隊の
標的にされることがあり、私たちが警護しています。
(初稿 2007-02-25 02:46:31)
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ビトロス8世の日記6-こたつ日記「王子の従者」-

2021-07-20 22:55:05 | 天空の戦い
《ビトロス8世の日記6-こたつ日記「王子の従者」-》
はじめましてこたつです。
相方はらいぞうといいます。あわせてよろしくお願いします。
(らいぞうがよろしくといいました)

私は風系で、らいぞうは雷系の自然霊です。
ふたりは幼い頃に地球の最高自然霊の子息である王子の従者
を命じられました。以来長い長い時を経ました。

王子は地上に降りる神の受け皿として肉体を提供し
昼夜お守りする重要な任務をこなしていらっしゃいます。
今回は非常に珍しいことに地上でサポートにあたる神の都合があわず
犬族からピンチヒッターを乞うことになりました。
これは明らかにミスです。が、王子は久しぶりに神の監視から開放され
活き活きされており、従者一同喜んでいます。
さらなるうえは、ビトロス氏にもう少しお酒に強くなってもらい
夜の宴会が盛り上がればなと希望します。
王子は私やらいぞうの芸は見飽きており、新メンバーを求めていた
ところでした。新芸の開発に協力してもらわないと。

おしまいに、私たちとつきあううえでビトロス氏に知っておいてもら
わねばならないことがあります。
その昔、王子は地球の異常気象の原因がマントルの動きにあると発見し、
具合の悪い所を直そうとされました。その時に予想を上回る反応
がおきてしまい、最期には地球の地軸が回転してしまいました。
私たちはマントルのなかでもみくちゃとなりもうだめだと思いました。
運良く助かったのですが、地上はそれを上回る大変な
天災に見舞われ甚大な被害をこうむりました。
この事件のあと最高自然霊は罰として私たちの「ちから」を制限する
処置をしました。制限をはずす必要がおきた時は直接お願いしな
ければなりません。このことは明日ビトロス氏に伝えておきます。

地軸回転の事はいまでも時々話題にでます。
(初稿 2007-02-25 02:46:02)
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