兄は鬼になって大里の洞穴に住みつき
『大里鬼』と呼ばれ、村人から恐れられていた。
大里鬼は夜な夜な集落を襲い、鶏や山羊、牛を
盗んで食べたり、ときには人間まで食べたりしていた。
ある日、村で鬼退治の部落会議がもたれ、
そこに首里から妹が駆けつけてきた。
妹は自分の兄が迷惑をかけていることを詫び、
自分がなんとかすると申し出た。
そして、怖い鬼となった兄を退治するため、
兄の好物のもちをつくって中に鉄を入れ、
一緒に食べようと首里の崖の上に誘う。
硬くて歯が立たない鉄入りのもちと格闘している兄の横で、
妹は普通のもちをおいしそうにパクパク食べて見せる。
驚く兄に向かって、
『私の上の口はもちを食べる口。
下の口は鬼を噛み殺す口』と言い、着物をまくり
あげて兄に迫った。びっくりした兄は、
不意をつかれた思いで飛び上がるや、足を踏み外して
崖から落ち、死んだ」
これが古くから伝わる
鬼餅(ムーチー)伝説。
沖縄では、旧暦12月8日に、サンニンの葉で包まれた餅を
食べる習慣がある。
ムーチー(餅)の日。
その由来はこの鬼餅伝説からきている。
![](https://sea.ap.teacup.com/untamamori/timg/middle_1462350297.jpg)