公設市場は、平良の中心だった。
本土に例えるなら、東京の渋谷、
大阪なら難波、梅田、名古屋なら錦。
市場の前には露天のオバァたちがいて
ラッキョウをむいているかモヤシのひげとりを
せっせとしている。
ゴーヤを買うと隣で豆腐を売っているオバァが
「チャンプルーには豆腐がいるさぁ」と
売りつけてくる。仕方がないので豆腐を買うと
野菜売りのオバァが、ニンジン、タマネギを
押しつけてくる。
そんな日常の光景がいつのまにか遠い過去の
出来事のようになってしまった。
ワァーシャーヤーのオジィ、
サシミヤーのオバァ、いつまでもオジィやオバァは
いると思っていた。
当時は30歳くらいだったからオジィ、オバァは70歳、
そりゃ、いつまでもいないわけだ。
当たり前に思えた日常も古いアルバムの中に
入ってしまった。
やがて自分がオジィと言われるときが来る。
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