随思録

日々思うことを記す。

7/2 ローマ→フィレンツェ

2011-07-26 23:47:29 | italia

エウロスターイタリア(ES)のアルタヴェロチタ(AV)でフィレンツェへ。
9時すぎに窓口で一番早くフィレンツェに着く列車をたずねると、10:15発のミラノ行きを手配された。
フィレンツェ11:50着のようなので、途中下車を失敗するとミラノまで行ってしまう。
油断できない。
ESは日本でいえば新幹線のようなもので、主要都市間を結んでいる完全予約制の急行列車。
手記を書き、ガイドブックでフィレンツェを予習するうちにサンタ・マリア・ノヴェッラ駅(以下SMN駅)に到着。


まずはフィレンツェYHにきちんと予約が取れているかわからないので、直接確認しなくてはならない。
同時にウッフィツィ美術館が取れるなら取っておきたい。
とりあえずSMN駅そばの観光案内所に相談することに。

YH行きのバスは11番バス乗り場から出ているとのこと。
(YHリストおよびガイドブックともに記載が17番バス。2011年7月の時点では変更があった模様。)
ウッフィツィ美術館の予約については、この番号に電話しろ、と番号のコピーを渡される。
直接行って予約は取れないのだろうか。

ともかく荷物をYHに置いてしまおう。
YHリストの解説に従って、駅前のタバッキで切符を買う(1.2ユーロ)。
店主に確認すると、11番バスでYHに着くのは間違いないようだ。
使い方を聞くと、スタンプを押すんだよ、と店主から説明が。
ローマはROMA PASSがあったので、バスの切符を買うのはこれが初めてだ。

しばらく待つと11番バスが。
停留所の名前はYHリストとガイドブックで異なっているが、このどちらか、もしくは近い名前だろうと推測し、停留所を逃さないよう緊張して乗っていた。
バックパッカーらしき若者もいたので、若者たちが降りたら降りようとも考えていたのだが、なんと終点に着いてしまう。
みんなが降りるので降りてみたが、YHはどこのあるのだろうとキョロキョロしていたら、日本語で話しかけてくる声があった。
「同じところ(YH)ですか?」
「はい」と反応したら
「一緒に行きましょう」と誘ってくれた。
若い日本人の男性で、彼の指すほうにYHの看板がある。
彼と話しながらYHへの道を歩く。
この道がやたら長い上り坂だった。
スペインに交換留学中の大学生で、8月で帰国するため、友人たちと最後にヨーロッパを周遊するそうだ。
友人はスペイン人とフランス人。
1年間帰国してないそうで、震災後の日本の状況などについて伝える。

チェックイン。
やはり部屋は4人部屋のドミトリー。
荷物を置き、ウッフィツィ美術館の予約をしようとYH内の公衆電話へ。
この電話がどうやらカードしか受け付けないようで、コインに反応しない。
レセプションに確認してみると、現金で平気だ、と即答。
埒が明かないので、一旦外に出て、YH前のタバッキ(長い坂をくだった先にある)でテレホンカードを買おうとしたら、なんと売り切れ。
仕方ないので、このまま駅前までバスで行ってしまうことにする。
すぐ目の前にあるバス停で、バスを待つ。

バスでも切符が買えるので、やってきたバスの運転手から買ったらなんと1枚2ユーロ。
(しかもつり銭を間違えられて険悪な空気に。)
なんなのだろうこのシステムは……
さっきのタバッキで買っておけば1.2ユーロだったのに。



SMN駅から歩き、ポンテ・ヴェッキオ(ヴェッキオ橋)、シニョーリア広場などを散策。

ここまで来たら、ウッフィツィ美術館も近いので、直接行って予約してみよう、と入っていったらあっさりOK。
ウッフィツィ美術館に着いたのは15時すぎだったのだが、当日予約をして、30分後には入れるとのことだった。
しかし、寝不足で集中力がもたない気がしたので、明日の夕方、同じ時間帯(15:45)の入場にしてもらう。
午前中どこかを見て、食事をしたらちょうどいい時間なのではないか。

次にアカデミア美術館に予約しようと、美術館のある方向歩き出したら、急激に空腹が襲ってきた。
そういや昼食抜き。
しかも腰に痛みが。
腰は3日目から調子が悪いが、寝不足のせいだろう、さらに重くなってきている。
まずい。
湿布はもちろん用意してあるが、こんなに早く痛みが出るとは。
枚数が足りないかも。


それでも気になる建築物があって入ってみる。
するとサンタ・マリア・ノヴェッラ教会だった。
いいたたずまいの教会。
外見もゴシック。
内装もゴシック。
見事な建築物だが、有名なフレスコ画よりも、ステンドグラスがすばらしかった。
正面入口(現在は閉鎖)から歩いていくと、神の美しさが伝わってくる。
(まあ、それもヴァティカンの宣伝のわけだが。)

すばらしく、計算されつくしたアーキテクトに心を奪われつつも、少々食傷気味な自分がいた。
ローマの次はフィレンツェと決め付けていたが、ナポリあたりで腰の静養に充てたほうがよかったかもしれない。

夕食まで中途半端な時間なので、街角のジェラテリアでジェラートを買い、食べながらアカデミア美術館を目指す。
するとのんびりしすぎたせいか、窓口が終了してしまったようだ。
予約は後日するしかない。


