最近、秋葉原で悲惨な事件がありました。あの時、私は妻と二人で父の日の買い物や用事があって、秋葉原の近くにいました。実は、朝早く起きて、昼ごろ秋葉原で食事してから行動しようと予定を立てていました。しかしその日は、寝坊してしてしまい、昼から水道橋(秋葉原から2駅離れている場所)へ出かけました。
水道橋に着いた時、ヘリコプターが秋葉原付近の上を10台くらい飛んでいるのを見ました。「なんだろ。。。」と妻と二人で話しましたが、たいして気もかけずに用事を済ませ、御徒町(秋葉原から1駅離れている場所)へ移動し父の日の買い物。その後、秋葉原のヨドバシカメラへ。
自宅に帰ってから、事件を知り妻と二人で「今日寝坊しなければ。。。」と。
前に観た「手紙」という映画があります。映画を観てから小説も読みました。いやな事件があると、この作品を思い出します。
この作品は、犯罪者の家族が逃れられない人生の中で、社会から色々な差別を受けながら肉親が起こした「罪と罰」を背負って生きていく様を描いています。物語は、武島直貴の兄・剛志は、強盗殺人の罪で服役している。犯行の動機は直貴の大学進学の費用だった。月に一通ずつ届く剛志からの手紙は、次第に、直貴の心を波立たせるだけのものになって行く。自分のために犯罪者にさせたという贖罪の意識が薄れ、憎悪ばかりが増長し続けた。
のっけから重い話ですが、この作品との出会いは前の会社の近くの大型書店で特別ブースでした。店の一角で小田和正さんの「言葉にできない」にのせ「兄貴ごめん。おれ兄貴を捨てるよ。。。」山田孝之さんのセリフが流れる映画タイアップブースのビデオを見ました。好きなTVドラマの「白夜行」が終わって間もないこともあり、妻と映画館に足を運びました。映画のラストシーンは大泣きしてしまいました。
映画のセリフの中で主人公にある人物が諭す言葉がこの映画のテーマだと思います。小説でも同じ場面で使われていました。「差別はね、当然なんだよ。犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、すごくまっとうな行為なんだ。 我々は君のことを差別しなきゃならんのだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる。すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。」と主人公に伝えます。本音と建前をさておき今の社会の現実を語っているのだと思います。最後に「差別のない国を探すんじゃない、君はここで生きていくんだ。ここから始めるんだよ。」と諭して去っていきます。うぅ~ん深すぎる言葉です。この題材を小説にした、著者の東野圭吾さんは、やはり凄い!!
映画の主演は山田孝之さん、玉山鉄二さん、沢尻エリカさんのトリプル主演です。映画の方が小説より感情移入しやすかったです。主人公が目指す夢は映画では「お笑い芸人」で小説は「ミュージシャン」になっていて、設定が映画の方が今風になっているように思えます。犯罪者の弟という運命を背負わされる事となった主人公の、不条理な日常を綴った意欲作です。差別や偏見の醸成は避けられない現実である事を悟った主人公が、ラストに新たな一歩を踏み出す決心する。映画の中で少しだけ、事件の事実を曲げられて報道されるシーンがあります。今流れているニュースがすべて真実を伝えているのか、と色々と現実社会の中で考えさせられるシーンの一つです。ラストシーンに流れる小田和正さんが歌う主題歌「言葉にできない」の歌詞にこの映画の答えでもある気がします。実はこの映画を観た後、一か月ぐらいは余韻がおさまらず「言葉にできない」を聞くとラストシーンを思い出し涙が出そうになりました。私にとって心に残る映画の一本です。
犯罪は加害者、被害者そしてその周りに知人たち、両親や子供、親戚が一瞬のうちの不幸にしてします。自分がどの立場になっても「手紙」ように差別や偏見の醸成は避けられない現実に直面すると思います。「罪」を犯すということは自分の周り、そして事件にかかわった人達の人生を狂わしてします。
自分が加害者になったら。。。被害者になったら。。。その身内だったら。。。そして、社会の中で生活できるだろうか。。。犯罪から家族を守れるだろか。。。どんな理由があっても「罪」は「罪」です。「罪」によって大きな「罰」を背負うことだと思います。
だから、多くの人に一度観て欲しい映画であり、小説も読んでほしいです。少しでも、嫌な出来事がなくなるように、こういう作品がもっと人の目に触れればいいと思います。