宮古島のマンゴーは本土でも人気がある。
今では宮古島を代表するフルーツである。
宮古島をはじめ、沖縄の農産物の多くが本土へと出荷できない時代が
あった沖縄の農業の発展に大きな障害となっていたのが「ミバエ」だった。
このミバエ類を一掃するために1968年から国の補助を受けてミバエ類の
根絶作戦が繰り広げられた。
ミカンコミバエとウリミバエ、両種は形態、生体ともによく似ているが
両種に同じ根絶手法は通用しない。
ミカンコミバエの根絶に用いられた方法は「雄除去方法」。
雄を強力に誘引するメチルオイゲノールという少量の殺虫剤を混ぜて
ヘリコプターで島内全域に空からばら撒く。
こうして野外の雄を誘殺し尽くし、雌に受精卵を産ませないようにすることで
ミカンコミバエは1986年に全島から根絶された。
一方、ウリミバエは強力な誘引剤がなかった。
そこで用いられたのが「不妊虫放飼法」でこの方法は、人口的に増殖した
ウリミバエに放射線を浴びせて不妊虫を作る。
そしてこれを野外にヘリコプターでばら撒き続ける。
不妊虫と交尾した雌は子孫を残せないので、世代を追って加速度的に密度が
低下していき根絶に至る。
もちろんばら撒く不妊虫は野生のものより圧倒的に多くなくてはならない。
宮古島に来た頃、頻繁にヘリコプターが飛んでいるのに驚いた。
それもアクロバットをするように飛んでいた。
そのヘリコプターが小さなハエを撒いていると知ったときは、
本土に帰ろうかと思ったことがあった。