昨日は父の散髪をするつもりで実家に行きました。
「おとうさん かみのけ きってあげようか」
そうしっかり言葉を区切って伝えます。
寝転んでいた父は
私の目を見て
「うん。大分よくなった。
あともう少し腫れがひいたらいいんやけど…」
先日血だらけになった顔を撫でて、にこにこ話す。
「うん💦違うよ。
お父さんの かみのけ きってあげようかとおもってきたんやで。」
と、もう一度伝えてみると
「(笑)まだ、やめとくぅ〜。」
と、答えてくれました。
そうしてやっと話が通じたと思ったら
また顔を撫でながら
「顔の腫れがもう少ししたらおさまると思うんやわぁ〜。」
と、また付け加えてトンチンカンな返答がありました。
顔が治ったら切ろうと思っているんでしょうか。
傷はしっかり綺麗に治っていますし、顔は肝臓が悪いからか浮腫んでいるだけだと思うんですがね💦
「じゃあ、来週にお父さんの髪の毛を切ってあげるね。」
そう言って大きなカレンダーの次の日曜日にマジックで
『おとうさん 散髪』と書いておきました。
目で確認すると、うんうんと頷いてくれました。
という訳で、急遽 父の散髪ではなく、
母の散髪をすることに予定変更をしました。
部屋の床に新聞紙をひき
椅子を用意
散髪用ケープも用意します。
父が愛用の散髪セットを出してきました。
兄も私も、小さな頃はこの散髪セットで父の『作品』になっていた訳です。
母はつい最近までずっと父の『作品』でした。
父は絵を描いたり物を作ったりするのが大好きでこだわりを持っていましたから、
自分が切った家族の髪型にもいつもこだわりを持っていました。
切った直後は、ずっとその『作品』になった私たちを見つめています(笑)。
今回、母はもう父には髪の毛を切ってほしくないと言っていました。
父の手は血流が悪いせいか1.5倍に腫れ上がり赤くなっていて、恐らく思うようにハサミが使えないのと、皮膚が薄くなっているのでちょっとしたものに当たると切れたりして怪我をするとの事でした。
なので、今回私が父の代わりに母の髪の毛を切るんです。
父はまるで自分が母の髪の毛を切ると言わんがばかりにせっせと散髪の準備を率先しだしました。
「ネイロに切ってもらうからええって!!(切らなくていい!)」と母はすぐに警戒し小言を言おうとします(笑)
結婚して何十年、喧嘩をしても髪の毛を父に切ってもらう母と切りたい父の
この関係は認知症になっても身に染み付いてしまっているのかもしれません。
父にとっては『自分の仕事』なんでしょうね。
最後は私に母の散髪を譲ってくれました。
チョキチョキと髪の毛を切り落とす
左右のバランスを見ながら
手で指ですくいとりながら
ショートに仕上げます。
だんだん近づく影
父が私に近づく
『切りたいんだろうな』そう思いながら
父が視界に入る
暫くすると
離れて寝転ぶ父
認めてくれたんだろうか。
母の髪の毛を切り終わると父が私にいいました。
「じょうとうだぁ〜あ(上手にできたね)。
それだけできたらええんちゃう。」
と言ってくれました。
そして
「大きくなったら、介護の散髪とかやったらええでぇ。よろこばれるでぇ。」
なんて目を細めて言ってくれました。
わたし、もう41歳で十分大きい大人なんですが…(笑)
『大きくなったら』なんて
父は私を何歳だと思っているんでしょうか