いつも利用しているスーパーの入り口には買い物カゴとカートが
置かれているが、11月半ばから、その場所にズラリと正月飾りが
並べて売られている。クリスマスも先だというのに気の早いことだ。
昔は今ほど正月のしめ縄や鏡餅、松飾りをする家はそれほど多くなかった。
これもテレビの影響かもしれない。
オバァは松の枝を玄関に置いていた。
その松の枝を毎年、取らされたのも懐かしい思い出だ。
沖縄にもしめ縄と正月飾りはあった。
本土のしめ縄に似ているが橙(ダイダイ)の下に巻かれた墨がついていた。
家によっては仏壇や竈に赤白黄色の色紙を飾っているところもあった。
これには昔話がある。
大晦日の夜遅くに貧乏な青年が家に帰る途中に棺を運んでいる老人に出会った。
青年が老人に「大丈夫ですか?」と声をかけると、老人は弱々しい声で、
孫が亡くなったので葬式をしているところだという。
若者は「棺を運ぶのを手伝いましょう。」といって棺を運ぶと
いつの間にか老人は消えて棺だけが残された。
その棺には黄金が入っていたという。
これは神様の贈り物といい黄金を赤青黄色の黄金に見立てて飾るようになったと
いう話しがある。また一部沖縄の地域では棺のことを「宝箱(たからぱく)」と
呼ぶところもあるそうだ。今では昔ながらの正月飾りはなくなって、
本土と同じ正月飾りが売られている。