まだ明るい(17時)ので、もう少し見て回ろうかと歩き出したら、視界の先に不思議な建物が。
眠気と腰痛が襲ってきたが、振り払って進んでいくと、それはフィレンツェに来た最大の目的、サンタ・マリア・デル・フィオーレ教会だった。
塩野七生の『ルネサンスとは何であったのか』で触れられており、ずっと興味があった。


あんぐりと口を開けてしまうような美しい姿。
遠くから眺めれば一幅の絵画ように楽しむことができ、近くから眺めれば精緻な彫刻の一つ一つを楽しむことができる。
しばらく見上げていたが、そろそろ夕食の時間。
YHリストによれば、フィレンツェYHは予約なしで夕食が食べられ、格安のうえかなり豪華だという。
期待して早めに戻ることに。

先に洗濯だ。
部屋に洗濯物を取りにいくと、ベッドが続々埋まっている。
カナダ人のビル、スペインから来たアラン、同じくフレデリク。
早速耳栓が活躍しそうなメンツ。

大抵のYHはコインランドリーがあるので、レセプションに確認。
するとコインをレセプションで買って、投入すると動くらしい。
1枚買って、中庭に面しているランドリーに行ってみる。
日本でもほとんど使ったことのないコインランドリー。
壁に貼られた英語の注意書きを見ると、この洗濯機は洗剤自動注入式らしい。
温度や洗う時間などが設定できるようだが……どの程度が手持ちの洗濯物に適しているかわからない。
吸汗速乾系の衣類を除き、まとめて投入。
低い温度で、標準の時間で洗ってみる。

乾燥機にはもう一枚コインが必要だったり、一度乾燥機にかけてみたが設定温度を低くしすぎてまったく乾いてなかったりと、結局ランドリーにつきっきり。
中は蒸し暑いので、中庭で涼んで時間を潰す。
ようやく洗濯が終わってみると、すべての洗濯物が一様に劣化していた。
ほとんどの衣料品にタンブラー式乾燥機を避ける表示があることを初めて知る。
(ユニクロの衣料品もほぼそうで、もっと丈夫なものをつくってほしい)。

中庭から部屋に戻ろうとすると「日本の方ですか?」と女性から声をかけられる。
洗濯物を入れていたユニクロの袋で、そう思ったのだそうだ。
タケムラさんというひとり旅の女性で、こうしたYHにも多少は慣れている様子。
いくつかコツをきく(要ビーサン、要ランドリーネット)。
ひとり旅でもYHは同室の人と話をしたり、こうして日本人と会ったりできるので、さみしくないのがいいところなのだそうだ。
ときには一緒に行動したりすることもあり、タケムラさんは昨夜まで泊まっていたYHで出会った韓国の女性と、明日はフィレンツェを観光するのだという。

昨日まで泊まっていたYHについて聞いてみる。
なんでもトスカーナの田舎にもYHがあり、昨夜までそこに泊まっていたそうだ。
ワインの産地で、ワインが好きな人にはおすすめのYHらしい。
……そういう田舎でこの倦怠感をリセットしたほうがいいのかもしれない、そう感じる。
しばらく立ち話をして、フィレンツェは狭い街だし、朝食もあるしまた会うかも、などと話して別れる。

洗濯物を置きに部屋へ戻ると、室内では英語でアランとビルが話していた。
ビルは相当なおしゃべり好きで、私にも話しかけてきた。
私のつたない英語では話が続かない。
気まずいし、つかれていたので、逃げてシャワーを浴び、夕食を求めてラウンジへ。

すると……誰もその“豪華な夕食”を食べていない。
ラウンジの隣にはバールがあり、ジュース類はもちろん、アルコールやスナックも売っている。
みなテラスなどでビールを飲んでいるが、見るからにまずそうなパスタ(フジッリ?)を食べている若い娘がいるだけだ。
システムが変わったのだろうか?
確認するのも億劫で、ビールをバールで購入し、つまみにパスタも頼んでみる。
風呂上りにビールさえ飲めれば問題ない。
パスタはこれがブタのエサと表現するにふさわしい味。
冷凍モノを温めただけのようだが、ほとんど残す。

ビールがうまい。
飲んで酔っ払い、耳栓をしてベッドへもぐりこもう。
開け放たれた扉から、夜風が流れこんでくる。
フィレンツェYHは、高台にあるせいか、夜はまるで高原のように快適だ。

私はいまトスカーナの風に吹かれています。
自分でも驚きですが。


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たまに泊まるならこんなユースホステル


泊まったフィレンツエYH「エウローバ・ヴィッラ・カメラータ(Europa-Villa Camerata)」は後日起きる出来事のせいで、思い出深い宿となりました。
(イタリアではYHをOstelというので、Ostelloが頭につくことも。)
17世紀の邸宅を改装しているそうで、建物や中庭は非常に趣があります。
路線バスの終点にあることも、初めて訪れるには迷わないので、楽かな、と。


ただ門から続く長い坂にはほとんど照明がなく、夜は怖いと思うので、そこは難点かも。

個人的には冷えたビールがすぐ飲めるので、評価が高いYHでした。

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