沖縄のお土産といえば「ちんすこう」が定番であった時代があった。
学校から帰ってきてテーブルの上にちんすこうがおいてあれば、
誰かが沖縄旅行にいってきたんだなぁと思っていた。
市場のオバァたちも3時のお茶菓子によく食べていた。
小麦粉、砂糖、ラードを原料とした焼き菓子で、昔は家でも作っていたそうだ。
由来には諸説ある。中国には同種の焼き菓子があり、主に中国南部で
作られていたといわれている。小麦粉に砂糖とラードを加えて蒸した
カステラのような蒸し菓子が、沖縄の気候に合わせて創作された説や、
ポルトガルの焼き菓子であるボーロがシルクロードを通じて伝わった説などもある。
形は変わるが京都の有名なお菓子に「蕎麦ボーロ」よいうのがあり、
これもちんすこうによく似ている。
また琉球王朝に伝わる菓子製造に伝わる「菓子例帳」には現在と異なり
赤、黄色、緑の着色されていたちんすこうの作り方が書いてある本が
あったとか。この本は焼失して口伝で伝えられるのみとなっているそうだ。
沖縄を代表する土産菓子であるが商標登録はされていないそうだ。
1975年に新垣さんという人が特許庁に「ちんすこう」の商標登録を
出願するが、これよりも先に鹿児島県の業者が出願していた。
同年に那覇の菓子組合が特許庁へ鹿児島の業者に対して
異議申し立てを行う。これによって鹿児島の業者は商標登録の出願を
取り下げたそうだが、新垣菓子店が出願した登録商標は
「単に慣用標章を表示したに過ぎない。」という理由で登録を却下される。
それが今に至って商標登録がされていないのだとか。
長く沖縄にいるが一度も買ったことはない。